半数の妊婦が「さかご」と言われた経験あり。胎児への影響はなし、動揺しないで
「たまごクラブ」が行った調査では、約半数の妊婦さんが言われた経験ありと答えた「さかご」。「“さかご”ですね」と言われた途端、不安に感じるママも多いのではないでしょうか。おなかの赤ちゃんに影響は? 出産はどうなるの? などとっさに先生に質問できず、あとで後悔したという声もよく聞きます。そこで「たまごクラブ」が、産婦人科医の林田綾子先生にお話を聞きました。
※たまひよインターネット調査(0カ月~1才11カ月の赤ちゃんのママ412名対象/2018年8月実施)
“さかご”ってどんな状態? どうして“さかご”になるの?
一般的におなかの赤ちゃんは、頭を子宮口(下)に向けています(「頭位・とうい」といいます)。対して、おしりや足を子宮口に向けた状態が「さかご(骨盤位・こつばんい)」。さかごになるはっきりとした原因はわかっていませんが、おなかの赤ちゃんが活発に動いている証拠。とくに妊娠初期から中期にかけては子宮内にゆとりがあり、おなかの赤ちゃんがさかごの状態だけでなく、横向き、斜め向きになることもよくあります。健診時、たまたま頭位でなかっただけの場合も多いものです。
“さかご”は妊娠経過やおなかの赤ちゃんの成長に影響する? 出産はどうなるの?
おなかの赤ちゃんがさかごでも、妊娠経過やおなかの赤ちゃんの成長に直接影響はありません。また、妊娠中期ごろまではさかごの状態になりやすく、直りやすい時期。「さかごですね」と言われても心配ありません。
出産においては「さかご=帝王切開」ではなく、経産婦(けいさんぷ)さんや殿位(でんい ※おしりが下にむいている)の場合は経腟(けいちつ)分娩ができるケースもあります。ただ、お産が近づいてきた時期にさかごの状態で破水すると、位置によっては赤ちゃんの命が危険なことも。そのため、多くの場合は、帝王切開が選択されるでしょう。
“さかご”かどうか自分でもわかるもの?
「(膀胱をけられるので)トイレが近くなった」「胎動のある位置が(下腹部のほうへ)変わった」といったように、ママ自身がさかごになっていることを予感できることはあるようです。正確には、妊婦健診のエコー検査で、おなかの赤ちゃんがどっちを向いてさかごになっているかまでわかります。
おなかの赤ちゃんが頭を上にしている状態である“さかご”。“さかご”は、多くのママが経験し、おなかの中で赤ちゃんがよく動いている証拠でもあります。妊娠経過やおなかの赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼすことはないので心配しすぎないようにしてください。
(文・松田祥子、たまごクラブ編集部)
■監修/林田綾子 先生
はやしだ産婦人科医院 院長
2018年、林田和郎前院長の後任として院長に就任。東洋医学と鍼灸に基づいたさかご治療をはじめ、保健指導や授乳指導、産後ケア、妊婦さんを含む乳がん検診にも力を入れています。
◆出典 たまごクラブ2019年10月号特集「おなかの赤ちゃんが“さかご”と言われたら」