「育児の先輩である実母がしんどかった…」里帰り出産にまつわるモヤっとエピソード
「たまひよ」アプリユーザーに「あなたは出産の際に里帰りしますか?」と、質問。「里帰りした(する予定)」は約43%で、「里帰りしなかった(手伝いもなかった)」は、約25%になりました。里帰りしてよかった・助かったという人がいる一方で、中には里帰りでモヤっとしたという人も…。これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の濵脇文子先生に聞きました。
Q:あなたは出産の際に、里帰りの予定がありますか?または、里帰りしましたか?
自分の実家に里帰りする・した 43.1%
里帰りはしない・しなかった(自宅にも手伝いに来てもらわなかった) 25.4%
自宅に手伝いにきてもらう・もらった 24%
その他 4.7%
義実家に里帰りする・した 2.8%
「里帰りはしない・しなかった(自宅にも手伝いに来てもらわなかった)」と、夫婦で乗り切った家庭は25.4%となりました。
「自分の実家に里帰りする・した」「自宅に手伝いにきてもらう・もらった」「義実家に里帰りする・した」は、併せて69.9%となりました。
産後、親に支えてもらうことに心強さはあるようですが、居心地の良さは別問題のようです。
「里帰りでの心配事、または里帰りしてモヤッとしたこと、早く帰りたいと思ったエピソードがありましたら具体的に教えてください」と、コメントを大募集すると「里帰りの意味があまりなかった」「次の出産は里帰りしないかも」などの愚痴エピソードが届きました。
育児の先輩である実母がしんどかったエピソード
「里帰りしましたが、やはり自分の家が一番ですね。実家とはいえもう何年も住んでいないし、勝手が違うのでストレスでした。出産後、実母が良かれと思って育児に関していろいろと言ってくるのも、私にはしんどかったです」(みゆう)
「産後1ヶ月、実家に帰りました。母乳育児をやりたい私とミルク育児をしてきた実母で意見が衝突。赤ちゃんが泣くので母乳をあげていたら『おっぱい吸わせないと泣き止まない子になるから、やめなさい』と、睨まれました」(ちゅうみ)
「産休から実家に里帰りしていました。ただ夫が産後すぐから育休を取ったので、出産後は自分の家に戻ったら実母が大爆発!『臨月の辛い時に面倒見てあげていたのに、どうして生まれたら家に帰るの⁉普通は産前産後とセットで実家に帰るもの。せっかく可愛い孫の顔が見られると思ったのに!この親不孝もの!』と、散々罵られ、産後数ヶ月間は実母から毎日のように怒りのLINEが入りました。産後のメンタルが弱っている時期にしんどかったです」(ぴょん吉)
「絶賛里帰り中です。『何十年前の話だけど』と前置きはするけど、私の話は聞こうとしない……」(もここん)
居心地悪くて早く帰りたかった&帰ったエピソード
「両親共に正社員で働いていたし、夫が育休を1ヶ月取得したので里帰りするつもりはありませんでした。しかし両親が『休みをとるから』というので、夫の育休明けに2週間わざわざ里帰りしたのに……。実母も実父も子どもが寝ている時や機嫌が良い時に『可愛い、可愛い』と、愛でるだけ。泣いたらすぐ私に渡してくるし、食事の時間に子どもが泣いてもあやすのは私。2人はのんびりご飯を食べて、食べ終えてもスマホをいじって休憩モード。もちろん夜中のお手伝いもなし。毎日夫に『早く帰りたい』とLINEを送っていました」(そよ)
「両親は実姉夫婦との同居なので、甥姪たちの声がうるさくて……。しかも家が古いので風呂場が寒い。新築の我が家に早く帰りたかったです」(あわ)
「出産前から里帰りしましたが、そのタイミングに合わせてなぜか実家が断捨離を開始。産前産後、私もがっつり手伝わされました。すごく大変だったし、子どもとの時間もとれずストレスでした」(ゆきだるま)
「上の子の里帰りでは、1ヶ月も居たせいか親の機嫌が悪くなり、言動にはかなり気をつかって過ごしていました。今回は上の子も一緒なので、その分大変だと思うのでなるべく早く帰ろうとは思っています」(ぴぴぴ)
「里帰りして、私を含めて上の子のお世話など、肉体的にはたくさん助けてもらってありがたかったです。でも毎日のように、実母から実父の愚痴を聞かされてしんどかった。頑張りすぎる実母のメンタルがキャパオーバーになる前にと、予定より早く自宅に帰りました」(こだまやまびこ)
「里帰りしたけど、洗濯もオムツ替えも沐浴も寝かしつけも夜中の対応も、全部自分でやりました。唯一用意してくれていたご飯も、自分で作ることが増えてモヤッ。里帰りの意味ある?と感じて予定より早く2週間で帰りました。親はもっと長く滞在して欲しかったようです。だったらもう少しお世話して欲しかったなぁ」(かぴのすけ)
