[男の妊活 #1] 人には聞けなかった 男の妊活の話をしよう
妊活は夫婦2人でするもの。不妊の原因の半数は男性にあるといわれているけれど、まだまだ男性は妊活に消極的なのが実情。
どうやったら夫をヤル気にさせられるのか、女性はやきもきしてしまう。でも、本当に男性の心と体のこと、わかっていますか?男の人って、とってもナイーブなんです……。
コボちゃん先生のニックネームで、男性の性の啓発に取り組む小堀先生に直撃!
今回は、<男の妊活>の基本編です。
男の妊活ってなんだろう? 女性にも、 男性の心と体を知ってほしい!!
妊活は夫婦2人の問題。でも、妊娠を望むカップルが一緒に体のチェックを受けることは、まだまだ少ないのが現状です。多くの場合、女性が先に検査を受けているのです。
妊活に積極的でない男性に、女性は腹が立ったり、なんと声をかけていいのかと悩んでしまったり…。
検査をためらう男ゴコロも、実はとっても複雑だったりして
「セックスは男性にとっては沽券にかかわる重大な問題。自分に原因があるとは思いたくないんです。また、精液検査への抵抗も強いですね。そうこうしている間に、男性側に問題があった場合の発見が遅れてしまうんです」と小堀先生。
また、男性が妊活に積極的な場合でも、どこに行ってなんの検査をすればいいのかわからないという状況も。精子の数や運動率といった身体的な原因から、勃起障害や射精障害といったセックスにかかわる問題まで、男性不妊の原因は繊細で複雑。まずはそんな男性の心と体を理解することから始めてみませんか?
男性器の構造と精子の秘密
精子は2つの精巣(睾丸)の中で、細胞分裂によってつくられる。女性と大きく異なるのは、精巣は毎日稼働していて、日々着々と精子がつくられること。精子の寿命は体外に出されて約3日間といわれている。精液の大半は白い分泌液で、精子はそのうちほんの数%程度と少ない
精子も老化する?
あまり知られていませんが、卵子と同様に精子も老化します。その分岐点は35才。ここを境に精子の数は減少し、妊娠能力が少しずつ下がっていきます。男性は何才まででも大丈夫!という油断は禁物です
男性不妊の原因となるもの
代表的な症状について、小堀先生に解説していただきました。
●奇形精子症
精液中の精子のうち、遺伝子異常などで奇形の精子の数が多い状態。WHOの基準は、正常形態精子が4%未満の場合は奇形精子症と診断されます。妊娠のためには正常な精子を選び出して受精させる顕微授精の場合が多い。
●無精子症
精液中にまったく精子がない状態。精子はつくられるが、精子の通り道の精管が詰まっている「閉塞性」と、そもそも精子がつくられない「非閉塞性」がある。精子の有無は、精液の見た目ではわからない場合がほとんど。
●勃起障害&射精障害
セックスするための体の機能になんらかの障害がなくても、勃起障害・射精障害などの心因性性機能障害に悩む男性が増えている。病気や性癖によるものなど原因はさまざま。薬やカウンセリングによって改善できる。
●乏精子症
精液中の精子が少ない状態。WHO(世界保健機関)の基準値では、精子の濃度が精液1mlあたり1500万個以上が妊娠しやすいといわれている。この基準値より低い場合に診断される。人工授精や体外受精等で妊娠は可能に。
●不妊原因の男女比
妊娠を望むカップルのうち約半数(48%)が男性にも原因があることがわかっている。精子の数や運動率の問題から、勃起障害(ED)など、原因はさまざま。男性不妊は決して珍しい問題ではない。
【監修】小堀善友 先生
泌尿器科医。2009年より獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科に勤務。専門は男性不妊(とくに射精障害)、性感染症。読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」にてコラム連載中。著書に『妊活カップルのためのオトコ学』(2014年・メディカルトリビューン)がある。
■撮影/合田和弘
■イラスト/花くまゆうさく
■取材・文/尾越まり恵