妊娠検査薬で陽性でも「妊娠おめでとう」じゃないの?「胎嚢」の確認とは?
妊娠検査薬は妊娠の可能性を調べるもの。陽性が出たら産院を受診しましょう。
子宮内に胎嚢が確認でき、胎芽(赤ちゃん)、赤ちゃんの心拍を確認できた時点で、正常妊娠であると診断されます。
胎嚢って何?
胎嚢とは子宮内膜に受精卵が着床し、赤ちゃんや胎盤が作られていく過程でできる赤ちゃんを包むための部屋のこと。
エコー(超音波)画像では液体は黒く、固体は白くうつります。水(のちの羊水)が入っている胎嚢は、黒い円やだ円形のように見えるでしょう。
胎嚢が確認できる時期は? 子宮の中では何が起きているの?
子宮内に胎嚢が確認できるのは、早ければ、胎嚢が直径2mmくらいになる妊娠4週後半ごろから。
妊娠5週ごろまでは1日1mmのペースで大きくなっていき、6週ごろには確認できることが多いようです。
妊娠5週ごろの様子
胎嚢の大きさは1cm前後。
エコー(超音波)画像で、胎嚢は白く縁どられているように見えます。その中に、卵黄嚢(らんおうのう)と呼ばれる胎盤ができるまでの赤ちゃんの栄養源が白いリングのように見えることもあります。
妊娠6週ごろの様子
(超音波写真提供/新村朋美先生)
▲胎嚢の中に、白いリングのように見えるのが卵黄嚢。下のほうに宝石のように赤ちゃんが映っているのがわかります。まるで指輪のようです。
胎嚢の大きさは1.5~2cm程度。早ければ5週末から6週前半には「胎芽(たいが)」と呼ばれる小さな赤ちゃんが確認でき、ほぼ同時に赤ちゃんの心拍も確認できるようになります。
拍動の様子は、エコー(超音波)画像では点滅して見えます。その様子は、白いリングのように見える卵黄嚢にぴかぴか光る石がついたようです。赤ちゃんは徐々に米粒(4~9mm)ほどの大きさになっていきます。
妊娠7週ごろの様子
胎嚢の大きさは2~4cm程度。2頭身の小豆大(1cmほど)の赤ちゃんが見えています。
心拍はよりはっきりと規則正しく動いている様子がわかるようになります。
妊娠8~9週ごろの様子
胎嚢の大きさは4~5cm程度。超音波画像で赤ちゃんの頭と胴体がよりはっきりと区別できるようになります。
赤ちゃんの大きさは、8週ごろにはとうもろこし1粒大(1.5cmほど)になり、小さな手足がエコー(超音波)画像でもわかるようになってきます。
9週ごろにはそら豆大(2cmほど)に。赤ちゃんとのタイミングがあえば、もぞもぞと動く様子も確認できます。
胎嚢が確認できない場合、考えられる原因は?
「胎嚢が見えない」。そんな先生の言葉に不安を感じたママもいるかもしれませんね。原因は大きく3つあげられます。
受診が早すぎた
妊娠4週に入ったばかりだとまだはっきり確認できないことも多くあります。
排卵の遅れなどで週数がずれている
もっとも多いケースです。妊娠週数は、最終月経開始日を起点にして28日周期を基準に計算しています。
ですが、排卵が遅れたりした場合は、実際の週数とはカウントがずれ、まだ早い週数のため「胎嚢が見えない」という可能性があります。
化学的流産
受精卵が着床したばかりの早い段階での流産。
妊娠ホルモンであるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が出ているので妊娠検査薬で陽性反応は出ますが、胎嚢は確認されず、月経様の出血が始まります。妊娠に気づいてない場合は月経と思ってしまうことも。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
ごくまれなケースです。子宮の中ではない場所に受精卵が着床してしまうこと。
卵管に着床することが多く、ほうっておくと卵管が破裂する恐れがあり、たいへん危険です。
胎嚢が確認できない期間に、心がけておくといいことは?
