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【産婦人科医監修】つわりのメカニズムと対策最新情報

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AntonioGuillem/gettyimages

つわりを少しでもラクにしようととっている行動が、実はつわりを悪化させている可能性があるということを知っていましたか? つわりのメカニズムや緩和法をまとめた『悪阻なんてこわくない』(同成社)を出版されている産婦人科医の恩田威一先生に、どうしてつわりになるのか、その理由と、上手な付き合い方について、お話を聞きました。

つわりのメカニズムを知っておこう

たまひよデータ※によると、程度の差はあるものの約9割の妊婦さんがなんらかのつわりの症状を経験しています。妊娠すると血液中のマグネシウム値とカリウム値が低下し、つわりの時期にはカルシウム値が高くなる傾向があります。すると、胃液の分泌が促され、ムカムカや吐きけが起こりやすくなるのです。また、腸のぜん動運動が弱まり、妊娠初期には空腹時の血糖値とインスリン値が妊娠前に比べて低下し、つわりの症状が重い人ほど副交感神経が優位な状態が続いて、思うように食事がとれなくなり、さらに症状を悪化させる原因になります。

※たまひよインターネット調査(0カ月~1才11カ月の赤ちゃんのママ516名対象/2019年6月実施)

つわりが重いor軽い。違いは何?

胎盤から分泌される血液中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)値、エストロゲン値が高い人はつわりの症状は重くなります。また、hCG値が高くなる妊娠初期に血液中のカルシウム値が上がると、腸の動きが悪くなり、胃液に分泌が増加して吐きけの元に。さらにエストロゲン値が上昇し、アンモニア臭に過敏になります。妊娠特有のホルモンのほかに、マグネシウム不足でも高カルシウム血症の症状が出やすくなり、つわりの症状は悪化しやすくなります。また、体内の循環血液量が増加するときに血中の電解質が薄まると、吐きけなどの原因にもなります

つわりのときハマる食べ物があるのはどうして?

不足している成分を体が欲していると考えられます。ハマる食べ物の典型は、カリウムが豊富なすいか、トマトのほか、塩素とナトリウムを含む塩けのあるもの、血糖値とインスリン値を上げやすい塩あめなど。塩素は炭水化物の消化に必要なミネラルなので、つわりで唾液の塩素が不足することで、白いごはんやあめはうまく消化されず食べづらくなります。酸味のあるものは、クエン酸など酸の働きでにおいが中和されるため好まれるようです。

いろんなにおいがダメになるのはなぜ?

妊娠中に多量に分泌される女性ホルモンのエストロゲンには、においの感受性を高める働きがあります。そのため、普段なら気にならないにおいやごくわずかなアンモニア臭(いやなにおいの元)にも敏感に反応しやすく、不快で気持ち悪くなる傾向があります。

つわりがずっと続いたり、妊娠後期にぶり返したりするのはどうして?

妊娠初期を過ぎると、インスリン値が増加し、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいくようになることでつわりが改善されます。ですが、妊娠初期を過ぎてもインスリン値の低下した状態が続き、副交感神経が優位なままだとつわりの症状が続くことがあります。ほかに、大きくなった子宮が胃を圧迫したり、食事が十分にとれないために母体の血中のエストロゲン値が高かったりすることで、妊娠中~後期にもつわりの症状に悩まされる人も。極端に塩分制限をしている人も、体内の塩素不足が原因でつわりが長引きやすくなります。

つわりの対策の基本をチェックしよう

つわりの時期は、食事が特定の食品や飲料に偏りやすくなります。これは、循環血液量が急激に増えた体内でたりない成分を、体が自然と補おうとしているため。ですから、「食べたいものを食べたいときに食べる」というのが、実は理にかなったつわりの対策といえます。つわりの時期はまだ赤ちゃんも小さく、「栄養をおなかの赤ちゃんの分もたくさんとらなくては」と気にする必要はありません。ただ、「食べるとラクになるから」と食べすぎると胃腸への負担が増し、つわりの悪化を招くこともあるので気をつけて。少量に分けて、一日5~6回の食事をするといいでしょう。

つわりの悪化を招くNG行動8連発!

