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妊娠25週で手のひらにのるくらいの小さな三つ子を出産。「大丈夫、大丈夫…」と唱えながら不安と闘った【体験談】

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比嘉奈美子さんは、自然妊娠で一卵性の三つ子を妊娠し、妊娠25週で緊急帝王切開に。誕生後の三つ子は、小さな体で何度も緊急手術を経験しました。そして、NICU退院後は、家族の協力のもと24時間態勢で三つ子育児に臨んだ比嘉さん。妊娠中の壮絶なつわり、不安とのたたかい方、0歳代の育児態勢などについて聞きました。アイデア搾乳法も紹介!全2回インタビューの前編です。

つわりで-10kg。切迫早産で入院中は「感謝」を書いて不安とたたかった

誕生4時間後の長男・一護(いちご)くん。573g。身長は30cmほどだった

――はじめに、三つ子の妊娠がわかったときのことを教えてください。 

比嘉奈美子さん(以下敬省略) もともと、子どもは1人か2人望んでいました。結婚翌年に妊娠しましたが、三つ子とわかったときは不安で3日間眠れませんでした。折しも、妊娠がわかる少し前に、三つ子出産時に亡くなったママのニュースを目にしたばかりで、私も命がけの出産になるかもしれないと思ったし、子どもも無事に生まれるか心配だったんです。

――妊娠経過はいかがでしたか?

比嘉 つわりが苦しくて苦しくて、どうにかなりそうでした。電話の音や部屋の照明の光も刺激になって吐いてしまい、妊娠判明から2週間後には立てなくなって…。ひたすら寝て、食事は、夫が買い集めてきたゼリーをひと口ずつ1日かけて食べて、全部吐くという生活でした。
妊娠14週ころに脱水で1週間入院。退院後もつわりは続き、妊娠20週に子宮頸管(けいかん)が短くなったことから再び入院しましたが、つわりがあまりに長く続くので、医師に胃がんを疑われたほどで。結局、妊娠中に10㎏減りました。

――切迫早産(せっぱくそうざん)で入院中も毎日不安だったと思います。不安をやわらげるために、やっていたことはありますか?

比嘉 感謝の気持ちを手帳にずっと書いていました。
「看護師さんがやさしく声をかけてくれた。ありがとうございます」
「家族が見舞いにきてくれた。ありがとうございます」
「今まで仕事ができていたことに感謝します」
「私の子宮、子どもたちを守ってくれてありがとうございます。頑張ってください」
といった具合。

絶対安静の指示だったので、私は書くことしかできないし、ずっと書いていないと不安で壊れそうだったんです。それでも不安に押しつぶされそうなときは、「私は健康な子どもを産みます」と、不安が消えるまで繰り返し口に出してつぶやいていました。

入院中の楽しみは、食事メニューのチェック。朝起きると体重を計測し、壁に貼りだされた当日の食事メニューを見て「今日は〇〇が出るぞ」と気分を上げていました。実際は、終わらないつわりで食欲はないし、張り止め薬の副作用でだるいし、床ずれが痛くて、体重計測も大仕事でしたが、このような小さな楽しみを見つけて過ごしていました。

妊娠25週に緊急帝王切開で出産。誕生後も緊急オペが続いた

誕生4時間後の二男・碧仁(あおと)くん。651g。生後4日目に緊急オペで命をつないだ

――出産は妊娠何週に、どのような経緯でしたか?

比嘉 妊娠25週に破水して緊急帝王切開になりました。極限の不安を打ち消すために「大丈夫、大丈夫、大丈夫…」と千回くらい言いながら出産しました。
長男・一護(いちご)は573g、ニ男・碧仁(あおと)は651g、三男・幹登(みきと)は559gで誕生。翌日、三つ子に初対面したとき、片手に乗るぐらいの小さな子どもたちを見て、「かわいい」と思いました。

――NICU入院中の三つ子ちゃんたちは、どのような様子でしたか?

比嘉 私は産後2週間で退院しましたが、三つ子たちは予断が許されない状況でした。
とくに、ニ男は生後4日目に動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)で急変し、糸くずのような心臓の血管を縛る手術をすることに。手術中、私は出産時と同じように「大丈夫、大丈夫…」と繰り返し口に出して不安とたたかっていました。そのとき、音楽ユニットKiroroとして活動しているいとこの千春ねえねえが、たまたま出産祝いに来てくれて…千春ねえねえの顔を見たらワーッと泣いてしまうくらい、ギリギリの精神状態でした。
二男の手術は無事成功しましたが、1カ月後に再び二男が、今度は未熟児網膜症(みじゅくじもうまくしょう)で今すぐ手術しないと失明するかもしれないという状況になり、緊急オペに。長男と三男も、ほどなく同じ手術を行いました。
このような「緊急」が毎日のように続いたので、毎朝、NICUの先生が私に近づいてくるときが恐怖でした。真顔のときは、深刻な状況を宣告されるとわかったので…。

――三つ子ちゃん入院中のママは、どのような生活でしたか?

