切迫早産が増えています!原因と予防法を産婦人科医に聞きました
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赤ちゃんが外の世界に適応できない37週未満までは、ママのおなかの中で育ててあげることが大切です。早産で生まれた赤ちゃんは体の機能が未成熟。さまざまな問題が起こりやすく、大人になってから生活習慣病にかかりやすいという報告もあります。早産や切迫早産の予防法、注意点を産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。
安定期だからといって無理は禁物!
妊娠5~7カ月は一般的に安定期といわれますが、無理は禁物。流産・早産のリスクが減るとはいえ、ゼロになるわけではないからです。おなかの赤ちゃんを守るためにも動きすぎないように注意しましょう。
早産とは?
妊娠22週~36週に出産してしまうこと。低体重で体が未成熟な状態で生まれた赤ちゃんは、呼吸障害などさまざまな問題が起こりやすくなります。
切迫早産とは?
妊娠22週以降に、おなかの張りや出血、子宮頸管が短くなるなどの症状が見られますが、安静にして治療を受けることにより妊娠継続が可能です。
原因は?
腟内の炎症が赤ちゃんを包む膜に及ぶ、絨毛膜羊膜炎、妊娠高血圧症候群、子宮頸管無力症、子宮筋腫、胎盤の位置異常、多胎妊娠、歯周病などによっておこります。
切迫早産の兆候は?
主な兆候はおなかの張りや痛み、出血です。おなかの張りが強くて安静にしても治まらない、出血量が多い、真っ赤な出血がある場合は要注意。
自覚症状がないケースも!
おなかの張りや出血などの自覚症状がまったくない場合でも、健診時の超音波検査で
「子宮口が開き始めている」
「子宮頸管が短くなっている」
と判明するケースがあります。
もし早産してしまったら?
生まれた週数に応じて処置が行われます。32週未満、1500g未満、呼吸管理を必要とする、先天性疾患があるなどの場合、赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)に入院します。体の機能の成熟度に応じて治療が行われ、体重が2500gを超えたら退院するケースが多いようです。
切迫早産を予防するための4箇条
下記の注意を守ることで、早産や切迫早産を予防できます。できるだけ予定日間近まで、子宮の中で育ててあげましょう。
1.歯周病を治療しておく
歯周病菌は子宮を収縮させる作用があるといわれています。つわりが明けたら、歯科で妊娠していることを告げ治療しましょう。
2.セックスはコンドームを使用
コンドームをしないでセックスすると、腟内で感染を引き起こして早産につながる可能性があります。
3.疲れたときはすぐ休憩
心身の疲労やストレスがたまると、感染に対する抵抗力が低下して、おなかが張りやすい状態に。無理は禁物。
4.ママはもちろんパパも禁煙
たばこのニコチンは血管を収縮させる作用があり、胎盤を通して赤ちゃんへと流れる血流を悪くします。パパも一緒に禁煙を。
妊娠中のトラブルは、なにをしてもおきてしまう場合もありますが、切迫早産は生活習慣を見直すことで予防できる面もあります。赤ちゃんのためにも、ここで紹介した予防法を心がけて生活してください。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
1975年日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)
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