人生で一番無駄だったなと思う時間は、どんな時間ですか? ~夫婦のじかん大貫さんの「ママ芸人日記」#13
2018年3月に男の子を出産した、お笑いコンビ「夫婦のじかん」の大貫さん。イラストレーター兼漫画家としても活躍中です。よしもと芸人・イラスト業・ママと毎日大忙しの大貫さんによるのコラム連載「ママ芸人日記」、第13回は「人生で一番無駄だったなと思う時間」についてです。
人生で一番無駄だったなと思う時間は、どんな時間ですか?
私は、普段は芸人として、そして副業で漫画家やイラストレーターとしても活動しています。
出産前は、芸人の仕事をベースにし、空いた時間にイラスト仕事をするという感じだったのですが、出産後はとにかく時間がなくなりました。
息子が保育園へ行っている間のみ仕事ができるという具合いなのですが、その間に芸人の仕事とイラストの仕事を詰め込まなければいけません。
そのため、仕事の時間は、休憩時間をも惜しいと感じるくらい、全力で仕事をするようになりました。
疲れで目が血走ったまま保育園のお迎えへ行くということもしばしば。
そんなとき、「今までの人生、本当に時間を無駄にして生きてきたな…」と感じることが…。
独身時代、口癖のように「時間が無い」と言っていたのですが、今思えば私は、非常に時間を持て余していました。
朝はゆっくりご飯を食べ、出掛けるためにメイクをし、メイクが失敗したからともう一度やり直したり。
朝食の後にもゆっくりコーヒーを飲み、家を出る時間まで携帯ゲームをしたり…。
朝だけを思い返してみても、時間が有り余っているということが明白です。
「小学生の頃よりは時間が無い」くらいの感覚で、「時間が無い」と口に出していたのです。
一方現在では、切に時間が無いと感じることが増えました。
イラストの締め切りに追われているとき、締め切りが迫っているのに翌日早朝からロケがあり寝なければならないとき、自分の人生における「過去の無駄な時間」が今の私に補填されれば…!という絶対に叶わない妄想で頭がいっぱいになることもあります。
人生でどの時間が一番無駄だったか…たくさん時間を浪費してきた私には、中々一番が決められません。
「この映画ずっと観たかったんだよな」とDVDを観ていたのに、残り10分のところで「あ、この映画観たわ…」と気付いたあの時間。
先輩と飲んでいて、「この話前にも聞いたな」と思いつつも、今初めて聞きましたというリアクションを丁寧に取ってしまい、最後までフルコースで聞いてしまったあの時間。
「今日めちゃくちゃ変な夢みたんだよな…」と、夢の内容を必死で思う出そうとしていたのに、結局一日かけても思い出せなかったあの時間。
テレビの収録で「もう少し待てばお弁当でると思う!」と先輩に言われ、結局でなかったのに待ってしまった5時間。
アニメのキャラクターとただただオセロをするという携帯型ゲームを、24時間ぶっ通しで行ってしまったあの時間。
思い返せば本当に無駄な時間ばかり過ごしてきてしまいました。
しかし、この「どれが一番無駄な時間だったかを真剣に考える」という時間こそが、最も無駄なのではないかと気付き、私は考えるのをやめました。
人生に無駄な時間はない、と言いますが、さすがにあの時間は…と思うこともたくさんあります。
とは言え、そんな時間を過ごしたからこそ、息子との時間をより大切に思えるのかもしれません。
夫婦のじかん大貫さん プロフィール
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属/夫婦お笑いコンビ「夫婦のじかん」の嫁担当。イラストレーターとしても活動中。相方は元・トンファー山西章博。息子(2018.3生)と夫との3人暮らし。2019年3月にコミックエッセイ「母ハハハ!」(PARCO出版)を発売。