ずりばい・ハイハイが体を作る!赤ちゃんと楽しむ運動遊びのコツ
赤ちゃんのずりばい・ハイハイ、はじまりましたか?ずりばい・ハイハイ期を十分に取ることが、その後の発達にとってはとても重要だと言われています。今回は「どうサポートすればいいの?」という疑問にお答えすべく、ハイハイ環境の作り方・遊び方をご紹介します。
相原 里紗
保育士・のあそびっこプロジェクト 主宰
早稲田大学国際教養学部卒。(株)オールアバウトを経て国家試験で保育士に。親子×のあそび×地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」他、親子向けイベントを多数企画・運営している。0歳、2歳の男子育児に奮闘中。
赤ちゃんにも運動が必要?世界的に見直されるうつぶせタイム
赤ちゃんの運動について考えたこと、ありますか?
「運動」と聞くと、大人はランニングやジムなどをつい思い浮かべますが、赤ちゃんにとっては、首を持ち上げたり手や足を上げてバランスをとったりうつぶせの体勢を保持したりすることが立派な運動です。何度も繰り返しトライする姿は、そう言われてみればトレーニングのように見えますよね。
まだ動き出さないうちから、赤ちゃんには「運動」が必要だということも最新の研究でわかってきました。
WHOのガイドラインでは、1歳以下の赤ちゃんの運動基準を下記のように示しています。
・1日に数回、さまざまな形で運動すること
・床の上でコミュニケーションを伴う遊びをすることが特に良い
・運動時間は多ければ多いほど良い
・まだ自分で移動できない赤ちゃんの場合には、1日に少なくとも合計30分以上のうつぶせタイムを設ける
・1回に1時間以上、同じ姿勢(ベビーカー・イス・抱っこ紐やおんぶ紐など)が続かないようにする
床の上でうつぶせの体勢で遊ぶことは体幹を鍛え、手足をのびのび動かせば、腕や足の発達が促されます。
0歳の間にうつぶせ・ずりばい・ハイハイと、たくさんの運動をすることで体のコントロールの仕方を覚えてくんですね!
ただし、うつぶせをするときは必ず横についていて、少しでも苦しそうにしたら助けてあげること。無理にするのは厳禁!楽しくないと意味がありません。
赤ちゃんが自由に動き回れるスペースを作ろう!
お家で赤ちゃんのスペース、どうしていますか?
うつぶせが板についてきたな、と思ったらあっという間に動き出して、まだハイハイの環境が整っていないよ!というお家も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの運動にとって、好奇心に従って自由に動ける空間はとても大切です。
保育園の0歳児クラスには「ほふく室」3.3平方メートルという面積の基準があります。これはほかのどのクラスより広く、ずりばい・ハイハイ(ほふく)をする赤ちゃんには十分なスペースが必要だということですね。
赤ちゃんが好奇心のままに自由に動ける空間を用意してみましょう!
安全を確保する
誤飲の可能性があるものを取り除く、窒息の可能性のあるタオルなどは動かすなどの安全対策をします。転倒や床の素材が気になるようならクッションフロアを敷くのもいいですね。
制限されずに動き回ることができる
部屋に触ってほしくないものが多い場合は、ベビーサークルやフェンスなどを用意して「そこはやめてー!」と言わなくても自由に動き回る環境を用意すると、のびのび遊ばせてあげることができます。
十分な広さがある
ずりばい・ハイハイが上手になるにつれて行動範囲もどんどん広がります。もちろん部屋のスペースには限りがありますが、外で体を動かせるようになるまでの間だけでも広めのスペースを準備できるといいと思います。
十分に気をつけていても不測の事故が起こることもあります。
遊ばせるときには、ママ・パパの目があることを前提にしてくださいね。
ずりばい・ハイハイを親子で楽しむ!おすすめ運動遊び3つ
赤ちゃんのずりばい・ハイハイを一緒に楽しむには、いろんな方法がありますよ!
アイデア1:まずはうつぶせを楽しむことから。ママ・パパもゴロゴロ遊び!
うつぶせ遊びは赤ちゃんに取って新しい視点のとても楽しいものですが、仰向けだと見えていたママ・パパの顔が、うつぶせになると突然見えなくなってしまいます。
うつぶせ・ずりばい・ハイハイがスタートして間もない頃は、一緒にゴロンと転がって、触れ合ったりおもちゃで遊んだりといった時間を過ごすことをおすすめします。
ママ・パパの存在で心理的安全を確かめることで、好奇心に従っていろんなところに移動して遊ぶ意欲につながっていきます。親子で一緒に遊ぶと発達を促し、絆を深めることにもつながります。
アイデア2:「こっちへおいで〜!」まっすぐ?寄り道しながら?ママ・パパのところへGO
少しずつ動くのが楽しむ様子が見られたら、手を叩いたり音のなるおもちゃを使ったりお名前を呼んだりしながら「こっちへおいでー!」と前進するサポートを。ママ・パパの笑顔と一緒に「動くって楽しい!」という気持ちが高まります。
目線を同じ高さにすると、アイコンタクトができてより嬉しい時間になりそうです。
時には近くのおもちゃに目移りすることもありますが、それはママ・パパが見てくれているという安心感から好奇心を発揮している証拠です。あたたかく見守ってあげてくださいね。
アイデア3:でこぼこ地面でバランスを保つ!マット・クッション遊び
十分にずりばい・ハイハイが上手になってきたら、凸凹を進むことにチャレンジしてみては?
家にある座布団やクッションを使ってお山を作り、そこを登ったり降りたりして遊びます。
不整地を動き回るには足の指先や腕を使ったり、頭の位置など工夫したりと全身のいろんな部分を総動員。体幹を鍛えるのにもとても良い運動になります。
赤ちゃんの様子・安全面を考慮しながらいろんな難易度を試してみてくださいね。
もちろん失敗することもたくさんありますが、赤ちゃんは成功、失敗の繰り返しから多くのことを学びます。チャレンジ精神も同時に育みますよ。
体をたくさん使うことは、脳や心の発達にもつながる
ずりばい・ハイハイなどで体の大きな筋肉を積極的に動かすことは、脳の運動野だけでなく、意欲や創造、思考をつかさどる部分にも刺激を与えて活性化させます。赤ちゃんが運動することは、体の発達のみならず、脳や心の発達にも大きなメリットがあります。
機嫌が悪い時や家事をしている時はバウンサー・抱っこ紐も便利ですが、赤ちゃんの将来のためにも、積極的に「うつぶせで運動する時間」を意識的に確保していきたいですね。また、早くから立ったり歩いたりすると喜んでしまいがちですが、それぞれのステップにじっくり時間をかけることの方が大切です。
ただし、ずりばい・ハイハイは、赤ちゃんの個性が出ます。なかなかしなかったり、なんだか不思議なハイハイだったり…!
たくさん運動できていればどんなハイハイでも大丈夫だと言われていますが、心配な場合には健診などでお医者さんに相談をしてみてください。
参考:WHO「WHO guidelines on physical activity, sedentary behavior and sleep for children under 5 years of age」2019
・0歳からの教育 学習編 ニューズウィーク日本版 SPECIAL ISSUE 2019
・0~3歳 心と脳をすくすく育てる本 監修小西行郎 学研 2009
・保育所の設備及び運営に関する基準 厚生労働省
歩行を獲得するまでのほんの数カ月しかないずりばい・ハイハイ期間。振り返ればあっという間のこの時間は赤ちゃんの体の発達のキーポイントです。忘れてはいけないのは、赤ちゃんが「遊び」の中で体を作っていくということ。親子で一緒にたくさん遊んで、健康な体を育てましょう!