一卵性の三つ子の育児、入院の連続で眠れない日々。ママひとりで頑張ることに限界を感じ、爆発したことも【体験談】
比嘉奈美子さんは、2016年に一卵性の三つ子を妊娠25週で出産。三つ子はNICUで命をつなぎ、退院後は24時間体制で育児をしました。比嘉さんに、三つ子の1歳からの心配ごと、数々のいたずらとの向き合い方、息抜き方法などを聞きました。多胎親にも単胎親にも響く子育てのヒントが満載!全2回インタビューの後編です。
1歳代はぜんそくで入院の連続。24時間の付き添いで眠れない日々
――三つ子ちゃんが1歳過ぎてから心配だったことは何ですか?
比嘉奈美子さん(以下敬省略) 1歳の誕生日を境に人との接触を解禁したんですが、途端に風邪をひくことが増えて、1歳代は入院の連続でした。
大変なのは、夜間に病院に連れて行くときです。1人がぜんそくの発作で呼吸が苦しくなって、夫が大急ぎで病院に連れて行くと、その間にもう1人の呼吸が苦しくなって私が病院に連れて行きたいとなっても、自宅にいるもう1人を見る人がいないから連れて行けない、という事態になるんです。
三つ子の入院中も、保護者が24時間付き添う必要がありました。なぜなら、呼吸が苦しくなるのも心配ですが、少し元気になってくると、やんちゃな三つ子たちはベッドの柵を乗り越えて、落ちてしまったりするんです。三つ子から目が離せなくて、私は眠る時間がなくてつらかったですね。
――生後1カ月に手術した未熟児網膜症(みじゅくじもうまくしょう)の経過はどうでしたか?
比嘉 未熟児網膜症の手術後も、「視力がどれくらいになるかは1歳になるまでわからない」と先生に言われていました。私はずっと心配で、自分の指を立てて動かして、三つ子が目で追うかをよく確認していました。三つ子は私の指の動きになかなか反応しなかったんですが、1歳前日に初めて指を目で追って、ほっとしました。その後も定期的に診察し、3歳ころに「網膜はもう大丈夫」と先生に言われました。視力矯正は必要だったため、3歳代からメガネをかけ始めました。
三つ子のいたずらは想定外の連続!ママがSNS投稿を始めた理由
――1歳代の入院中も、やんちゃエピソードにご苦労があったようですが、家でもいたずらはありましたか?
比嘉 はい。成長するにつれて、3人で協力して想定外のいたずらを“やらかす”ようになりました。カーテンレールを引っ張って落としたり、床をはがしたり、ごはんを体にぬったり、インターネットの配線を引き抜いたり…。
いちばん衝撃だったのは、クリスマスツリーのオーナメントをレンチンして爆発させたときです。手が届かないところに置いていたのに、私の入浴中に泣き声がするからおふろから飛び出すと、電子レンジの中でオーナメントがジリジリと火花を出していたんです。本当に、何をやらかすか予想できませんでした。
――三つ子ちゃんのいたずらに、ママはどう向き合っていましたか?
比嘉 三つ子が“やらかす”たびに、私は「最悪…」という気持ちになっていました。でも、あるとき、その様子をInstagramに投稿したら、私の気持ちが紛れることに気づいたんです。フォロワーが「やばいね(笑)」と共感してくれたりして、徐々に笑い話にできるようになりました。
――いたずらを笑い話にできるメンタルに変わっていったんですね。ほかに、育児を通して考え方が変わったことはありますか?
比嘉 少しずつ、人に甘えられるようになったと思います。
0歳代は、実家で父、母、姉、妹、めいの手を借りて育児をしていましたが、家族に気を使って、自分でできることは自分でやろうと頑張っていました。ところが、あるとき私が爆発してしまったんです。おでかけの準備中、出先でピンチになるのが不安で、登山並みの大荷物を用意しながら、三つ子を1人ずつ支度させて、でも時間に遅れてはいけないというプレッシャーに追い込まれてしまって…。
このときから、「なぜ私は1人で頑張っているんだろう?助けてくれる人がいるんだから、お願いしよう」と思うようになりました。おでかけ前は私が荷物の準備に専念して、家族に「この子の着替えをお願い」「ミルクをお願い」と指示するようにしました。
――ママはどのように息抜きしていましたか?
