お産の始まり、陣痛から?前期破水から?先輩ママ体験談&よくあるパターンを産婦人科医が解説
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「お産が始まったとき、ちゃんとわかる?」「どんなふうに始まるの?」
出産が近づくと、あれこれ不安になるもの。陣痛から始まった人、破水から始まった人、それぞれの先輩ママたちの体験から、よくあるパターンを知っておくと、安心につながります。お産の始まりとそれぞれのパターンについて、湘南鎌倉バースクリニック院長・日下剛先生に解説していただきました。
お産の始まりには「陣痛」と「前期破水」がある
「お産は『陣痛』か『前期破水』のどちらかで始まります。
『陣痛』とは、子宮の収縮で起こる、規則的なおなかの張りや痛みのこと。出産に向かって痛みはだんだん強く、間隔も短くなっていきます。『前期破水』とは、陣痛が始まる前に卵膜(らんまく)が破れて破水することをいいます。
陣痛から始まるケースよりは少ないですが、破水をそのままにしておくと、胎児への感染リスクを見落とすことがあるので、すぐに産院に連絡しましょう」(日下先生)
陣痛から始まった場合の“よくあるパターン”
最もポピュラーな「陣痛から始まるお産」。でもその気づき方も始まり方も、人それぞれです。先輩ママたちの例を見てみましょう。
陣痛は10分間隔で始まるとは限らない!
「陣痛が10分間隔になったら本格的な陣痛の始まり」とは、よく言われること。けれど実際は、そんなにマニュアル通りにいかないことも多いようです。
●先輩ママの声
「おなかが痛かったけれど、予定日2週間前だったので油断して、便秘だと思ってトイレを行ったり来たり。実母に『陣痛じゃない?』と指摘され、念のため産院に向かう途中で話もできないほどの痛みに。すでに陣痛が1〜2分間隔でした」
「陣痛はもっと痛いはず」と我慢しすぎた…
陣痛で苦しんだ話を聞きすぎて、いざ本格的な陣痛が来たとき「こんなものじゃない!」「もっと痛いはず」と我慢してしまうママも多いようです。でも「もしかしたら」と思ったら、我慢しないで産院に連絡を。
●先輩ママの声
「夜中、軽いおなかの痛みで目が覚めました。トイレに行くとおしるしがありましたが、朝ぶろに入ると痛みが治まったため、『前駆陣痛(ぜんくじんつう)かな』とのん気にしていました。でもだんだん痛みが強くなり、産院に電話するときには、話すのもやっと。産院に到着したときには、我慢しすぎだと注意されました」
陣痛に気づけるか心配だったけど、すぐ気づいた
お産が近づくと妊婦さんが不安になることの一つに、「陣痛が来ても気づくかどうか」があるようです。でも大丈夫。陣痛に気づかないうちに生まれちゃった、なんてことはまずありません。それまでのおなかの張りや痛みとは、明らかに違うのが陣痛なんです。
お産が近づくと妊婦さんが不安になることの一つに、「陣痛が来ても気づくかどうか」があるようです。でも大丈夫。それまでのおなかの張りや痛みとは、明らかに違うのが陣痛なので、気づかないということはほどんどないでしょう。
●先輩ママの声
「午前中の健診での内診の刺激で、なんとなく腰が重くなりました。妊娠中は陣痛に気がつかないんじゃないかと思っていましたが、その日の夕方、明らかに“しっかり痛い”陣痛が。『ついに来た!』と思いました。陣痛に気がつかないなんてことはありえません」
頭で考えすぎると陣痛は遠のいてしまいます。一般的には「10分間隔になったら本格的な陣痛の始まり」とされていますが、時計とにらめっこせず、頭で難しいことも考えず、リラックスして待ちましょう。
破水から始まった場合の“よくあるパターン”
割合としては陣痛よりは少ないものの、破水から始まる人も。その驚きは陣痛以上、という人が多いようです。
おりものが多いと思っていたら、破水だった!
陣痛よりも「気がつかないかも」と思いがちなのが破水かもしれません。なかには、おりものの量がやけに多いと思っていたら、破水だったというケースも。とにかく迷ったら、一度産院に連絡をしてみましょう。
●先輩ママの声
「キッチンで家事をしていたら、足に垂れてくるくらいおりものが多いことに気がつきました。トイレに行くと、水っぽく、明らかにおりものではないほどの量! すぐに産院に電話すると、破水とわかり、入院することに」
破水の勘違いの定番!「もしかして尿もれ!?」
破水のとき、最も勘違いされるのが「尿もれではないか」と思うこと。でも尿もれだと思ってそのままにしていると、破水だった場合は、胎児への感染リスクを見落とすことがあります。自己判断せずに、産院で診察してもらうようにしてください。
●先輩ママの声
「実家で寝ているとき、寝返りを打つたびにジョワっと出てくるものが…。一瞬破水かと思ったけれど、もしも尿もれだったら恥ずかしいと思い、自宅の夫に電話で相談。『すぐに産院に連絡しなよ!』と注意され、産院に行くとやっぱり破水でした。予定日よりだいぶ早かったからまさかと思ったけれど、産院に連絡して正解でした」
破水は”はじけるように”出るわけではない!
破水は「パンッ!」とはじけるように水が出るイメージを持っている妊婦さんも多いよう。でも実際は、卵膜(らんまく)が破れる位置によって、チョロチョロと出ることもあります。自分のイメージで決めつけないで、いつもと違うと感じたら、産院に相談を。
●先輩ママの声
「朝トイレに行くと、チョロチョロと何かが流れてきました。破水って卵膜が破れてはじけ、ドバーッと流れ出てくるイメージだったけれど、チョロチョロが止まらないので、産院に連絡。やはり破水でした。まったく自覚がなく破水することもあるので、お産が近づいたら注意しないといけませんね」
破水かどうかを妊婦さん自身が判断するのは難しいものです。破水をそのままにしておくと胎児への感染リスクを見落とすことがありますので、迷ったらすぐに産院に連絡をして受診してください。産院で検査をすればすぐに診断できます。
お産が始まるメカニズムはまだわかっていませんが、確実に言えることは「意志でコントロールできることではない」ということです。子どもを授かりはぐくむために必要な営みは、感覚にコントロールされています。お産は安心感に満たされ、リラックスしているときに始まることが多いものです。「心配」や「不安」になる気持ちはわかりますが、その気持ちを上手に乗りきって、ゆったりとした気持ちで“その日”を迎えたいものですね。(文・たまごクラブ編集部 ライター樋口由夏)
■監修:湘南鎌倉バースクリニック院長 日下 剛先生
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