生まれてからじゃ遅い?妊娠中にしておきたい保険の見直し
どうして子どもが生まれるとき、保険を見直す必要があるの?
子どもが生まれると、これまでの生活や必要なお金が一変します。1人の子どもを大学まで行かせるための教育費は大学まですべて公立に行ったとしても約1000万円程度といわれていますが、それに生活費も上乗せされます。保険は、病気や死亡など、働けなくなったときの生活保障。子どもが生まれたときは、この必要保障額がいちばん大きくなるため、保険を見直すことが必要になってくるのです。
保険はとても高い買い物です。一度に多額の現金が動くわけではないので気づきにくいものですが、支払う総額を計算してみると、家を購入するくらいの高額な買い物といえるでしょう。人生の節目には、保険の見直しをすることをファイナンシャルプランナーとしておすすめしていますが、子どもが生まれて家族が増えるこのタイミングは、必要保障額がいちばん大きくなり、保険金額も支払う保険料も高くなるからこそ、慎重に見直しを行ってほしいのです。
子どもが生まれるときに見直すべき保険は何?
子どもが生まれるときに見直す保険は3つです。子どもを養う父親に何かあった場合の「生命保険」、母親がけがや病気などで入院などした場合の「医療保障」、そして教育費の準備のための「学資保険」です。
子どもが生まれると、当然生活費の負担が増えますから、大黒柱に何かあると、すぐに生活がたちゆかなくなる可能性があります。そのため、子どもの人数によっても変わりますが、子どもと妻がいる会社員の場合には、3000万円から5000万円程度の生命保険をすすめられるケースが多いでしょう。この金額は、妻に収入があったり、住まいが持ち家かどうかなど、いくつかの条件によって変動しますし、子どもが大きくなってきたら保険金を減らすことで負担を軽くすることができます。
最近では、自動的に年々保険金を減らしていくことで、その後の見直しの手間を省いてくれる商品もあります。今入っている保険があるのなら、それをこれからの生活に合うように見直しをする、新規で入るのならいくつかの保険会社から見積もりを取るなどして、時間をかけて商品選択をするといいでしょう。
同時に行いたいのは、母親の医療保障を見直すこと。女性は、会社員のときには多めの保険に入っている方もいますが、結婚や妊娠で家計のやりくりが大変になって保険をやめてしまった、もしくは加入していても、かなり少なめの保険にしか加入していないというケースが多いようなのです。
ただ子どもが小さいうちに母親が病気になると、入院時のベビーシッター代など、子どもを預けるための負担が余計にかかる場合が多いものです。それを考えると母親の医療保障の1日当たりの給付額は高く設定しておきたいですね。子どもを預けなくてもいい年齢になれば、その部分を見直せばいいわけですから、一定期間だけの必要経費と考えるといいでしょう。
子どものための学資保険は必要なの?
「子どものための学資保険ってわざわざ加入しなきゃだめ?」「学資保険に加入しなくても、月々の積み立てをしていけばいいから入る価値はないよね?」と言われたことが数多くあります。
「ただ、天引きで知らないうちに目標額が貯まり、しかも定期預金より利率がよく、元本割れは気にしなくてもよいという、教育資金としてふさわしいいくつかの特徴を満たす商品として「学資保険」はかなり優秀といえます。お金がかかる子育て世代にはうってつけの商品でしょう。
実際に学資保険に加入する際のポイントは、ずばり3つ。①払込期間、②保険の支給時期、③受け取り方です。まず払込期間ですが、保険料の払込期間には、実はいろんなパターンがあります。
皆さんがご存じなのは、月払い、半年払い、年払い、全期前納というところでしょうか?今は5年払い、子どもの年齢が10才、12才、15才までに払い込みが終了するものなど、払込期間が選べるのです。子どもが小学生のときまでが、いちばん貯蓄できる時期なので、早めに大学入学の費用を準備しておけるのは、家計にとっても安心といえるでしょう。
保険の支給時期というのは、子どもの進路として大学の推薦入学を考えているのであれば高校3年の9月までには手元に保険金が入るように設定する必要があるのです。推薦入学の場合、早いと9月には決まり、すぐに入学金の支払いを済ませなければいけないからです。保険会社によって支給時期はまちまちですので加入前にきちんと確認しましょう。
最後に受け取り方です。学資保険を大学の入学金にと考えているなら一括で受け取れる設定で。学費のためと考えるのなら分割で受け取れるよう設定するなど使い道に合った受け取り方をすることをおすすめします。
このように、子どもが生まれるときには、保険の見直しは必須です。保険にはお金がかかりますが、何かあった場合のお守りと考えてみては。学資保険は出産日前でも加入できますし、産後は育児でバタバタするでしょうから、妊娠中の比較的落ち着いている時期に、各保険会社の特徴と自分の求める保険をマッチさせて見直しをすすめておくと安心です。
監修:當舎緑 先生
社会保険労務士 行政書士 CFP®
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は一般消費者向けのセミナーや執筆活動を精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組みなど。
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。