遊びに行けない今 部屋の模様替えという手も プロにポイントを聞く
「インテリアに興味があるのに何から手を付けたらよいかわからず、結局そのままの状態」との声をよく聞きます。いつ、どんなことに気を付けて模様替えをすればよいか、お悩みの方も多いと思います。新型コロナウイルス感染症の影響でどこにも遊びに行けない今、お部屋を「快適」にしてみるのはどうでしょうか?実は、季節の変わり目である春は、模様替えにもよい機会。そこで今回は、インテリアコーディネーターの松田芳枝さんに、春夏の模様替えのポイントを紹介してもらいました。
松田 芳枝
インテリアコーディネーター、インテリアサロンDecorte代表、椙山女学園大学 非常勤講師
東海三県を中心にインテリアコーディネーターとして、住宅、商業施設や病院、サロンなど幅広い分野で25年以上活躍。大学などでもインテリア授業を担当。ラジオやテレビ、雑誌などに多数出演し、講演も各地で行う。
気分もお部屋もリフレッシュ
厚手の上着から解放され、見渡すとあちこちで春の花々が咲き、季節の移ろいを感じさせてくる…。本来の春は新学期を迎えるシーズン。何か新しいことを始めてみたくなりますよね。今年は厳しい状況が続いていますが、こんな状況を楽しむすべのひとつとして模様替えはいかがでしょうか。
春の訪れを感じるなか、ふと家の中に目をやると、こたつが鎮座しています。まずはこの冬のシンボルを片付けることから模様替えはスタート。それだけでお部屋は広々と感じ、心地よい気分になるのを感じます。閉めがちだった窓も思いきって開けてしまい、空気を入れ替えるのも忘れないでください。
そのうえで、今年はぜひ模様替えをアップグレードさせてみませんか? アップグレードと言っても、むずかしく考えなくて大丈夫。誰でも簡単にトライできるものなのでご安心ください。とっておきのプロの技を伝授します。
春夏のお部屋の模様替え5つのコツ
それでは、春夏に向けた模様替えの具体的な方法をお伝えしましょう。
1. 色を意識する
まず、家具やカーテンを買い替える場合、色を意識してみると良いでしょう。色を変えるだけで、一気に部屋の中の空気感が変わります。濃いブラウンなど、ダークカラーを選びがちな人も、春夏は思いきって明るい色に挑戦してみてはいかがでしょうか。
家具の樹種なら、淡めで明るいカラーのメープルやブナ材、タモなどが向いています。また、白く塗装された家具は上品にまとまるアイテムです。パステル系やビビッドな色で同じ家具(例えばダイニングチェア)をいくつか揃えるのも素敵ですね。
カーテンはパステルカラーやホワイト系、流行のブルー系などでまとめたいものです。大胆な大柄にチャレンジしてもしっくりくる季節になりますね。とくにカーテンは、人の目に留まりやすい位置「ゴールデンゾーン」と呼ばれる位置にくるものです。このゴールデンゾーンという考え方は、コンビニなどの商品陳列の際にも利用されています。その重要な位置にくるカーテンによって、お部屋全体のイメージが左右されると言っても過言ではありません。
このように、色や柄で春夏らしく演出できるかどうかが鍵です。「シックな色合いが落ち着く」という方も、カーテンをブラック&ホワイトのストライプ柄やチェック柄にする、家具の場合は明るめのブラウン色を選ぶなど、好みに合わせてうまく明るい色を取り入れるとよいでしょう。
色を変えるだけでこんなに気分が変わるのは不思議なようにも感じますが、色彩心理学でちゃんと実証されています。気になる方は、色彩心理学を学んでみるのもおすすめですよ。
2. 素材について
インテリアをチェンジする際には、その素材にもぜひこだわってみてください。春夏は、涼し気・爽やかな素材を選ぶとよいでしょう。たとえば、秋冬に活躍した厚手のラグは、春夏に向けて天然素材の薄手のものに変えるのがベスト。コットン素材のものや、ラタンやペーパーコードなど見ためが涼やかなものがよいでしょう。リゾート感覚で気分は一気に南国へ。
カーテンは流行の麻素材のものがイチオシです。「麻だとお手入れが大変そう…」という場合は、メンテナンスの容易なポリエステル素材で麻っぽく見えるものも販売されているので、探してみるとよいでしょう。麻素材は、ナチュラルなラグとも相性バツグンです。
3. 高さもチェック
家具の新調・模様替えをする際は、ぜひ家具の高さにもこだわってみて。春夏のおすすめは「低め」の家具です。家具の高さを低めにすると、お部屋が広く見えるばかりでなく、空気も循環し、春夏の気分にぴったりです。もしかすると、今まで「高いな」と思っていた家具も、上と下に分割できる場合もあるので確認してみてはいかがでしょうか。
4. レイアウト
お部屋全体における家具のレイアウトを考える際は、やはり動線が決め手です。歩くたびにつまずいたりしないよう、できるだけオウトツをなくし、見るからにスッキリさせるのがコツです。
5. 意外に効果的な「香り」
意外かもしれませんが、香りはインテリアの陰の主役だと言っても過言でないでしょう。友人宅を初訪問した際、玄関ドアを開けて中に入った途端、生活臭がしてしまい、何だか気持ちが滅入った経験がある人もいると思います。このように香りの効果は侮れません。模様替えの際は、ぜひアロマを取り入れるなどの香りの演出も忘れずに。今の季節、ペパーミントやラベンダーもよいでしょう。そのうえでお花や鉢植えなどの植物を取り入れれば、あら不思議。まったく新しい、春夏に向けた素敵なお部屋に変身します。
マイペースがポイント! レッツお部屋の模様替え
やろうやろうと思いながら、先延ばしにしがちなのがお部屋の模様替え。ここは思いきって、計画表を作りましょう。と言っても、そんなに大げさなものでなく、断捨離もかねて、少しずつ区分けしてやるのがおすすめです。きょうは玄関回り、明日はキッチン、明後日はリビングというように、週ごとに取り組む場所を分けてもよいかもしれません。少しずつでも取り組めば、気付いた時には家中見違えるようになっています。小さいお子さんがいらっしゃる場合は、お昼寝タイムなどを利用して少しずつ。少し年齢の高いお子さんの場合は、一緒にやってみるのもよいですね。ちょっと面倒な模様替えも、工夫して楽しむのがコツです。
やったことを書き出したり、SNSに写真をアップしたり、自分なりに達成感をプラスしていけば、いつのまにか理想の模様替えが完成します。
暗いニュースばかりで気がめいりますが、せめていつものお部屋をモデルルームのように模様替えするチャンスとでも考えてみるのはどうでしょうか。プロのノウハウをマスターし、春夏に向けてお部屋をアップグレードしましょう。