約4割のママが使用して出産!「陣痛促進剤」知っておきたい3つのこと
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「陣痛促進剤」と聞くと、何となく怖いイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。でも、たまひよインターネット調査(2017年4月実施)によると、38.3%のママが、出産のときに「陣痛促進剤を使った」と回答! 実に4割近いママが、出産時に陣痛促進剤のお世話になっていました。
「人工的に陣痛を促すため、悪いイメージを持つ人もいますが、なかなかお産が進まないときの強い味方です」と教えてくださったのは、愛育病院産婦人科部長の山下隆博先生。
出産時にお世話になるかもしれない【陣痛促進剤】のことを、妊娠中からきちんと知っておきましょう。
1.陣痛促進剤とは、どんな薬?
――「陣痛促進剤」とはどのようなものなのでしょうか?
山下先生「陣痛促進剤(正式には子宮収縮薬)は、陣痛を誘発する、強める、産後に子宮を収縮させて出血を止める効果がある薬のことです。
使い方は、予定日を大幅に過ぎてしまったときや、破水してなかなか陣痛が来ないときに陣痛を起こす『陣痛誘発』と、陣痛開始後の弱い陣痛を強めて、お産を後押しする『陣痛促進』の2通りがあります。
使用するタイミングは、ママと赤ちゃんの状態や、お産の進行により異なります。いずれも、医療的なサポートが必要と判断されたときに、適切に使用されます」
2.どんなときに使われる?
――具体的には、どのような状況のときに陣痛促進剤が使われるのでしょうか。
山下先生「破水したものの陣痛が始まらず、赤ちゃんへの細菌感染が心配なときや、出産予定日を大幅に過ぎても陣痛が始まらないときに、陣痛を誘発するために使います。
また、微弱陣痛が続き、歩行など陣痛を促す運動をしても有効な陣痛にならない場合や、陣痛が途中で止まってお産が進まない場合は、母子共にストレスがかかり、赤ちゃんの心音低下やママの疲労を招くことがあるため、分娩に有効な陣痛が来るよう、陣痛促進剤で子宮収縮を強めます」
3.赤ちゃんとママの体への影響は?
――薬の副作用などはないのでしょうか。
山下先生「陣痛促進剤の使用を不安がる方もいるようですね。まず、薬自体が赤ちゃんに影響を及ぼすことはありません。
デメリットがあるとすれば、陣痛が強くなりすぎる『過強陣痛』ですが、今は厳密なガイドラインが定められており、慎重な投与が行われています。そして、ガイドラインにのっとって使っている限り、副作用はまず心配いりません。
陣痛促進剤には、もともと腸を動かす作用を持つ薬もあり、中には嘔吐や下痢といった症状が出る人も。その場合は、投与を中止します。陣痛促進剤はお産をサポートしてくれるもので、『上手に利用する』というふうに考えたらいいと思いますよ」
山下先生のお話から、陣痛促進剤は適切に使用すればメリットの大きい薬だということがわかりました。実際に陣痛促進剤を使用する場合は、医師から必要な理由や使用法などの説明を受けます。もし副作用の心配や薬のリスクについて気になる場合は、納得がいくまで医師に説明を受けてくださいね。(文・たまごクラブ編集部)
■監修/総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科部長 山下隆博先生
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