知っているとラクになる!?【つわり中にハマる食べ物】の理由
「トマトが好きになりすぎて、箱買い」
「フライドポテトに激ハマり」
「炭酸水以外ムリ!」
「あめが手放せない」......など、
『たまごクラブ』に寄せられる、つわり妊婦さん「食べ物あるある体験」に共通するのは、「妊娠前と好みが変わった」「特定の食べ物・飲み物しか受けつけなかった」という点。
そして、つわり妊婦さんがハマるものには、なんとなく法則があるようです。
いったい、どんな関係があるのでしょう?
つわりの原因と対策について詳しい「つわり博士」こと、産婦人科医・恩田威一先生にお聞きしました。
つわりのときに“ハマり食べ”してしまうのはなぜ?
「妊娠すると、体内にさまざまな変化が起き、不足しがちな成分も出てきます。
そうすると、体が自然に足りない成分を補おうとして、特定の食品にハマりやすくなるのです。
たとえば、
・カリウムを多く含む果物
・ナトリウムと塩素を含む塩気のある食品
・腸のぜん動運動を促す炭酸水
・血糖値を上げやすいあめ
など ……つまり、“ハマり食べ”は、つわりの症状を緩和するために不足分を補おうとしている、無意識の防衛反応といえます」
ハマり食べ3大アイテム★妊婦のカラダが求める理由はコレ!
つぎは、つわりのときにハマりがちな3つの食べ物について、「ハマる理由」をつわり博士が解説します。
トマトや果物にハマる!その理由は?
→不足しているカリウムを補給してくれるから
「妊娠すると、血中のミネラルバランスが変化し、カリウムとマグネシウムが不足します。
赤ちゃんをはぐくむために、カリウムとマグネシウムが母体の筋肉や子宮、胎盤、赤ちゃんへと取り込まれ、さらにカリウムは尿への排せつが増えるので、不足した状態になります。
また、ホルモン変化の影響でカルシウム値が高くなりやすいことから、腸の動きが鈍り、胃液の分泌も増えて、これが、つわり期の胃腸の不調や気持ち悪さの原因となります。
カリウムをとると腸の働きが改善されることも、カリウムを多く含む食材を食べたくなる理由です。
トマトや、柑橘類、すいか、バナナなどの果物にはカリウムが豊富。
しかも、トマトや柑橘類にはほどよい酸味があるため食べやすく、つわりの症状が緩和されやすいから好まれるのです。
また、血糖値が下がるとつわりの症状が悪化することがわかっていますが、果物にはブドウ糖、蔗糖、果糖が含まれ血糖値を上げるのに有効なので、つわり中の妊婦さんに好まれるのです。
フライドポテトにハマる!その理由は?
→不足している塩素とナトリウムを補ってくれて、血糖値を改善してくれるから
「妊娠初期は、体の中を流れる血液の量(循環血液量)が増えて、血液が水っぽい状態になります。そのため、塩素とナトリウム不足になりがちです。
体内の塩素は、唾液、膵液の濃度を整えてでんぷん質の消化を助け、ナトリウムは糖の吸収を助ける作用があります。
この2つの栄養素が不足すると消化力が下がり、つわりは悪化。
だからつわり期には、本能的に塩分を好む傾向があるのです。
とくにつわり妊婦がハマる食べ物の代表格・フライドポテトは、塩がまぶしてあるので塩分がたっぷり。さらにじゃがいもはカリウムを多く含み、血糖値も上がりやすい食材。
つわり期に不足しがちな栄養素がそろったフライドポテトにハマるのは、無理のないことなのです」
あめやゼリーにハマる!その理由は?
→血糖値が上がって気持ち悪さが抑えられるから
「妊娠初期は、空腹時の血糖値が妊娠前よりも低くなる傾向があります。
そして、血糖値が下がると、つわりがひどくなることがわかっています。そのため、つわりのときはとくに、血糖値が上がりやすい食材を好むようになります。
また、何か食べていないと気持ちが悪くなる『食べづわり』は、低血糖状態を防ぐための防衛反応ともいえるのです。
あめは、血糖値を上げるのに最も手っ取り早い食べ物。
つわりがひどい場合は、ナトリウムと塩素を含む塩あめのほうが食べやすくなります。
ゼリーも甘みがあり、血糖値を上げてくれる食品。
つるんとしてのどごしもよく、カリウムを含む果物が入っていることが多いのも、好まれる理由です」
「炭酸水」にハマるのはなぜ?
「つわりのときは、血中のミネラル量の乱れと女性ホルモンの増加から、腸のぜん動運動が鈍くなりがちです。
さらに、『気持ちが悪くて水分がとれない』『まともな食事がとれない』といった悪循環に陥ると、さらに腸の動きが悪くなります。
炭酸水には、停滞しがちな腸の動きをよくする働きがあります。
飲むといくらかスッキリするので、つわり妊婦さんに好まれるのです。
炭酸水は常温より冷えているほうが、腸の動きを促す効果も高くなります。
ただし、大量に飲みすぎると逆効果になってしまうので、1回につき150ml程度までにしておきましょう」
つわりのときにハマる食べ物には、こんな明快な理由があったのですね。
恩田先生によると、つわりを軽く終わらせるには「そのとき食べたいものを食べる」ことがいちばん!
体にいいものを食べようと、無理をして食べたくないものを口にすると、かえってつわりが長引いてしまうこともあるそうです。
つわりの間は、体の声に正直に、食べたいもの・食べられるものを食べて、つわりが終わったら、栄養バランスを考えた食生活に切り替えてくださいね!(文/たまごクラブ編集部)
参考文献:「悪阻(ツワリ)なんてこわくない」恩田威一著(同成社)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
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