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「右手がない?」生まれたばかりの我が子を抱いて目の前が真っ暗に…。先天性欠損症を受け入れ覚悟を決めた夫の言葉【美馬アンナさん】

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女優やタレントとして活動する美馬アンナさんは、2014年に千葉ロッテマリーンズで活躍するプロ野球選手の美馬学投手と結婚。2019年に待望の長男・ミニっちを出産しましたが、先天性欠損症により右手首から先がない障害をもって生まれてきました。想像もしていなかった出来事に大きな衝撃を受けたというアンナさんに、当時の心境とその心の変化をお聞きしました。

2人で楽しむ時間を大切に過ごした妊活期間

アンナさんのSNSでは、ご夫婦の仲睦まじいショットもたくさん公開されています。

結婚後、お子さんを望まれていた美馬夫婦でしたが、思うように授からず、ミニっちを授かったのは結婚6年目だったと言います。

「夫は父親になるべくして生まれてきたような人なので、妊娠がわかったときは、『やっとパパにしてあげられる!』と思いました。ただ我が家の場合、夫は遠征やキャンプで家を不在にする期間も多く、ゆるっと妊活していた感じで、本格的に不妊治療をしていたわけではありませんでした。妊娠までの道のりは長かったですし、妊活がきっかけで夫婦仲が悪くなることはイヤだったので、たとえ子どもができなくても仲良く過ごせるように、妊活中は意識して過ごしていました」(アンナさん)

お互いを思い合う気持ちは同じでも、妊活に対し、やはり男性と女性では考えが異なる部分もあったと振り返るアンナさん。だからこそ、時間ができれば旅行をしたり、デートをしたりと、子どもや妊活の話題は抜きにして、2人で楽しむ時間を大切にしてきたそうです。

30時間に及ぶ出産、抱きしめようとした我が子の“異変”に絶句

出産直後の親子写真。ご主人はちょうどお休みで立ち会うことができたそう。

妊娠初期のつわり以降は順調な妊婦生活を送っていたアンナさんでしたが、7カ月を迎えた頃に、 健診以外に任意でできる精密検査があることを聞き、受診してみたそう。しかし、とくに検査では問題はなく、予定通り臨月に出産の日を迎えます。

「人生に一度は出産の痛みを経験しておこうと自然分娩を選びましたが、30時間にも及ぶお産になったので、陣痛中は何で無痛分娩にしなかったのか悔やみましたね(笑)。タイミング良く、夫が立ち会えたので、その点では心強かったです」(アンナさん)

長時間に及ぶ出産を乗り越え、無事にミニっちを出産。医師から「おめでとう」と言われ、胸の上にのせられた我が子を抱こうとしたその瞬間、アンナさんの目に映ったのは、右手首から先のないミニっちの姿でした。「えっ?」と発するのが精いっぱいで、頭の中では「どうなってるの?」「おなかの中で圧迫されて取れちゃったの?」など、疑問と不安、何よりもその衝撃は、今でもハッキリと覚えていると言います。

先天性四肢欠損症と告げられ、世界が真っ暗に

ミニっちのエコー写真。このときは、顔と左手が見えています。

生まれたばかりのミニっちは、肺呼吸がうまくいかなかったことから、すぐに大きな病院へと運ばれることになりました。我が子を見送った後のアンナさんは、「このまま戻って来なかったらどうしよう」など不安ばかりがよぎり、想像していたような幸せな出産とはかけ離れた現実に打ちのめされていたそうです。

「あとで聞いた話ですが、夫は息子が出てくる瞬間を見ていたので、真っ先に右手がないことに気づいていたそう。けれど、私を不安にさせると思った夫は何も言わず、息子を取り上げてくださった先生も 出産時には気づいていなかったそうです」(アンナさん)。

妊娠中の精密検査の結果では、心配するような異常はなかったミニっちでしたが、医師から先天性四肢欠損症であることを告げらます。

「おなかの中で起こっていることなので、医学的にも解明されていない部分もあるのですが、息子の場合は、恐らくおなかの中で育っていく過程で血流が悪くなったり、羊水のなかで何らかの異常が起こり、育たなくなったのではないかと言われました。手足の先天異常については、息子のように出生後にわかるケースも少なくないそうです」(アンナさん)