比嘉 デパートに行くと気持ちが晴れました。三つ子が風邪で入退院を繰り返していた時期は、三つ子の感染症対策のために、家族で車でデパートに行って、三つ子は車の中で待機。家族交代でショッピングしていました。
三つ子が3歳になって保育園に入園してからは、やっと自分の時間ができたし、三つ子たちも体力がついてきて、自分で歩いたりベビーカーで外出できるようになりました。
ゆっくり成長中!自立に向けて工夫していること
――三つ子ちゃんは小学3年生になりました。それぞれの性格に違いはありますか?
比嘉 長男は、私以外には甘えん坊。慎重だけど好奇心は旺盛です。二男は、私のことが大好きな一方で、責任感が強くてやさしい子。夢は警察官です。三男は、お茶目でお笑い担当。音楽とブロックが得意で、ブロックは大作を作ってみんなを驚かせています。
3人にはそれぞれパーソナルカラーがあって、長男は赤、ニ男は青、三男は黄色。NICU(新生児集中治療室)入院中に、病院から「三つ子を取り違えないように目印として色を決めてください」と言われて、夫婦で決めました。今でも、服やメガネをその色にしていて、本人たちも気に入っているようです。
――ママが今、三つ子ちゃんについて心配なことはありますか?
比嘉 勉強が嫌いなことです。三つ子たちは、同級生より身長が小さいし、自分たちの成長がゆっくりだとわかっていて、なんでも初めから「できない」とあきらめているように思います。もう少し挑戦する気持ちを持ってほしいですね。
――そんな三つ子ちゃんたちの自立に向けて、工夫していることはありますか?
比嘉 寝る支度を自力でやってもらうために、寝る時間に私が散歩に出るようにしています。まずテレビを消して、私は「お散歩してくるね。ママが帰るまでに終わってるかな?」と声をかけて家の外に出て、ペットカメラで三つ子の様子をスマホで見ています。私が隣にいると、甘えてなかなか支度をしないんですが、私がいなくなると、歯磨きもトイレも自分たちでできるんですよ。
あとは、小学1年生のときから“お仕度ボード”を使っています。宿題や歯磨きなど、気分次第ですが、ときどき使っています。
――これから、三つ子ちゃんにはどのような子に成長してほしいですか?また、三つ子ちゃんたちの手が離れてきて、ママがこれからやりたいことはありますか?
比嘉 3人には、ちょっとしたことででも幸せを見つけられる子になってほしいと思います。
私は、お笑いコンビのEXITのライブに行きたいです。まずは産後に増えた体重を落として、ライブで兼近さんに会いたいです!
お話・写真提供/比嘉奈美子さん 取材・文/大部陽子、たまひよONLINE編集部
比嘉さんは、「三つ子でよかったことは?」の質問に、「いつも3人一緒なので、初めての環境に不安がないようです。だから、保育園、幼稚園、小学校入学時も、親としては安心できました」と回答。1度に3人の入園・入学準備は毎回大変だったと思いますが、どんなこともポジティブに転換する比嘉さんのマインドセットは学びになります。そんな比嘉さんのInstagramには、三つ子の日常を見事に撮影した写真や、思わず笑ってしまうエピソードが満載です。
比嘉奈美子さん(ひがなみこ)
PROFILE
2016年、妊娠25週4日に一卵性の三つ子を出産。出生時は、長男573g、ニ男651g、三男573g。NICUで未熟児網膜症、動脈管開存症などの治療を経て4カ月後に退院。現在は小学3年生に成長し、元気に学校に通っている。Instagramで三つ子の成長を投稿中。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年4月現在のものです。