丸井グループ、ママ課長にインタビュー!「管理職でママって大変ですか?」
政府は2020年までに企業の女性管理職の割合を30%に増やすという目標を掲げています。総務省の調査によると、2013年の日本の女性管理職は11.1%。目標達成にはまだまだ多くの企業の努力が求められます。
関東を中心に小売店舗を展開する丸井グループで多様性推進を進めている人事部の廣松あゆみ課長にインタビュー。廣松さんは、管理職になった後で妊娠・出産し、現在2人のお子さんを育てています。女性が管理職として働くことの大変と楽しさに迫ります。
目指したい人が目指せる仕組みをつくる
―丸井グループは女性社員が多いイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
(廣松)「はい、正社員のうち約半数が女性です。女性が活躍している職場なのですが、課長以上の管理職といわれる女性はまだ29人で9%ほどしかいないのが現状です」
―女性の管理職が増えない理由は何でしょうか?
(廣松)「女性は特に30代になり結婚や出産などのライフイベントが迫ってくると、このまま働き続けられるのか、育児をしながら管理職は難しいのではないかという迷いが生じて、キャリアに向かうスピードが落ちてしまうと感じています。
女性活躍推進に向けた委員会が発足した2013年に社員にアンケートをとったところ、上位職志向を持つ女性は41%しかいませんでした。
ただ、私たちは全員が管理職を目指すことがダイバーシティではないと考えています。目標の数値だけが独り歩きして社員たちの反発を生んだこともありました。管理職を目指したいのに、何かしらモヤモヤがあって目指せないという女性たちの足かせを取り除いて、望む人が普通に昇進できる仕組みにすることが、あるべき姿だと思っています」
「早く帰れていいね」と周囲からの理解得られず
―廣松さんはいつ管理職になられたのですか?
(廣松)「私は新卒で入社して、39歳の時に課長になりました。ちょうど結婚したばかりの頃です。上司に昇進を打診された時は、自分に管理職なんて務まるわけがないという不安があって、最初は『いやいや、私なんかに務まりませんよ』と言ったのを覚えています。しかも、管理職になってすぐ妊娠したんです」
―では、時短勤務で管理職として働いていたんですか?
(廣松)「そうです。産休・育休を取得して、復帰後は短時間勤務で働きました。さらに44歳で第2子も生まれて、『えぇ、嘘でしょ!』って。周囲にはかなり驚かれました。
―仕事と育児の両立は大変でしたか?
(廣松)「今思えば何があんなに大変だったんだろう……と思いますが、やっぱり大変でしたね。とにかく時間がなかった。女性が育児をしながら働くことに対して今ほど意識が高くなかったので、「課長なのに時短で帰るの?」だったり、そもそも短時間勤務で課長なんてありなのかという話にもなりました。
「早く帰れていいね」というのは、本当にいつも言われていて、『そう? いつでも代わってあげるよ、家に帰っても1分も自分の時間なんてないんだよ。残業できるなんてうらやましい』と思ってましたね(苦笑)。もっと仕事をやりたいという気持ちと実際に使える時間に折り合いをつけることが、精神的に一番つらかったですね」
「バリキャリ」でなくても管理職になれる
―管理職の楽しさも感じられていますか?
(廣松)「私は根本的に仕事が好きなので、上位職になれば自分の判断でできる範囲が広がり、やりがいは増します。開示される情報も増えるので、仕事はしやすくなりました。
また、子どもが生まれてからはメンバーの成長に喜びを感じるようになりました。私はマネジメントが得意なタイプではありませんが、メンバーたちに成長してほしいという気持ちは母親になってより強くなった気がします」
―キャリアを目指すことに迷っている女性にアドバイスをお願いします
(廣松)「男性にはいろんなタイプの管理職がいます。ロールモデルがたくさんいるし、普通に頑張ったら普通に昇進する。でも、女性はものすごく頑張らないと管理職になれないイメージがあるんです。だから、どうしても管理職というとバリバリのキャリアウーマンをイメージする人が多い。
私はよく店舗の若い女性たちに会うと、『廣松さんって普通ですね』と言われるんです(笑)。それはいいことだなと思っていて、バリバリな人もいれば、私みたいに普通の人もいる。管理職ってものすごく特別なことではないんです。
女性は『先取り不安』タイプが多いのですが、やってみないと分からないことはたくさんあります。もしチャレンジしてみたいという思いがあるのなら、まずは思い切ってバッターボックスに立ってみてください」
―ありがとうございました。(文・尾越まり恵)
廣松あゆみ(ひろまつあゆみ)
1989年、新卒として株式会社丸井グループに入社。
2006年に課長となる。その後、2人の子どもを出産。
現在は人事部 多様性推進課長として丸井グループのダイバーシティ推進に力を注いでいる。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。