「そんなこと聞いてなかった!!」の連続だった私の出産体験記
excentric_01/gettyimages
営業の第一線として働いていた私が一転。31歳で妊娠し、「子どもと過ごせるこの貴重な時期は、たっぷり子どもと向き合ってみよう」と妊娠を機に退職。現在、専業主婦のライター、“ムーンちゃん”です。会社も退職し、準備も万全で挑んだはずの妊娠・出産だったのですが、それは「聞いてない!」の連続でした。
つわりがこんなにつらく、長いなんて…「聞いてない!」
おなかに赤ちゃんが宿った喜びもつかの間、妊娠6週からつわりが始まりました。何をするのもつらく、何を食べても吐いてしまう毎日。
「おなかの赤ちゃんに栄養がいかないのではないか」と不安がふくらみ、さらに自分自身も四六時中襲ってくる吐き気に涙する日々でした。
友人から「安定期に入ればおさまるよ」と言われ、ネットでは「妊娠16週くらいまでにはだいたい落ち着く」と書かれているのを目にしましたが、私のつわりは終わる気配がありませんでした。
結局、妊娠23週まで苦しめられることに。今思うと、私の場合は、“出産”より“つわり”のほうがつらかったのが実感です。
無痛分娩のはずが。「聞いてない!」
元々痛みに弱い私は、“無痛分娩”を選択。様々な情報から「注射が痛い」、「完全な無痛ではなく和痛」など、“無痛分娩”の痛みは理解していましたが、実際には、思いがけない痛みが次々にやってきたのです。
出産予定日の前日、前駆陣痛だと思い病院に行ってみると、「子宮口が開いてないので、あと2週間は生まれなさそう」と言われ、そのまま帰宅。ところが、帰宅した直後から痛みが増してきたのです。受診したばかりだったことから、我慢はしてみたものの、激しい痛みで夜も眠れず、ついには出血まで。
翌朝すぐに病院へ向かいました。すると昨日とは逆の診断「子宮口ほぼ全開です。急いで分娩台に乗ってください」とのこと。
子宮口はいきなり全開になるなんて「聞いてない!」。
赤ちゃんが出てこない、回旋異常。「聞いてない!」
すぐに麻酔を打ち、痛みから解放されたのも、つかの間。「赤ちゃんの回旋が上手にできてないので、赤ちゃんを一度奥へ少し戻す」とのこと。
赤ちゃんを戻す処置って、「聞いてない!」。何が起こっているのかわからない不安と、麻酔を打ったことすら忘れてしまうほどの激しい痛みに耐えるしかない私でした。
さらに、赤ちゃんを奥へ一度戻したため長時間になってしまい、赤ちゃんも苦しくなってきたため、最後は“吸引分娩”で出産。
そして、ようやく会えた息子がこんなにもかわいいなんて「聞いてない!!!」というくらい、一瞬で何よりも愛おしい存在になりました。
産後にトラブル。“膀胱炎”なんて「聞いてない!」
出産の大変さは聞いてきたのですが、私の場合、産後にとんでもないトラブルが起こったのです。産後2、3週間くらいでしょうか。尿を出せなくなってしまい、泌尿器科を受診しました。
赤ちゃんを一度奥へ戻したり、長く膀胱付近にとどまったりしたせいか、膀胱の機能が弱まっていたよう。尿をきちんと排出できなかったことで膀胱炎を患っていました。しばらくは管を使って尿を出すことに。赤ちゃんでもおしっこはできるのに、自分ができないことへの不安と悲しみで、涙していたことを覚えています。
結局、膀胱炎は2週間ほどで完治しました。貴重な体験ではありますが「聞いてない!」と、声を大にして叫びたい心境でした。
出産には予期せぬトラブルがあることはわかっていたものの、まさか自分が“回旋異常”や“膀胱炎”を経験するとは思ってもいなかったです。
数々のドラマを乗り越え、妊娠39週6日に、身長50.0cm、体重2976gで無事に生まれてきてくれた息子。いろいろな人に出産の話を聞いたり、ネットで検索したりしてみても、ママと赤ちゃんの出産ストーリーは十人十色。「それぞれ違うドラマがあり、今こうして生きているんだ」と実感しています。
[ムーンちゃん*プロフィール]
4歳と1歳の男の子の母。電車が趣味の息子たちから教育を受け(?)「鉄ママ」になりつつあります。仕事をしていない今だからこそ、何かできることはないかと常にアンテナを張り巡らせています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。