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能登半島地震・緊急メッセージ。 被災時の妊婦さんとご家族が注意すべきこととは? 【産婦人科医&助産師】

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2024年元旦に発生し、甚大な被害を出した能登半島地震。被災後、避難生活の中で、妊娠中のママやご家族がどのようなことに気をつければいいのか、どんなことができるのか。産婦人科医の芥川修先生と助産師の鳥越敦子さんにお話を聞きました。芥川先生は、東日本大震災を経験し、その後、被災地で医療にも従事。その経験をふまえての緊急メッセージです。また、災害はいつ起きるかわからないものです。被災した方以外も、ぜひ覚えておいてください。

妊娠中だからこそ、避難生活で とくに気をつけたいことがあります

突然の災害に見舞われ、つらい思いをされている皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。長引く避難生活、復興中の生活の中で不自由な思いをされたり、被災時当初とはまた違う悩みを抱えられたりしているかもしれません。
妊娠中は、非妊娠時とは体も心も状況が違います。今のできる範囲でかまいません。以下のポイントをおさえて体をいたわり、そして心を守ってください。

妊婦さんは抵抗力が落ちている状態。 感染症をできる限り予防しましょう

避難場所などの集団生活において心配なのは感染症。妊婦さんはウイルスや菌に対する抵抗力が落ちているので、感染症にはとくに注意してください。コロナ生活で身についた、手洗い・消毒、マスク着用の習慣が役に立ちます。引き続き、行ってください。もし感染症にかかったら、医師に妊婦であることを告げ、処方された薬を飲みましょう。重症化させないことが大切です。

「口腔内」と「陰部」を 清潔に保つことを心がけて

口の中に細菌が増えると、それが血液中に入って子宮や胎盤に届き、流産・早産の原因になることもあります。歯磨きが難しい状況なら、ガムをかむ、あめをなめるなどして唾液の量を増やすことが有効です。また、ぬらしたティッシュなどで歯をぬぐうことで、歯垢を除去することができます。
また、妊婦さんはカンジダ腟炎にもかかりやすいため、陰部を清潔に保つことも大切です。下着の交換が思うようにできないときは、ナプキンやおりものシートを使用し、それをなるべくこまめに交換することで清潔を保ってください。ナプキンやおりものシートが手に入らないときは、清潔なタオルをナプキンサイズに切って、下着の上にあてるといいでしょう。

「血栓」に注意。 ふくらはぎの筋肉を動かすのが◎

妊娠中は、出産に備えて血が固まりやすくなっています。じっと動かずにいると血のかたまりができて、それが肺の動脈をふさぐと命にかかわることがあります。水分をしっかりとり、長時間同じ姿勢でいることを避けて。散歩など動き回るのが難しければ、ストレッチをしたり、ふくらはぎをマッサージするのでもOK。夫婦や、周囲の人とマッサージし合うコミュニケーションが、相互の癒やしになることも。かかとやつま先の上げ下げ、足首を左右に動かすだけでも、ふくらはぎの筋肉が刺激されて効果があります。

生活の中でスキンシップと 深呼吸を心がける

災害時や災害のあとは、恐怖や不安で体に力が入り、ストレスで呼吸が浅くなって過呼吸になる妊婦さんも多くいます。意識的に肩の力を抜いて、深呼吸してみましょう。ママ、パパ、どちらかが肩に力が入っているときは、肩に手を置いてやさしくなでて、力を抜いてあげて。こうしてスキンシップをすることが、お互いのリラックスにもつながります。自分で自分の体を抱きしめて、体をさすることもいいでしょう。

つらさをためこまずに吐き出す

つらい気持ちを話せるときが来たら、その気持ちを言葉にして吐き出してください。口に出すのが難しければ、紙に気持ちを書き出すのでもいいでしょう。ママとパパの気持ちが折れてしまったら、これから赤ちゃんを迎えるのに体がついていきません。1人でつらさを抱え込まないようにしてください。話す人は、家族でも、医療者でも構いませんが、逆にあまり知らない人の方が話しやすい場合もあります。また、孤独を感じないよう、できるだけ1人でいないようにすることも大切です。

胎動がいつもと違うと感じても、 落ち着いて様子をみて

胎動がいつもより激しいと感じたとしても、それは何も問題ありません。逆に、胎動がないのは心配です。ただ、胎動がないと思っても、それはママがあわてたり、あせったりして感じにくくなっているだけかもしれません。まずは気持ちを落ち着け、リラックスできる体勢になってから、様子をみましょう。それでも胎動がないと感じたら、ためらわず受診するか、近くにいる医療者に相談してください。
おなかの赤ちゃんはママのおなかの羊水の中という、最も安全な場所にいます。そのことを思い出して、不安になりすぎないでください。

取材・文/たまごクラブ編集部

妊娠中は何もなくてもいろいろなことが不安になるとき。避難をしながら妊娠生活を送る妊婦さんとそのご家族の不安はいかほどかと、心が痛みます。ただ、赤ちゃんは、ママのおなかの中、羊水に囲まれた安全な場所で、すくすくと日々成長しています。力強い胎動は、「ママ、頑張れ!」という応援のサインかもしれません。新しい命の成長が、みなさんの希望となりますように。”1人で頑張りすぎず、周りを頼る” ということを忘れずこの苦境を乗りきり、無事に出産を迎えられますことを心よりお祈り申し上げます。

●記事の内容は、2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

監修

芥川修先生
医療法人社団 寿修会芥川バースクリニック院長。 2013年、「最高の医療×やさしいお産」の環境整備をめざして神奈川県川崎市に開院。通常のお産はもちろん、無痛分娩や緊急手術の経験も豊富な先生です。

鳥越敦子さん
助産師歴14年(2023年時点)。妊娠・出産でダイナミックに変化する女性の心と体にていねいに寄り添い、的確かつ温かい指導で、たまごクラブでもおなじみ。医療法人社団 寿修会芥川バースクリニック助産師

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