悲しい事故を防ぐため!必ず知っておきたい自転車の乗り方
子育てママにとって、子ども乗せ自転車は毎日使う身近なアイテムという人も多いはず。だからこそ、安全確認や事故のリスクについてはつい忘れがちでは?悲しい思いをしないための対策や自転車の知識について、消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。
池見 浩
消費生活アドバイザー
消費者考動研究所代表
企業の顧客対応や消費生活センター等での相談・啓発業務を多数経験。衣食住から法律・マネー、製品安全、SDGsまで、消費生活に関する幅広い知識を持つ。消費者や企業・自治体等への助言や講演、メディア等で活躍中。
ママ・パパたちは、こんなヒヤリハットを感じている
保育園に通園する子を持つ保護者などを対象とした交通安全の意識調査結果によると、保育園に自転車で登園しているママが最もヒヤリハットを感じたのは「自動車との側面接触可能性」、2番目は「転倒」です。
また、朝の通学時間帯に最も気になったのは「スマホを見ながら走る自転車」で、7割以上のママが指摘しています。自転車の傘さし運転や信号無視もランキング上位に入りました。
更に回答者の半分ほどが、信号に対する車と自転車のルールの違いや、交差点の斜め右折禁止、自転車通行止めの標識の存在を知りませんでした。正しい交通ルールを再確認して、守りましょう。
安全の第一歩は自転車・グッズ選びから
自転車は、子どもと自分の命を預ける乗り物です。ぜひ次のポイントを確認してください。
自転車選びのポイント
運転する人が確実に使いこなせない自転車は、とても危険です。必ず試乗し、車体のサイズ・重さや操作性など、自分に合うものを探してください。車体やタイヤ、荷台の支柱は、太く頑丈にできているものが良いでしょう。電動アシスト自転車は車体が重いので、電池切れでも運転できるかを想定して選びましょう。
中古品の場合は、不具合の有無を入念に確認してください。慣れていない人が折りたたみ式や組み立て式自転車を利用するのは、走行中の分解リスクが高いので安全性という点ではおすすめしません。
また、BAAマークやSGマークは、厳しい製品安全基準をクリアした証しです。自転車安全整備士の点検確認済みを証明するTSマークもあります。こうしたマークがある自転車を選ぶようにしましょう。
なお、自転車にも最大積載量(=大人と子どもの体重+チャイルドシートや荷物の重量)があります。超えて走ると事故に繋がりますので、取扱説明書などで確認しましょう。また、自転車本体にも、荷台等の上限重量を表すシールが貼られています。例えば「CLASS27」ならば、子どもも含めた荷台等の総重量が27kgまでの意味です。必ず守るようにしましょう。
チャイルドシート、ヘルメット選びのポイント
自転車用チャイルドシートには、前輪用は4才未満、後輪用は6才未満など対応年齢の目安があります。(耐荷重が定められています。)そのため、子どもの成長度合いも考慮して買いましょう。前輪用は、ママからも子どもの様子が見えるので、子どもがまだ小さい場合におすすめです。後輪用は、足載せガード(ドレスガード)が大きめのものが良いです。
子どものヘルメット着用は法的にも努力義務です。試着して、あご紐がしっかりかかるか確認してください。チャイルドシートやヘルメットも、SGマーク付きを選びましょう。
どんなに良いアイテムでも、点検しなきゃ危険!
どんなにしっかりした製品を選んでも、使っているうちに劣化やゆるみは発生します。必ず点検しましょう。
毎日の乗車前の点検ポイントは、各パーツのゆるみ・ガタツキの有無、ブレーキの利き具合、タイヤの空気などです。また、半年・1年など一定期間ごとの詳細点検も必要です。近所で信頼できる「かかりつけ自転車店」を見つけて、整備士さんに頼むのも良い方法です。
なお、点検・整備不良で事故に遭った場合は、保険や補償が下りない場合があります。とくにTSマークの補償は、年一回の認定自転車店での点検が条件ですので、必ず受けましょう。
子どもの乗せ方、ママの乗り方でリスクは減らせる!
子どもの乗せ降ろしは転倒や子どもの落下リスクが高いです。次の点に気を付けてください。
1.必ず平ら+傾斜のない場所で行う
2.スタンドをロックする
3.ハンドルが動かないように支えるか、ロックをかける
4.乗せる順番は荷物→子ども、降ろす順番は子ども→荷物
押し歩きや運転する際は、子どもの体重を考慮した注意が必要です。国民生活センターが、転倒事故の再現動画と注意喚起を公開しています。ご一覧ください。
万一の時のために保険に入ろう!
警察庁の統計によれば、2019年に起きた20才~49才の働き盛り世代の自転車事故死傷者数は、28,803人。全世代の約36%にも上ります。また、9才以下では2,989人もの死傷者が発生しました。
事故は、いつ、どんな状況で起きるかわかりません。未加入で補償されない・補償を支払えない悲劇を防ぐため、今、各自治体での加入義務化が進んでいます。過信せず、必ず備えるようにしましょう。
参考・出典資料