【専門家監修】夫婦仲が悪いと教育費が高額化する?!
教育資金の貯め方や使い方は、夫婦の老後資金にも関係してくる大きな要因。子どもの習い事や教育にどれくらいお金をかけるのか、基本的には夫婦で話し合うことが大切です。ところが、その話し合いがきちんとできないような夫婦仲だと教育費が高額化するという恐ろしい傾向が...。具体的どのようなことが起こってしまうのか、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子先生に伺いました。
夫婦仲と教育資金の微妙な関係性
ファイナンシャルプランナーは、金銭面に焦点をあてつつ、相談者から求められるニーズに合わせたアドバイスをするのが、仕事上の役割です。そのため私はふだんから、お金以外の、たとえば精神面などのアドバイスは最小限にとどめるように気をつけていますが、教育資金づくりのアドバイスをしているときだけは、どうしてもお金以外で気になることがあるんですね。
それは「夫婦仲がよければ、子どもが何人いても、教育資金の負担を乗り越えられるのでは」ということ。逆を言えば「夫婦仲が悪いと教育費が高額化しやすいのでは」と感じてしまうことです。
このようなことを言うと「お金のアドバイスをする人から精神論を語られてもねえ」という反応が返ってきそうですが、教育資金の相談現場においては「夫婦仲がよいか、悪いか」が「教育資金で無理をするか、しないか」の分岐点になると感じる機会が多いのです。
子どもの進学先選びに夫の学歴が関係!?
実際、夫婦仲が悪いケースでは教育資金が高額化しやすい傾向があるのです。収入以上に背伸びをしてでも「絶対に中学から私立に通わせる」とか、「できれば私立小学校に通わせたい」など、家計のサイズを無視した行動を取りがちな奥さまが多いのです。
たとえご主人が「おれの収入じゃあ、私立中学は無理なんじゃないか」と意見を述べても「子育てで苦労しているのは私なんだから、あなたは口を挟まないで!」などと、言い返す奥さまも少なくありません。中には「パパより少しでも偏差値の高い大学に受かってね!」「パパは○○大学卒で苦労しているから、あなたは最低でも○○大学に受かる努力をしてね」と、自分の人生の夢をお子さんにかなえてもらうがごとく、はっぱをかけるママも。これって、お子さんにとっては迷惑なことだと思いますし、ご主人を基準に考えても意味がないと思います。
いっぽう夫婦仲がよいご家庭では、奥さまがご主人のアドバイスをきちんと受け入れています。どんな習い事をさせるか夫婦で話し合って決めているケースが多いので、お子さんの進路で無理しないだけでなく、身の丈に合わないほどの習い事をさせたりもしません。
家計のサイズに合わないほど多くの習い事をさせたり、進学コースで無理をすると、そのツケは自分たちの老後に回ってくることを理解するようにしたいものです。
お金の話に最適な夫婦のコミュニケーション法は?
奥さまが暴走しないために重要なのは、教育方針や教育資金のかけ方について、夫婦で話し合う機会を増やすこと。ただ「話し合えと言われても、お金の話をすると無口になる」とか「一方的に私が話すだけで、会話にならない」と感じる方もいるようです。中には夫婦でお金の話をすると本筋からずれていって、ケンカに発展してしまうことがあるかもしれませんね。
そこで話し合いではうまくコミュニケーションがとれない場合は「メモ」を使ってみてはいかがでしょうか。自分の考えや希望などをメモに書き出した上で、ご主人に手渡すのです。
たとえば――
・○○を中学から私立に通わせたいと思っているけれど、それについて、あなたはどう思う?
・○○に○○の習い事をさせたい。これで、3つ目の習い事になるけれど、習わせてもかまわない?
・できれば○○小学校に通わせたいけれど、ウチの家計では難しいと思う?
・○○にはどんな習い事をさせるのがいいと思う?
――このように、質問形式で書き出すのがポイント。ご主人から返事をもらいたいからです。その際は、すぐに返事が来なくても、我慢強く待つ姿勢が大切。「できるだけ待つけれど、必ず考えて返事をちょうだいね」とも伝えておくといいでしょう。
教育資金準備をマラソンに例えると、お子さんが小さいときはまだ10キロ付近にも差しかかっていないくらい。大学を卒業するころ、ようやく40キロを過ぎて、ゴールが近づいてくるといった感じでしょうか。つまり10キロ付近で力を使いすぎてしまうと、ゴールを意識するころには、教育資金が底を突いてしまう可能性も…!
大学を卒業するまでに長い時間がかかることと、お子さんが小さいときにしか、まとまった教育資金を貯められない現実はしっかり意識しておきましょう。その上でご主人と進学コースなどについて、じっくり話し合う機会をぜひとも設けてほしいと思います。夫婦仲がよければ、必ず乗り越えられるのですから。(たまひよnet専門家コラムより抜粋)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
初回公開日 2017/08/22
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