母乳の出はおっぱいの大きさに関係する!? 母親の年も影響?
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産後すぐから母乳がよく出た人、出にくかった人にはどんな違いが? 出産時の年齢? 自然分娩か帝王切開かなど出産スタイルの差? おっぱいの大きさが関係している!? 神奈川県川崎市にある人気の産院「芥川バースクリニック」の助産師さんに教えてもらいました。
医学的に“出ないおっぱい”はないってホント?
産後、ちゃんと母乳が出るか、心配しているママもいるのでは? でも、個人差はあるけれど「医学的には、母乳育児が軌道に乗るまでに“時間のかかるおっぱい”はあっても、“出ないおっぱい”はない」のだそうです。
出産時の年齢
⇒高齢出産でも母乳は出るので心配しないで
「医学的には、母乳の出に年齢による違いはありません。母乳は、赤ちゃんを産んで胎盤が出れば、ホルモンの働きでだれでも出るようになっています。“高齢だから出にくい”と思い込むのは×。ストレスをためると、出るはずのホルモンも出なくなるので、“母乳は出る”と信じてリラックスしましょう」
出産スタイル
⇒出産スタイルによる違いはありません
「出産スタイルそのものが、母乳の出に影響することはありません。たとえ緊急帝王切開でもスムーズな出産であれば、産後すぐから母乳育児を円滑にスタートさせることが可能です。逆に自然分娩であっても、難産だったり、大量に出血したりすると、早期に授乳が始められず、母乳育児に影響することもあります」
分娩所要時間
⇒長くても短くても、関係ありません
「分娩に時間がかかった人は、それだけ体力の消耗が激しく、産後すぐは母乳育児が軌道に乗らないことも。ただ、体調に応じたサポートを受ければ遅れを取り戻せるので心配しないで。スピード安産だったとしても、産後すぐは母乳が出にくかったという人はいるので、分娩所要時間はあまり関係ないともいえます」
おっぱいの大きさ
⇒大きくても小さくても、母乳の出に影響ありません
「ほとんどの人は、妊娠22週目ごろからおっぱいが大きくなりますが、妊娠後期になってもさほど大きくならない人もいます。いずれにせよ、おっぱいの大きさと母乳の出は関係ないので、気にしないで。また、妊娠前のおっぱいの大小は、単に脂肪量の差なので、もちろん母乳の出には影響しません」
乳頭の形
⇒乳頭が凹んでいても平らでも、赤ちゃんは吸えます
「乳頭がおっぱいに入り込んでいる陥没乳頭や、乳頭がほとんど平らな扁平乳頭の場合は、赤ちゃんが吸いつきにくい可能性がありますが、慣れてくれば心配いりません。赤ちゃんは乳頭だけを吸って母乳を飲むのではなく、大きな口を開けて、乳輪ごと舌でしごき上げながら母乳を飲むからです」
乳頭の大きさ
⇒大きくても小さくても母乳は出ます
「乳頭の高さが1.1cm以上は大きめ、8mm~1cmは普通、5〜7mmは小さめとされ、大きいと赤ちゃんが口に含みづらく、小さいと舌をからめにくいといわれています。ただ、吸いやすい・吸いにくいはあっても、母乳が出にくいわけではありません。正しく吸わせれば母乳はちゃんと出ます」
だれでも母乳が出る素質があるから安心して
高齢でも帝王切開でも、分娩に時間がかかっても、母乳は出産すればホルモンの働きでだれでも出るようになっています。おっぱいの大きさや乳頭の大きさ・形も、もちろん関係ありません。
母乳育児が完全に軌道に乗るまでには約3カ月かかるといわれていますが、スムーズに軌道に乗せられるかどうかは、産後の2週間にかかっているので、最初はあまり母乳が出なくても、“私は出る”と信じて自信を持って。
妊娠中は“自分は母乳が出る体なんだ”ということを理解し、母乳のもとである血液のめぐりがいい体にしておくことも大事かもしれません。
(文/たまごクラブ編集部)
監修/医療法人社団 寿修会 芥川バースクリニック 鳥越敦子助産師
参考文献:たまごクラブ2018年12月号「妊娠中はみんな知らない 母乳が“出る・出にくい”ママの違いって?」