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出回る誤情報に注意して!成育医療研究センターが「アトピー性皮膚炎」「食物アレルギー」の最新情報を妊婦さん向けに解説

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赤ちゃん概念で皮膚の発疹
●写真はイメージです
comzeal/gettyimages

国立成育医療研究センター アレルギーセンター医長の山本貴和子先生は、「赤ちゃんのアレルギーに関する情報は、妊婦さんとそのパートナーにこそ知ってほしい」と言います。その考え方のもと、国立成育医療研究センター(以下成育医療研究センター)では毎月第3金曜日に、妊婦さんとパートナーを対象に「生まれてくるお子さんのためのアレルギー予防オンライン教室」を開催(無料)しています。約1時間、アレルギーに関する情報や正しい予防方法などを最新のエビデンスを紹介しながらわかりやすく解説する講座です。2022年6月17日に開催された、同オンライン教室の内容の一部をリポートします。

ハイリスク乳児は、保湿剤を塗っても38%がアトピー性皮膚炎を発症

2021年1月~8月 成育医療研究センター調べでは、98%の妊婦さんが「生まれてくる子どもがアレルギーになることを心配している」という結果が出ています(※1)。

年々、アレルギー疾患にかかる子も増えています。そうした状況から、成育医療研究センターでは、2021年1月よりアレルギー予防のためのオンライン教室を開催するようになりました。

「アレルギー疾患の問題の1つには、根拠のない誤った情報をうのみにしているママ・パパが少なくないことがあります。また情報が古いこともあります。

たとえば新生児期から保湿剤を塗れば、アトピー性皮膚炎が防げるといわれているのもその1つです。
成育医療研究センター調べでは、両親またはママ・パパのどちらかに、アトピー性皮膚炎がある。もしくは先に生まれた子にアトピー性皮膚炎があるハイリスク乳児の場合は、新生児期から保湿剤を塗っても38%は、アトピー性皮膚炎を発症したことがわかっています。
スキンケアは大切という考え方に変わりはないのですが、スキンケアをしていればアトピー性皮膚炎を100%予防できるというものではありません。
2回接種すると約95%免疫を獲得できる麻疹・風疹ワクチンとは違うのです」(山本先生)

保湿剤でアトピー性皮膚炎を防ぐ効果を検証

データ(※2)は成育医療研究センター調べ。新生児をAとBの2つのグループに分けて、どちらのグループも石けんで体をきれいに洗うことを32週続けたうえで、グループA(59名)は、毎日1回以上、全身に保湿剤を塗る。グループB(59名)は、保湿剤は使用せずに、肌が乾燥したときだけ白色ワセリンを塗った。その結果、毎日保湿剤を使っていても38%の子はアトピー性皮膚炎を発症したことがわかった。

アトピー性皮膚炎は早期発見・治療がカギ! ステロイド外用薬の誤情報に注意

アトピー性皮膚炎は、低月齢だと診断がつきにくい問題があります。

「アトピー性皮膚炎の慢性化や繰り返す経過をみるとき、日本の診療ガイドラインでは、乳児では2カ月以上様子をみないとアトピー性皮膚炎と診断できません。海外では異なる基準になっています。
また低月齢のうちから乳児湿疹が出る赤ちゃんは多いのですが、その中には実はアトピー性皮膚炎も含まれています。アトピー性皮膚炎の多くは、1~3カ月で発症することがわかっています。
1カ月健診などで湿疹があると“様子をみましょう”と言われることが多いのですが、ほうっておくと症状が悪化したり、食物アレルギーを発症しやすくなります。そのため早期発見・治療が大切です」(山本先生)

アトピー性皮膚炎は遺伝的要因と環境的要因によって発症するということですが、どのような治療が有効なのでしょうか。

「アトピー性皮膚炎の治療で有効なのはステロイド外用薬です。“ステロイド外用薬を使うと、色素沈着を起こして肌が黒くなる・体内に蓄積する”と心配するママやパパもいますが、そうしたことはありません。これも間違った情報です。またステロイド外用薬の副作用として“背が伸びない”“感染症にかかりやすくなる”などともいわれていますが、これらは長期間、ステロイドの内服薬を服用した場合に起こる可能性がある副作用です。

ほかには“ステロイド外用薬は弱いものでないと怖い”と言う人もいますが、医師に処方された適切な強さのものを、医師の指示通りに使うことが大切です。ママやパパが自己判断でステロイド外用薬を中断したりすると湿疹が悪化することもあります。
最近は、中等症以上の湿疹の場合は“プロアクティブ療法”といって、湿疹がよくなっても週1~2回など予防的にステロイド外用薬を塗り続けると、長期的に湿疹が防げることもわかっています。
さまざまなアレルギー疾患が起こるアレルギーマーチの1つである食物アレルギーを防ぐためにも、アトピー性皮膚炎は、湿疹を治すことが第一です」(山本先生)

マルチアレルゲンをとることで食物アレルギーを防ぐ研究報告も

離乳食が始まったら卵や乳などは、ママやパパの自己判断で与える時期を遅らせるのではなく、適切な時期に与えることが食物アレルギーの予防につながることがわかっていますが、さらにマルチアレルゲンの研究が進んでいます。マルチアレルゲンとは、卵、乳、小麦、大豆、そば、ピーナツなどを単品でなくまとめて摂取することです。

「最近報告された日本の研究では、対象クリニックを受診したアトピー性皮膚炎がある乳児163人中83人に、湿疹を治療して、殺菌乾燥卵白粉末、ミルク粉末、小麦、大豆、そば、ピーナツの6品目が入ったミックスパウダーを3~4カ月から食べさせ始め、少しずつ量を増やして食物アレルギーが予防できるかをみる評価をしました。残りの80人には、ミックスパウダーは与えていません。その結果、18カ月までの食物アレルギーの発症はミックスパウダー群が有意に低く、約6割も食物アレルギーが防げたことがわかりました。
ただしこの研究は、クリニックで初回摂取をするなどしっかりクリニックで指導・管理をしながら行っています。
日本でも5~6カ月ごろから食べさせられるミックスパウダー(ミックス離乳食)が販売されていますが、学会も注意喚起を促しているので、さらに検討が必要とされているところです」(山本先生)

またアトピー性皮膚炎の予防のために、妊娠中や授乳中に「ママ自身、卵や牛乳を減らす」という人もいますが、予防効果はないそうです。

お話・監修/山本貴和子先生 協力/独立行政法人 環境再生保全機構(ERCA)取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

「生まれてくるお子さんのためのアレルギー予防オンライン教室」の参加には、事前予約が必要です。オンライン教室では、講師に直接、アレルギーについて質問できる質疑応答の時間もあります。

オンライン教室の申し込みは、成育医療研究センター 公式HPより

※1グラフ出典:国立成育医療研究センター
※2グラフ出典:環境再生保全機構 ERCA(エルカ)HP https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/47/medical/medical04.html

お話・監修/山本貴和子先生

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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