産院で胎嚢が確認できるまでは、待ち遠しくもあり、不安でいっぱいでしょう。
この間のママの過ごし方が胎嚢を確認できるかどうかを左右することはありませんが、妊娠生活スタートに向けて、心がけておくことがあります。
体調の変化、とくに出血に注意すること
妊娠すると子宮粘膜に充血が起こりやすくなるため、ちょっとしたことでも出血しやすい状態。
心配のないこともありますが、この時期の場合は切迫流産(せっぱくりゅうざん)などのトラブルの兆候であることも。ショーツは白や薄めのやさしいカラーがおすすめ。濃い色のショーツだと出血に気づきにくいこともあります。
生理2日目より出血が多いときは産院へ連絡しましょう。
薬の使用は慎重に。産院に相談してから
妊娠4~10週ごろは、おなかの赤ちゃんの中枢神経(脳、脊髄)や内臓、目や耳などの器官が作られる「器官形成期」。
市販薬を通常の範囲で使用した程度であればまず問題はないですが、薬の使用は慎重に。
たばことお酒をきっぱりやめる
たばこを吸うと、ニコチンの影響で血管の収縮が起こり、赤ちゃんに十分な酸素が届かなくなります。また、アルコールも胎盤を通して赤ちゃんへ移行します。
妊娠かも?と思ったらやめましょう。パパも一緒に禁煙を。
X線などの検査時は必ず妊娠の可能性を伝える
胸部や歯のX線検査程度では、おなかの赤ちゃんへの影響はまずないといわれていますが、受ける場合は必ず妊娠の可能性を伝えるようにしましょう。
自転車や車の運転はなるべく控える
劇的なホルモン変化の影響で、眠けやだるさなどで注意力が散漫になり、判断も鈍くなりがちです。
運転はできるだけ控えたいですがやむを得ず運転する場合は、体調のいいときに無理のない範囲にとどめましょう。
人ごみを避ける
妊娠4~10週ごろの「器官形成期」は、感染症にとくに気をつけたい時期。
とくに、風疹(ふうしん・三日ばしか)、麻疹(ましん・はしか)、伝染性紅斑(りんご病)は感染すると妊娠経過に影響する恐れがあります。予防のためにも不必要に人ごみに近づかないこと。ママ自身はもちろん、パパもマスクの着用や帰宅後の手洗い、うがいも徹底的に。
30~50代のパパは、風疹の予防接種を受けていない可能性が高いので、家庭にウイルスを持ち込まないようにとくに注意しましょう。風疹、麻疹の予防接種は生ワクチンであるため、妊娠中のママは受けられません。これを機にパパが受けておくことをおすすめします。
葉酸を積極的に摂取
妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までに1日400μgの葉酸をサプリメントなどの栄養補助食品で摂取すると、赤ちゃんが神経管閉鎖障害を発症するリスクが減るとの報告があります。
葉酸は、ビタミンB群の一種で水に溶けやすく熱に弱いため食事では十分な量をとりにくい傾向があるので、不足分はサプリメントで補うといいでしょう。用量をきちんと守ればとりすぎる心配はありません(通常の食品以外の摂取上限量は900~1000μgです。ただし、無脳児などの既往がある場合は4000~5000μgの摂取が推奨されます)。
胎嚢が確認できたら、その後どうなる?
胎嚢の確認後、妊娠7週ごろに赤ちゃんの心拍が確認できると、流産の可能性がゼロではないものの、ひとまず安心です。
さらに、妊娠8~11週ごろには、妊娠週数や出産予定日も確定。医師から役所で母子健康手帳をもうらように指示があるのもこの時期です。
ママの体が赤ちゃんを迎えるために準備する赤ちゃんを包むための部屋=胎嚢。確認できるまで、確認後もしばらくは何かと不安が続くかもしれませんね。
でも、この時期はママが何かしたから、何かをしなかったから変わるものでもないのが事実。できるだけリラックスをして過ごすことを心がけましょう。
(文/たまごクラブ編集部)
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