妊娠の「安定期」って、何が安定するの?流産の心配はなくなるの?
「安定期に入ったので妊娠を報告します」という芸能人の言葉を聞いて、「安定期になったら、もう流産の心配はないのかな?」と思ったりしたことはありませんか?実は「安定期」という言葉の意味は、結構誤解されがちなものなんです。おなかの赤ちゃんを守るためにも、本当の意味を知っておきましょう!
「安定期」とは、母体のホルモンの状態が安定するということ
妊娠初期はホルモンバランスの激変や、自律神経の変化で、つわりや体調の変化に戸惑う妊婦さんが多いですね。さらに出血しやすい時期でもあるので、「流産するのでは?」と心配になることも…。
そんな中、子宮の中では着々と赤ちゃんが成長するための準備が整い、妊娠15週ごろまでには「胎盤」が完成。母体のホルモンの状態も安定してきて、基礎体温も徐々に下がるため、熱っぽさやだるさがなくなり、体が楽になったと感じる人も多いでしょう。このころからを「安定期」ということがあります。
妊娠中「安全な時期」という意味での「安定期」はないと考えて
「安定期に入ると、流産の心配がなくなるから、ひと安心」と思うこともあるかもしれません。でも、安定期とは、あくまでも母体のホルモンの状態が安定してくるという意味。たしかに子宮で赤ちゃんが成長する準備が整い、初期流産のリスクは減りますが、すべての流産のリスクがゼロになるわけではありません。母体が安定すること=妊娠そのものが安定する、ということではないのです。
妊娠中は、いつ、どんなトラブルが起きるかわからない状態。「流産の心配がない、安全な時期」という意味での「安定期」はない、と考えたほうがいいでしょう。流産の9割以上は12週未満に起きる早期流産ですが、その後21週までに流産や切迫流産(流産になりかけている状態)になる可能性もあります。また、22週以降は、早産や切迫早産にも注意が必要です。
安定期に入ったからと急に動き回らず、徐々に活動を増やして
「安定期に入ったから、ガンガンお出かけをしよう」「今のうちに旅行の計画を立てよう」と思う妊婦さんも。でも、急に活動的になったり、妊娠前はやらなかったことをやり始めるなど、生活リズムを変えるのはNGです。体調をみながら、少しずつ活動量を増やしていきましょう。
また、つわりが終わって食欲が出たからといって、欲望のままに食べてしまうと、体重オーバーになり、妊娠高血圧症候群などのトラブルの原因になったり、難産の要因になることも。
安定期に入っても、行動も食生活も急発進せず、無理なく活動量を増やしてくのが、おなかの赤ちゃんを守ることにつながります。
なんとなく使っていた「安定期」という言葉ですが、“おなかの赤ちゃんを守る”という観点からは、慎重に捉えたほうがいいようです。ママは無理せず、リラックスして適度にアクティブに過ごすと、おなかの赤ちゃんも喜ぶはず!(文/たまごクラブ編集部)
監修/昭和大学江東豊洲病院 周産期センター長 大槻克文先生
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※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。