【産後お助け動画】産後の体と心 こんなときは病院へ 不調やトラブルはがまんしないで 日本助産師会監修
赤ちゃんが誕生して幸せの絶頂を味わったあとに、やってくるのが産後の不調や違和感。約280日間、おなかの中で赤ちゃんを育て終えたママの体は、元の体の状態に戻っていく過程でつらい症状に悩まされることも。問題のない生理的な症状であることも多いですが、一方では、病的なことが隠れている場合も!
ママだけでは自分のことに気づけないことも。できたらこの動画を家族全員で見て、ママを注意深く見守ってあげてください。
産後の体に起こりがちなトラブル
発熱、立ちくらみ、疲れや睡眠不足、乳房の張り、腰痛、骨盤の違和感、悪露(おろ)の変化、会陰(えいん)の傷の痛みなど…、産後の体にはさまざまな変化やトラブルが起こりがちです。また、産後の急激なホルモン変化により、心のバランスを崩してしまうことも!
ここでは、産院や専門医などに受診したほうがいい、産後の症状を紹介します。
発熱が続いたら
出産により、産道や子宮内にできた傷に細菌が感染して起こる産褥(さんじょく)熱、尿路からの感染による膀胱炎(ぼうこうえん)、乳腺が炎症を起こす乳腺炎などの疑いがあります。発熱が続いたら産院の受診を。
立ちくらみやめまい、動悸(どうき)がしたら
妊娠中に貧血を指摘されていたり、お産のときに出血が多かったりすると、産後に貧血になる可能性があります。立ちくらみや、めまい、動悸(どうき)がするときは一度受診してみましょう。
また、疲れが長く続く場合も貧血の可能性が。単に、授乳などによる睡眠不足からくる疲れの場合もありますが、何かおかしいと思ったら受診しましょう。
我慢できない乳房の張りや痛みがあったら
産後、母乳がつくられ始めますが、母乳が詰まってしまったり、授乳のときに乳頭が切れ、傷から細菌感染したりすると乳腺炎になってしまいます。
我慢できない乳房の張りや痛み、発熱、倦怠(けんたい)感、関節痛などがあるときは受診しましょう。
ひどい腰痛が続くようなら
妊娠中からの腰痛が悪化し、まれに出産時に尾骨にひびが入るなどして痛みが出ることもあります。
ひどい腰痛が続くようなら、「大丈夫」と過信せず、受診しましょう。
骨盤の違和感や股関節(こかんせつ)の痛み
お産で骨盤が押し広げられ、産後は骨盤が不安定な状態に。骨盤ベルトなどで骨盤を締め、徐々に戻していきましょう。それでも不調が続くようなら受診を。
悪露(おろ)の状態が何かおかしいと思ったら…
産後しばらくは、子宮壁(しきゅうへき)や産道からの出血や、子宮の脱落膜などが混ざった「悪露(おろ)」という分泌物があり、生理的な現象です。
ただ、中にはトラブルの可能性が高い、注意したい悪露(おろ)があります!
<悪露のトラブルチェック>
□ 量がどんどん増えていく
□ 赤い鮮血がダラダラ続く
□ 強いおなかの痛みが途切れずに続く
□ 血のかたまりがボコボコ出る
これらの症状があったら、子宮の戻りにトラブルがある「子宮復古(しきゅうふっこ)不全」の可能性があります。出血がひどいときや、持続する強い痛みなどは、早急に処置しなければならないほどの緊急事態であることも。すぐに産院へ連絡しましょう。
産後は心も不安定になりがち
気分が沈む、理由もなく涙が出る、何もやる気がしない、眠りたいのに眠れない不眠症状がある、楽しみが何もない、毎日不安や緊張が続く、赤ちゃんがかわいくない、こんな気持ちのときは…産後すぐのホルモン変化による生理的な現象である「マタニティブルーズ」と、「産後うつ」という病気、2つのことが考えられます。
マタニティブルーズ
産後、落ち込みやイライラ、涙もろくなるなどの症状が出ることが。これはマタニティブルーズというホルモンの影響で起こる生理的な現象。
一過性のもので、体を休めれば自然に治まります。パパや家族に協力してもらい、心身の休息を。
産後うつに注意!
マタニティブルーズとは別で、産後1ケ月以降から1年で起こる精神的な落ち込みを伴う病気が産後うつです。気力の低下、罪悪感、不眠、「自分を消してしまいたい…」といった気持ちになることがあります。
「自分には関係ない」と思う人が多いのですが、だれにでも起こりえることなんです!
だから、自分を責めたり、心が弱いなどと考える必要はありません。一人で悩まずに、周囲に相談し、すぐに産院や専門医を受診してみましょう。
また、赤ちゃんという命を守る重みで、パートナーである男性がかかる場合もあります。
こんな場合は、産院に
毎日緊張して毎日不安、理由もなく悲しい気持ちになったり涙が出る、気分が沈んだりイライラする、楽しみがない、やる気がまったくしない、赤ちゃんがかわいくない、眠りたいのに眠れない不眠症状が続く…、自分は親として失格だと思う、自分を消してしまいたい、どれか一つでも思いあたるなら、産院や専門医に相談してください。
出産直後のホルモンの影響で起きていて自然におさまることもありますが、中には産後うつ予備軍である場合も。早めのケアが大切です。
出産は命がけです。力を出し切り、その後すぐに始まる赤ちゃんのお世話で、ママは身も心も疲れています。ママ一人で子育てするのは本当に大変です。
パートナーはもちろん、家族、友人、お産した産院、社会など、チームで育児をする環境が大切で、近年は、徐々にですが整いつつあります。つらい時は遠慮なく、周囲に助けを求めてみましょう。助けを求める勇気も大切です。
監修/日本助産師会 撮影/小山志麻 モデル/深沢奈央(JAZZ) スタイリング/梶本美代子 ヘア&メイク/杉山ミキ 文・動画制作/たまひよ編集部 動画撮影日2020年5月13日