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32%の子どもが「コロナになったら秘密にしたい」と回答、コロナ禍のスティグマ(差別と偏見)を考える【専門家】

夕暮れ時親の手を握って少女のシルエット
写真はイメージです
Nadezhda1906/gettyimages

感染症は、私たちの体をむしばむだけでなく、心をむしばむ危険もはらんでいます。誤った認識が差別や偏見を生んだり、経済的な苦境が児童虐待につながったりということも…。
今は「自分には関係がない」と思っている人でも、気づかずにその当事者になってしまうこともあるかもしれません。自分がその加害者にならないために、そしてまわりの人が傷つかないようにするために、どんなことに気をつけておけばいいのでしょうか。国立成育医療研究センター 心の診療部 診療部長の田中恭子先生に聞きました。

親の知識不足が招く子どもの誤解

国立成育医療研究センターの「コロナ×こども本部」が6月中旬から7月下旬の間に実施したアンケートでは、コロナに関連したスティグマ(差別や偏見)の広がりを調査するための質問も設けられました。田中先生はこのアンケート調査にも携わりました。

「過去にも結核やハンセン病、エイズなどで人権侵害につながった事例があり、今回も一部報道で、医療関係者のお子さんが登園するのを園長から止められるなどの話がありました。避けて通れない問題ということで、スティグマに関する調査も実施しました」(田中先生)

アンケートで、「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」と答えた保護者(0歳~17歳の子どもの保護者)は29%、子ども(6歳~17歳)は32%いました。「コロナになった人とは、コロナが治ってもつき合うのをためらう(あまり一緒には遊びたくない)」と答えた保護者は7%、子どもは22%いました。

半分以上の人は、感染したことを秘密にするつもりもなく、コロナになった人とも関係性を保ち続けるものと考えられます。
しかしこの結果は、決して少なくない人たちがスティグマを抱えている可能性を示唆しています。原因として考えられるのは正しい知識の不足です。「マスクをつけていても、コロナにかかることはある」「熱もせきもなく元気でも、コロナにかかっていることがある」といったことを知らない小学生も一定数いるようです。

5歳くらいまでの小さい子どもは、「まだ誤解するほどの知識もないから心配することではない」と思われるかもしれませんが、未就学児でも3歳半くらいからは、自分と他者が違う考え方をしていることを認識するようになるといいます。

「未就学児が、親の考えに左右されて間違った知識で他者を批判することもあります。メディア等でいろんな情報を見すぎてしまうと、情報を比較する際に混乱してしまうので、親自身も入ってくる情報量を自分でコントロールする必要があります。厚生労働省からの通知や、専門家会議のディスカッション内容などから、正しい知識を得ていくのが望ましいでしょう」(田中先生)

知識を得るためには、関心も必要です。しかし感染症の広がり方は地域によって差があり、人々の関心や実際に取られた対策などにも差がありました。

「学校や幼稚園などの再開のしかたも地域ごとに違っていましたし、同じ地域でも学校によって違うことがありました。『あそこの学校は運動会があるのに、うちでは中止になった』とか、そういった違いを子どもたちがどう感じ取っていくかは、今後も様子を見ていく必要があります。また、地域によっては、かかった人の行動履歴をみんなで探ろうとする動きもありました。人としての人権やプライバシーなどをどのように考えるか。コロナを正しく怖がり、感染してもその人そのものを否定しないという考えが重要です」(田中先生)

児童虐待の加害者にならないためには

コロナ禍では、児童虐待の増加も懸念されています。全国の児童相談所が児童虐待として対応した件数はもともと増加傾向にありましたが、2020年はさらに増えています。

「自粛で気晴らしができない、経済的な問題があるなどの理由で、大人もさまざまなストレスを抱えています。しかしそういったストレスは、社会的に弱い立場である子どもに向かいやすく、DV(家庭内暴力)の増加につながっているともいわれます。直接的な暴力だけでなく、子どもにとって必要な養育を怠るネグレクトも起こっています」(田中先生)

感染防止の観点から、小児科の乳幼児健診や予防接種、受診を控える人が増えました。また、子育て広場などのピアサポートの開催も制限されています。セーフティーネットがコロナ禍前より脆弱(ぜいじゃく)化し、児童虐待を発見する機会や、育児を社会が支援する機会が減少していることも、児童虐待増加の要因の一つになっていると考えられます。児童虐待は社会全体で見守っていかなければならない課題。まわりの大人たちは、どんなことに注意すればいいのでしょうか。

「虐待をしてしまう親の中には、本当は自分でなんとかしたいのに、思うようにいかずに、『ついやってしまった』と自責の念を抱えている人も多いのです。そういうときにまわりが手を差し伸べることが大切。困っていそうな家族がいたら、児童相談所、医療者、保育園や幼稚園の先生なども含めて、子どもにかかわる大人全員が『何かお困りのことはありませんか』『一緒に考えていきませんか』と、温かい目で声をかけていくことがポイントです」(田中先生)


お話・監修/田中恭子先生 取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部

子どもは家族の宝であると同時に、社会にとっても大事な宝です。傷つく子どもが少しでも減るように、自分が正しい知識を持つことで子どもに誤った認識を植えつけない、まわりにも関心を向けるようにするといったようなことを、一人ひとりが心がけていく必要がありそうです。

田中恭子先生(たなかきょうこ)

Profile
医師。国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科診療部長。小児科学会専門医、子どものこころ専門医、日本臨床心理士、英国ホスピタルスペシャリストなど国内外のさまざまな資格を持つ。専門はコンサルテーション・リエゾン、小児心身症、発達心理学。


参考/国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」

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