退院後、ある程度落ち着いてから妊娠中のエコー写真を見返したアンナさんは、体を丸めていたり、左手と重なっていたりしているように見えたから右手のことが気にならなかっただけで、実はわりと早い週数からミニっちに右手がなかったのかもしれないと感じたそうです。

「この子を幸せにしてあげられる自信がある」覚悟を決めた夫の言葉

ご主人の言葉に、何度も救われたというアンナさん。

現実を受け止めようにも、右手がなければあれもできない、これもできないと、ミニっちの将来を案じては涙を流すアンナさんを暗闇の中から救ってくれたのは、ご主人の存在でした。

「『もしおなかの中で右手がないとわかっていたら生まなかったの?』という夫の問いにうまく答えられなかった私に、『俺はおなかの中で障害がわかっていても、生んでほしいって言っていたよ。この子が俺たちを親にできてすごい幸せだって言わせる自信がある。この子を幸せにしてあげられる自信がある。俺はこの子がよかった。この子は俺らがよかった。お腹の中でわかっていたか、わかっていなかったかというのは、覚悟できていたか、覚悟できていなかった位の差でしかない。俺の中では、大した差ではないよ』そう彼に言われたときに、この人なら大丈夫かもしれない。そう思いましたし、覚悟を決めて生まれてきてくれた息子に対し、自分たちも覚悟を決めないといけない。親として恥ずかしくない生き方を見せたいとも思いました」(アンナさん)

入院中、産院の院長先生から呼ばれた美馬さんご夫妻は、ミニっちと同じ右手首欠損症の元メジャーリーガー ジム・アボット選手の前半生を描いた「奇跡の隻腕―ジム・アボット物語」をプレゼントしてもらったそうです。できないと決めつけるのではなく、これから先、ミニっちはキャッチボールだって野球だって何だってできる……そんな院長先生からのメッセージが込められた書籍を受け取ったアンナさんは、目の前の霧が少しずつ晴れていくのを感じたと言います。

生後2カ月にSNSで障害を公表「次は私たち家族が勇気を届ける番に」

パパのウイニングボールをもらって、ご機嫌のミニっち。

ご主人や医師のほかにも、両親や友人からも心温まるメッセージや愛情を注いでもらうなか、アンナさん自身もSNSやインターネットを利用して、先天性四肢欠損症に関する情報を集めたそう。そこには、同じ境遇の親子やパラリンピアンの方などの経験談があり、たくさんの勇気をもらったと言います。

「世界が開けたとはまさにこのことで、『障害があってもこんなことができるの?』と驚くとともに、みなさんからすごく勇気をもらいました。次は私たち家族が勇気を届ける番になりたいと、夫にも右手首欠損症のミニっちのことをSNSで公表したいと相談しました。彼も賛同し、『絶対に息子の生きるパワーを、前に進む力を見て勇気が出る人はいるよ。自分たちの経験を表に出すことで救われる人だっていると思う』と言ってくれました」(アンナさん)

そしてアンナさんは、ミニっちが生後2カ月を過ぎたタイミングで右手首欠損症のことを写真付きでインスタグラムに投稿。ミニっちの成長や夫婦の思いなど、愛情あふれる投稿に多くの人が心を動かされ、美馬家族に応援メッセージを寄せています。

時を同じくして、ご主人の美馬選手は、東北楽天ゴールデンイーグルスから千葉ロッテマリーンズに移籍。それにともなって家族で都内へと戻ってこられたことで、実家も近くなり、「サポート体制は完ペキです!」とアンナさん。出産直後の衝撃と不安から一転、一人で抱え込むことなく楽しく子育てができていると教えてくれました。

写真提供/美馬アンナさん、取材・文/佐藤文子、たまひよONLINE編集部

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年8月の情報で、現在と異なる場合があります。

<プロフィール>
美馬アンナさん
1987年生まれ、女優、タレント、歌手。2014年に、プロ野球選手の美馬学氏と結婚。(現・千葉ロッテマリーンズ所属)。2019年10月に長男を出産し、先天性欠損症(右手首欠損症)と診断される。
2023年6月にInstagramにて第2子妊娠を報告。

美馬さんのInstagramアカウント

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