きらきらマタニティライフなんて夢まぼろし。「幸せだけど、しんどい」妊娠生活の本音がポロリ。専門家に聞く
「たまひよ」アプリユーザに「あなたの妊娠生活をひとことで表すと?」として、「幸福」「感動」「感謝」「愛情」「神秘」「我慢」「しんどい」から選んでもらいました。みなさん、一言では表せられないと複数を選択。大半が「妊娠の幸せを感じつつ、しんどい」と、本音をポロリ。きらきらマタニティライフを満喫した人はほぼ0でした。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務し、これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の浜脇文子先生に聞きました。
「すべてひっくるめてが妊娠生活」「500文字では語れない」の声
一番多かったのは「幸福」というコメントでした。
「毎日が幸せだった」(あや)
「ずっと待ち望んでいた妊娠だったから」(たたんのママ)
「妊活して授かったので、とても幸せで、日々の成長に感動しています。つわりがほとんどないことにも感謝です。夫にはたくさんサポートしてもらって毎日感謝です。妊娠って本当に奇跡だと思うし、神秘だなと改めて感じます」(ちゃむ)
実は幸せ満開のコメントは少数派。ほとんどが幸せコメントの後に「きらきらマタニティライフって夢、まぼろし」として恨み節が寄せられました。
妊娠の幸せを感じつつ“しんどい”と本音がポロリ
「初めての妊娠だったので、エコー写真を見て感動し、胎動を感じて喜び…。でも妊娠ってそれだけじゃないんです。胎動少ない⁉と不安になったり、異常はないかなと心配は尽きず……。つわりが重くて、重度の脱水や発熱があってほとんど仕事に行けなかったし、切迫で自宅安静になったときは、とにかくしんどかった」(りな)
「『感謝』は実の両親に対して。つわりがひどい2ヶ月間、母は我が家にいて私の面倒をみてくれました。感謝してもしきれません。『神秘』はこの子を授かれたこと。『我慢、しんどい』はつわり!しんどすぎです。毎日、毎時ツラすぎて何もできない……という体験でした」(こんぶ)
「『感謝』は、体調がしんどい時や安静が必要だった時に助けてくれた夫へ。『我慢』は、切迫流産で安静が必要だったとき、外にも行けず自由がないように感じたから。『しんどい』は、身体的にもそうだが毎日、おなかの子が無事に育っているかが心配で不安でした」(そうまま)
「おなかの中で子どもが育っているという実感のなさ、でも確実にいるという不思議さ。そして、想像以上にマイナートラブルが多くてびっくりしている」(へす)
「つわりがひどく、重症妊娠悪阻と診断されました。妊娠発覚時から最近まで毎日嘔吐していたので、しんどい、つらいの印象が強いです。でも胎動を感じるようになってから、とても愛しくて勇気を貰えると感じています。実母や夫もつわりに理解があり、いろいろ助けてもらって感謝でいっぱいです」(うってぃ)
「長年の不妊治療を経て授かった子です。つわりでさえ『がんばって育ってー!』と、思いますが、ツライものはツライ。我慢することも多くてストレスも多いです」(がちゃち)
「双子育児をしています。妊娠中が本当にツラかった。産む痛さよりも、つわりと重たい身体がなによりツラかったです。『産んだらもっと大変だよ、おなかに戻ってと思うことがあるよ』と言われたけれど、双子でもそれは思わなかった。『妊婦にだけは戻りたくない』と思うほどトラウマです」(りんご)
「妊娠生活はこのアンケートの500文字(コメントの文字制限数)では語れません」(るる)
「我慢」「しんどい」という意見のなかには「切迫で入院生活です。幸せなマタニティライフを送りたかった」という、切実な声もありました。ベテラン助産師の浜脇文子先生に聞きました。
「幸せなマタニティライフではなかったかもしれないが、頑張っている自分と身体をほめてあげて」と、専門家
「思い通りのマタニティライフを送れなくても、無理にポジティブ変換する必要はありません。コメントにある通り、妊娠はハッピーな出来事である一方で、しんどいものなのです。
私はよく産後を“全治2ヶ月”と表現します。医学的に子宮などが元の状態に戻るのに8週間かかると言われています。妊娠・出産はそれぐらい母体に負荷がかかるものなのです。
そして切迫早産などで入院生活になったり、早産となったりした妊婦さんには、自分を責める必要はないと言ってあげたいです。
『私がちゃんとしていれば』と、自分を罰し後悔している妊婦さんが時々おられます。けれども切迫早産の原因は様々で、どんなに気を付けていても防げないこともあります。
完璧な生活なら未然に防げていたのか? それは誰にもわからなし、そうでない可能性の方が高いからです。
『自分は大変なのに、他の妊婦さんはキラキラして楽しそう』と、思ってしまいますよね。しかし、こうしていたら、こうしていれば、という『タラレバ』は自分の経験を残念なものにしてしまうと私は感じます。
確かに制限の多い入院生活は辛いです。
けれども見方を変えてみましょう。3食の食事が上げ膳据え膳で、ゴロゴロとベッドで過ごせる日々なんて人生でそうはありません。赤ちゃんのことだけを考えて過ごせる、貴重な日々をもらえたとも言えます。
無理にポジティブ変換する必要はありませんが、妊婦さんは赤ちゃんを守るために全身で頑張っているのですから、卑下する必要はないのです。
自分を罰しないで。そして『私は頑張っている』と、誇りをもちましょう」(浜脇文子先生)
浜脇文子(はまわき ふみこ)
助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。
文/和兎 尊美
※文中のコメントは「たまひよ」WEB・アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
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