妊娠中のカフェイン、アルコール、たばこは絶対にダメ?
妊娠中にカフェインのとりすぎはなぜよくないの? アルコールやたばこがNGの本当の理由は? 詳しくお話しします。
カフェインは摂取量を守れば問題ありません
カフェインを過剰にとりすぎると、低出生体重児が生まれる、自然流産を引き起こす可能性があるという報告がいくつかありますが、いまのところ、コーヒーを1日1〜2杯飲む程度なら、影響がないとされています。
コーヒー以外にも緑茶やココア、コーラなどにもカフェインは含まれていますが、コーヒーは同じ量でも約2倍のカフェインを含んでいるので、飲みすぎないようにしましょう。
コーヒーは“1日1〜2杯までならOK”と言われる理由
2001年に公表した世界保健機関(WHO)の報告では、「妊婦のコーヒーの摂取量を1日3、4杯までにすべき」とされていました。
その後、2008年に英国食品基準庁から、妊婦がカフェインを取りすぎることにより、出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性があるとして、妊婦さんの1日のカフェイン摂取量を、WHOより厳しい200mgに制限するよう求めています。
目安としては、
・インスタントコーヒーなら…マグカップで1日2杯程度
・フィルターによるドリップ式コーヒーなら…マグカップで1日1杯程度
・紅茶なら…マグカップで1日2杯程度
になります。
参考:厚生労働省HP
アルコール濃度がそのまま赤ちゃんに影響します
アルコールは胎盤を通過してそのまま赤ちゃんに移行するため、母体の血中アルコール濃度がそのまま赤ちゃんに影響を及ぼします。
妊娠中のアルコール摂取は、流産、死産、先天異常の原因になるほか、胎児性アルコール症候群になると、発育遅延や発達遅延、中枢神経障害や奇形、精神障害を引き起こすリスクがあります。妊娠の全期間を通して、アルコールを摂取するのは止めましょう。
1日の飲酒量が少ないからといって安心できない!
「アルコールは大量に飲まなければ大丈夫」と思いがちですが、1日の飲酒量が少なくても、赤ちゃんに影響を与える可能性があります。
また、赤ちゃんに何らかの影響があったケースでは、ママは連日飲んでいるわけではなく、時々飲んでいただけ、という報告も。妊娠中は禁酒を守りましょう。
喫煙すると赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなります
ママが喫煙すると、血管が収縮して赤ちゃんに届く血流量が減少し、酸素や栄養が届きにくくなります。
その結果、早産や低出生体重などのリスクがアップ。これは受動喫煙でも同じで、パパの喫煙と、出生時の体重減少や奇形との関連も報告されています。
たばこにはニコチン以外にも、多くの有害物質や発がん物質が含まれています。おなかの赤ちゃんはたばこの煙から逃れることはできません。ママが意識して避けるしかないのです。
監修/村島温子先生 文/樋口由夏、たまごクラブ編集部
参考/「たまごクラブ」2020年3月号「なぜダメなのか、ちゃんと知ってる? 薬・カフェイン・アルコール・たばこの悪影響」
妊娠中のカフェイン、アルコール、たばこの摂取が赤ちゃんに与える影響について、正しい知識を持っていれば、妊娠中も安心です。カフェイン、アルコール、たばこは産後の授乳中も影響があるものなので、引き続き注意しましょう。
村島温子先生
Profire
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター主任副センター長、妊娠と薬情報センター長 「妊娠と薬情報センター」の立ち上げから携わり、妊婦さんが安心できるように、正しい情報を提供しています。