比嘉 妊娠中はつわりと絶対安静が続いて動けなかったので、体力が落ちてしまい、階段の上り下りもできなくなってしまいました。退院直後は歩行器を使って移動したり、入浴するのもやっとでしたが、それでも毎日、母乳を搾乳して病院に届けました。

ここで、私が考案して実践していたオリジナルの搾乳法を紹介します!スポーツブラの乳首部分に穴をあけて、電動搾乳機で搾乳するんです。こうすることで、朝、病院に向かう車の中でも搾乳が可能に!しかも、搾りたての母乳が届けられました。睡眠や日常生活の妨げを最小限にしたくて考えた、工夫のひとつです。

実家家族と24時間態勢の育児。夜間はママ1人で3人に授乳

誕生4時間後の三男・幹登(みきと)くん。559g。4カ月後に3人そろって退院できた

――三つ子ちゃんは生後何カ月で退院しましたか?また、退院後は、どのような態勢で三つ子ちゃんを育児したのでしょうか?

比嘉 三つ子は生後4カ月で退院。1歳になるまでの7カ月間は実家で育児をしました。父、母、姉、妹、小学生のめいが「子育て応援隊」としてチーム育児態勢を作ってくれたんです。乳幼児突然死症候群が心配だったので、24時間だれかが見ているようにしました。

夜間は22時から私が1人で授乳。朝4時に父母にバトンタッチして、私は仮眠。私が7時に起きると、父母から交替してくれていた小学生のめいから、私がバトンタッチ。午前中に母が仕事から帰宅したらバトンタッチしてまた仮眠するというルーティンでした。
そして感染症対策のために、外出した人は入浴しないと三つ子にさわれないルールも。夫は仕事終わりに自宅で入浴して実家に来てチームに加わっていました。

三つ子の入浴担当は、私と仕事終わりの姉。ところが、家族が次々と腱鞘(けんしょう)炎になってしまい…。その間はファミリーサポートを利用したり、小学校低学年のめいが頑張ってくれました。

ある日ママが仮眠から起きると、小学生のめいが、二男・碧仁くん(生後8カ月ころ)にかわいい服を着せて遊んでくれていた。「めいが夏休みのときは、めいが私に『寝てていいよ!』と言って、ミルクを作って授乳したり、三つ子と遊んだりもしてくれて、私の仮眠時間が増えました」

――夜間はママ1人で授乳していたとのことですが、1人で3人にどのように授乳していたのですか?ママは夜間は寝ていなかったのでしょうか?

比嘉 1回の授乳は、1人は直接母乳で、残り2人は搾乳した冷凍母乳を解凍して哺乳びん…という形で交互に飲ませていました。哺乳びん組は、授乳クッションを使って哺乳びんを固定してセルフで飲ませることも。夜中にあまり泣かせないように、3人同時に授乳しておなかがすくリズムを合わせたり、バウンサーを使って足で揺らしたりと、工夫しました。それでも泣くときは、そのまま泣かせていました。生後半年までは完全母乳にしていたので、実家と自宅の冷凍庫は搾乳した母乳でパンパンでしたね。哺乳びんは洗うのが大変だったので15本ありました。
夜間授乳は私が寝ずの番で授乳するスタイルを1歳半くらいまで続けました。

――三つ子ちゃんを連れて外出することもありましたか?

比嘉 0歳代は、感染症対策のために、三つ子を人の集まる場所には連れて行きませんでした。外出は、人と接触しない広い公園や自然があるところに限定。また、三つ子連れの外出は準備も移動も大変なので、両親や姉が一緒に行ける日に、月1回程度でした。

人との接触の解禁は1歳の誕生日。沖縄伝統の1歳のお祝い「タンカーユーエー」を開催して、初めて親戚にお披露目をし、地元紙の取材も来てくれました。

タンカーユーエーを境に、私と三つ子は自宅に戻りましたが、その後も両親が毎日手伝いに来てくれました。

お話・写真提供/比嘉奈美子さん 取材・文/大部陽子、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

「産後のメロンパンは格別でした!」と比嘉さん。終わらないつわりと入院、三つ子の緊急手術と、不安が続く中でも、比嘉さんはポジティブに過ごす努力をしていました。感謝を書く、ポジティブワードを繰り返し言う、小さな楽しみを見つける。比嘉さんが実践した方法は、今日からでもマネできそうですね。

比嘉奈美子さん(ひがなみこ)

PROFILE
2016年、妊娠25週4日に一卵性の三つ子を出産。出生時は、長男573g、ニ男651g、三男573g。NICUで未熟児網膜症、動脈管開存症などの治療を経て4カ月後に退院。現在は小学3年生に成長し、元気に学校に通っている。Instagramで三つ子の成長を投稿中。

比嘉奈美子さんのInstagram

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年4月現在のものです。

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