すっきりしたいから炭酸水を大量に飲む

妊娠中は血液中のミネラルがアンバランスになりやすい上、女性ホルモンが急増することにより、腸のぜんどう運動が鈍くなりがち。そんなとき、冷たい炭酸水を少量飲むと腸の動きをよくする効果がありますが、一度に200ml以上飲んでしまうと胃がふくれて気持ち悪さが増してしまいます。一気飲みは避け、1回に飲む量は150ml程度を目安にしましょう。

さっぱり食べやすいから酸っぱいものを食べる

酸味のある食品を食べたくなるのは、食品にわずかに含まれるアンモニアを“クエン酸”などの酸が中和してくれるから。ただし、酸味の強い食品を食べて嘔吐を繰り返すと“逆流性食道炎”を招きやすいので注意しましょう。とくに吐きづわりの人は食道の粘膜が荒れやすいので気をつけて。

カルシウム補給に牛乳をたくさん飲む

つわりの時期に無理して大量の牛乳を飲むと、血中のカルシウム値が急上昇し、気持ち悪さが増す心配が。生まれてくる赤ちゃんの体内カルシウムの80%は妊娠後期に母体から吸収されるので、つわり中はおいしく飲める範囲でOK。ちなみに、バナナに含まれるマグネシウムは、血中のカルシウム値が増えてつわりの症状がひどくなるのを抑える働きがあるので、一緒にとるといいでしょう。

おなかがすくと気持ち悪くなるから一度にたくさん食べる

初期は胃のぜんどう運動が鈍くなりやすい状態。「空腹時に気持ち悪くなるから」と、一度にたくさん食べると、腸がふくれては動きが悪くなってガスがたまり、胃もたれしやすくなり、気持ち悪さが増すことがあるので、食事回数は小分けにしましょう。1日5~6回、少量ずつ食べて、空腹時の気持ち悪さを予防しましょう。

妊娠中のトラブルを予防するために塩分を制限しすぎる

つわりのためには適度な塩分摂取が必要です。初期は体内の血液量が増し、血中のミネラルが乱れやすい時期。中でも、炭水化物の消化を助けてくれる塩素とブドウ糖の腸からの吸収を助けるナトリウムが不足し、食欲不振になりがちです。吐きけが強いときまで塩分を厳しく制限すると、かえって症状を長引かせる原因に。つわり中は適度な塩分摂取が大切。食事は、つわりが治まって白いごはんが焼いていないパンと同じようにおいしく食べられるようになってから見直しましょう。

水分をしっかりとろうと真水をゴクゴク飲む

循環血液量が増える妊娠初期は、血中のミネラルが薄まった状態。吐きけが強い人は、真水を飲むことで血中のミネラルがさらに薄まり、つわりがひどくなる傾向があります。とくに、妊娠6~12週ごろに起こりやすいといわれています。血中のミネラルの濃度がさらに低下しないように、真水ではなくミネラルや糖分を適度に含んだスポーツ飲料やジュースで水分補給をしましょう。

体を冷やさないようになんでも温かくして食べる

食品の多くには微量ですが、アンモニアが含まれています。妊娠していないときはこのにおいが快適に感じますが、つわりのときはいやなにおいと感じます。温めるとアンモニアが気化し、においとして感知して気持ち悪くなる原因に。常温か、冷蔵庫で少し冷やしたほうが食べやすくなります。

食べやすい気がして冷たいものばかり食べる&飲む

外からおなかが冷えると腸の動きが鈍くなり、気持ち悪さが増す原因になります。涼しげな服装のときでも、腹帯を巻くなどしておなかは保温しましょう。おなかを外から冷やさないようにして、冷たいものを少量食べたり飲んだりして胃を冷やすのは正解です。冷たいものの摂取は腸の動きがよくなり、つわりの症状の軽減につながります。とはいえ、食べすぎ&飲みすぎは逆効果。胃腸の動きを妨げてしまうので注意しましょう。

「つわりの症状を少しでもラクにしたい」というのは妊婦さん共通の願い。つわりのためにいろいろ試してみることは大事ですが、つわりは人それぞれなので逆に症状を悪化させてしまっている場合もあるようです。少しでも心当たりがあったら、普段の行動を再点検してみるのも一つの手かもしれません。

(文・松田祥子、たまごクラブ編集部)

初回公開日 2019/10/24

監修/【産婦人科医】恩田威一 先生

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