里帰りはしなかった&2人目はやめる予定エピソード
「うちの実家はあまり清潔ではないし、両親不仲で口喧嘩が多い、実母は自分の経験が普通基準なので、自分の考えと違うことをすると『〇〇なのになんで?』と、質問攻めにされる、などなど、安心よりストレスが勝ると判断して里帰りはしません」(まがたま)
「実母とは相性が悪いとわかっているので、里帰りはしません。孫はかわいがってくれるので、たまに会うくらいがちょうどいい」(きこ丸)
「上の子の時は産後のホルモンバランスが最悪の時に、実父からしつこく小言がありめっちゃ喧嘩しました。今は仲直りしましたが、両親が産後のホルモンに理解がないのなら、今後は里帰りはしない方がいいなと思っています」(maU)
「1人目のときは里帰りしましたが、実母も働いていたとはいえ結局はすべて自分でやりました。里帰りの意味はなく、2人目からはやめました」(えーちゃん)
「里帰り中、パパがきて赤ちゃんにミルクをあげたり沐浴したりお世話するたびに『こんなに手伝ってくれるパパはいない。感謝しなよ』と言う実母にモヤモヤ。言われるたびに『2人の子であり、私は感謝されないのになんで夫は感謝されるの?』と不満が溜まり、他にも気持ち的にストレスが多く、2人目は里帰りしませんでした」(ちー)
産後4週間は安静が必要と言われています。里帰り出産をしなかった場合は、どんな点に注意したほうがいいのでしょうか。
総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務し、これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の濵脇文子先生に聞きました。
「里帰り出産をしない場合はソリューションを確保し、産後1ヶ月は安静に過ごしましょう」と、濵脇先生
「『里帰り出産』という文化は世界的にも珍しく、日本独特と言っても良いほどです。ただ今は確実に減っています。
今回のアンケートで里帰り出産約4割という数字を見て、私の率直な感想は『あれ?意外に多いぞ』です。私の肌感覚ではもっと減っているイメージです。
里帰り先の両親が働いている、親が高齢で頼れない、など時代の流れもあると思いますが、私はコロナ禍が大きな分岐点になったと感じています。
コロナ禍では里帰り出産を控える妊婦さんが大勢いました。辛く不安に思う妊婦さんがいた一方で、ホッとした妊婦さんもいて『里帰り出産をしないほうがラク』と、感じた方がいるのではないかと。
私が勤務する産前産後ケアセンターには『里帰りをしてひと昔前の育児を押し付けられるなら、専門家のもとでゆっくりしたい』と、いう声を聞くようになりました。さらに昭和の頃は『親が苦手』『親と確執がある』という発言はタブー視されていましたが、今は『親とは適度な距離をとる』という考えも一般的になったことも大きいのかな……と。
とはいえ、助産師としては、里帰り出産をしない女性には、
『産後1ヶ月は育児以外のことは、なるべくしないで』と、強く言いたい。
夫は仕事があるから、上の子がいるからと、動いてしまう女性は多いです。実際に動けたりします。
しかし産後の女性の身体はガッタガタです。
産後は従来の家事に育児も加わり、産前よりも仕事量が倍です。なのに産前と同じように動いたら、より返しでガクっと倒れる恐れもあります。
パパの育休や産前産後ケアセンターを利用することも検討して欲しいです。無理ならば『しんどい時に頼れる場所』を調べておきましょう。ソリューションの確保です。
日帰りで利用できるケアセンター、産後ヘルパーの連絡先、救急で診てくれる小児科の病院、スーパーの宅配などなど。
里帰り出産の方も、家に戻った際にはソリューションを確保しておけば心強いので、調べておくことをおすすめします。
経産婦さんの初外出は、赤ちゃんの1ヶ月健診が目安と言われています。それまでは赤ちゃんのお世話のみに専念し、身体を休めるようパートナーともよく話し合いましょう」
濵脇文子(はまわき ふみこ)
助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。
取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年5月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数362人)
※記事の内容は2024年7月の情報で、現在と異なる場合があります。