先輩ママ&産婦人科医に聞く、妊娠中の性生活&夫婦のコミュニケーション
Vasyl Dolmatov/gettyimages
妊娠してから、夫婦のコミュニケーションはどれくらいとっていますか? とくに妊娠中のセックスについては、まわりのママ友にも聞きにくいもの。今回は、産婦人科医の小川隆吉先生に、妊娠中のセックスのルールや、先輩ママの気になる疑問について伺いました。
妊娠中の性生活★3つのポイント
なかなか人に聞けないセックスのこと、気になるポイントを小川先生に解説していただきます。
妊娠中のセックス★そもそも、してもOK?
「体が安定しない妊娠5カ月未満は避けて、それ以降は妊娠経過が順調なら、無理のないセックスをすることは問題ありません。なるべく挿入は浅く、短時間で負担を少なくしてください」(小川先生・以下同)
妊娠中のセックス★してはいけないときは?
「出血があるとき、切迫流産(せっぱくりゅうざん)・切迫早産(せっぱくそうざん)の兆候があるときはやめてください。前置胎盤、子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)、多胎妊娠など、医師から安静を指示されている場合などもセックスはNGです」
妊娠中のセックス★するときの注意点は?
「コンドームは必ず使用しましょう。また、セックスの最中におなかが張る、出血がある場合はすぐに中断を。乳首への刺激はおなかが張りやすくなるので、できるだけ控えめに」
セックスのルール
妊娠中にスキンシップすることは、とても大切。でも、妊娠中のセックスにはいくつか大切なルールがあります。
ルール1:コンドームは必ず使う
「妊娠中は清潔が第一。腟内に細菌が侵入するのを防ぐため、コンドームは毎回必ず着用しましょう。また、精液には子宮を収縮させる成分も含まれているため、要注意です」
ルール2:おなかに負担をかけない
「パパの体重が、おなかにかかるような体位は避けましょう。また、体が冷えてしまうとおなかが張りやすくなるので、長時間裸のままでいないようにしましょう」
ルール3:浅い挿入で短時間
「ペニスが赤ちゃんに当たることはないものの、深い挿入はおなかの張りにつながることがあります。挿入は浅く、ゆっくりと。また、ママの体の負担にならないよう、短時間で行いましょう」
ルール4:おなかが張ったら中止
「おなかの張りを感じたらすぐに中断を。しばらく休んで治まっても、再び張ってくるようなら中止しましょう。出血した場合はすぐに中断し、様子を見て受診を」
ルール5:乳首への愛撫は控えめに
「乳首に刺激が加わると、連動して子宮が収縮します。おなかの張りを感じない程度ならまず問題ありませんが、張りを感じるほどの乳首への愛撫は避けましょう」
先輩ママはどうしてた?妊娠中のSEXリアル白書(※)
「妊娠中にセックスした?」かどうか、先輩ママに聞きました。
1位 まったくしていない 48%
2位 している 28%
3位 数回(1~3回)した 24%
<先輩ママの本音と理由>
●赤ちゃんのことが心配で、できない
●つわりがひどくて、それどころではない
●パパは求めてくるけど、私がその気になれない
●私は平気だけどパパが怖がる
●したいと思わない
●性欲はあるけれど、セックスは心配
(※『たまごクラブ』2012年11月号より)
セックスがNGな場合もある!
「妊娠が安定していない5カ月未満や、前置胎盤や胎盤の位置が低いとき、子宮頸管(しきゅうけいかん)が短いと言われているとき、また性感染症がある場合はNGです」
セックスをやめたほうがよい場合
☑腟炎がある
☑早産傾向がある
☑性感染症がある
☑妊娠5カ月未満
☑胎盤の位置が低い
☑子宮頸管が短い
妊娠中のセックス そこが気になるQ&A
気になるけど先輩ママには聞きづらい、妊娠中のセックスの4つの疑問について、小川先生に回答していただきます。
Q セックスが原因で流産や早産になる?
A セックスが原因で流産・早産することはありませんが、すでに流産・早産の兆候があるときは、セックスが誘因になることもあります。その場合は、医師に確認を。
Q ママがエクスタシーを感じてもいいの?
A オーガズムに達すると子宮が収縮しておなかが張ることがありますが、妊娠経過にトラブルがないなら、まず心配ありません。ただし、張りが引くまでしばらくは休憩しましょう。
Q 激しいセックスで破水することは?
A 度合いにもよりますが、深い挿入や激しいピストン運動は避けたほうが無難です。子宮を収縮させ、度を超すと前期破水を招く危険もあります。挿入は浅めに、ソフトに行いましょう。
Q 深い挿入でおなかの赤ちゃんへの影響は?
A 腟は長さが約10㎝あり、その奥に3~4㎝の子宮頸管がピタリと閉じているので、ペニスが赤ちゃんに当たることはありません。ただし子宮が収縮しないよう、深い挿入は避けてください。
セックスは夫婦の大切なコミュニケーション。妊娠5カ月以降で妊娠経過にトラブルがなければ、無理のない範囲でのセックスは大丈夫。ただし、妊娠中はソフトなセックスが原則。おなかの張りや細菌感染を防ぐためにも、必ずコンドームをつけるなど注意事項は守りましょう。もちろん、したくないときは無理にしないで、夫婦できちんと自分の気持ちを伝え合いましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)
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