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妊娠中の飲酒はADHDを引き起こすリスクも!? 最新の研究データを医師に聞く

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

妊娠中・授乳期のアルコール摂取については「少しならば大丈夫」「飲酒後〇時間以上あけて授乳したら影響はない」など、いろいろいわれますがホントのところどうなのでしょう? これまで170本以上の論文を読んで分析したエビデンスから子育てを考える、ママ医師・森田麻里子先生が、ママたちのギモンに答えます。

妊娠中・授乳中のアルコールは、少量でもダメ!? 赤ちゃんに与える影響とは

アルコール飲料には「妊娠中・授乳中の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります」などの一文が明記され、妊娠中・育児中のアルコール摂取には注意喚起がされています。では、その悪影響とは具体的にどのようなことなのでしょうか? 諸外国の研究データをもとに森田先生が説明します。

Q.妊娠中、お酒はやっぱり控えるべきですか?

A.ADHDなどを引き起こすリスクとなる可能性もあるので、飲酒は控えましょう

以前は、妊娠中の飲酒は低体重や脳障害を引き起こす可能性があるとされていました。研究の結果、それだけではなく胎児性アルコール・スペクトラム障害といって、発達障がいの一種であるADHD(注意欠陥多動性障害)などを引き起こすこともあることがわかっています。また大量に飲まなくても、少量飲酒でも胎児性アルコール・スペクトラム障害の報告例はあります。
2013年、アメリカの調査では、母親の妊娠中の飲酒量が多い子ほど、問題行動が増えたり、思考力などが下がったりする傾向が見られました。
さらに妊娠中飲酒しなかった母親と比べると、妊娠初期に飲酒した場合は子どもが胎児性アルコール・スペクトラム障害になるリスクは12倍、妊娠初期・中期に飲酒した場合は61倍、妊娠全期に飲酒していた場合は65倍という結果が。
おなかの赤ちゃんは、大人の3~4%の速さでしかアルコールを代謝できません。そのためママがお酒を飲むと、おなかの赤ちゃんは、羊水(ようすい)に含まれたアルコールによって長時間に亘り、アルコールの影響を受けるリスクがあるということを忘れないでください。

Q.授乳中、アルコールを飲むと、赤ちゃんに移行するってホント?

A.母乳を介して移行し、アルコールの量によっては赤ちゃんが酔うことも

1974年のフィンランドの研究では、授乳中、ママがアルコールを飲むと、吸収されたアルコールは血中から母乳に移行することがわかっています。母乳に含まれるアルコール濃度は、ママの血中濃度とほぼ同じです。
またママが大量にアルコールを飲んだあと、授乳するとアルコールの影響から赤ちゃんがぼんやりしたり、ウトウトしたりする傾眠状態になる可能性があります。

Q.授乳中のアルコールって、赤ちゃんの発育・発達に影響するの?

A.一時的に思考力が低下するという研究結果もあります

授乳中、アルコールを少量でも飲んだら、赤ちゃんに多大な影響を与えるというデータは今のところありません。
しかしオーストラリアのデータでは、5107人の赤ちゃんと母親を、2004年から2年ごとに追跡調査したところ、母親のアルコール摂取量が多い子ほど、6~7歳の時点で、思考力・推察力が低下するという結果が出ています。
これは複数の図形から法則性を見つけて、穴埋めをする知能テストでわかったことです。
ただし思考力や推察力の低下は、10~11歳になると見られなくなります。
だからといって「授乳中、アルコールを好きなときに好きなだけ飲んでも大丈夫!」と思うのは考えものです。

Q.授乳中、気晴らし程度にお酒を飲みたいときはどうしたらいい?

A.リスクを見極めたうえ、飲むなら授乳の2~3時間前に、グラス1杯程度にとどめて

前述のとおり、授乳中、アルコールを少量飲んだからと言って、赤ちゃんに多大な影響を与えるというデータは今のところありませんが、「飲んでもいい」訳ではありません。
「本当は影響があるかもしれないけれど、今のところデータがないだけ」と考えるほうが賢明! 
授乳中は飲酒をしないに越したことはありません。
しかしママのなかには気晴らし程度に飲酒が必要な方もいると思います。
もし飲むならば、アルコール度数が低いお酒をグラス1杯程度にとどめて。飲酒後2~3時間たってから授乳すると、赤ちゃんへの影響は少ないと考えられます。飲酒は程度問題もあるので、自分の中できちんと判断していくことが必要ですよ。

Q.授乳中、カフェイン入りの飲み物は飲んでもOK?

A.低月齢の赤ちゃんほど代謝能力が低いので、ノンカフェインを選ぶのがベスト

カナダの研究では、治療のためカフェインを摂取している生後8日から8カ月までの赤ちゃん10人を対象に、尿中のカフェインの量を調査したところ、7~8カ月の赤ちゃんは大人とほぼ同じ代謝能力をもつのに対し、3カ月ごろまでは80%以上のカフェインがそのままの形で尿中に排出されていることがわかりました。
またほかのデータでは、月齢の低い赤ちゃんは、カフェインを摂取すると体外に排出するのに何日も時間がかかるという結果が。
母乳を介して、カフェインが赤ちゃんに移行する量は少ないのですが、低月齢の赤ちゃんほど代謝能力は弱いので、とくに夜泣きで困っている方は、カフェインは控えたほうがいいでしょう。私自身も授乳中は、コーヒーを飲むときはノンカフェインのものにしていました。

森田先生によると、授乳中のアルコールと赤ちゃんの関係は、まだ「多大な影響を与える!」というデータはないものの、だからといって「大丈夫!」と考えるのは早計だとか。妊娠中の飲酒も以前までは、主に低体重などが心配されていましたが、現在ではADHDや成人後の依存症リスクなどの影響がわかっています。そのため万一の場合を考えて、アルコールは控えましょう。

(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)

■監修/森田麻里子先生
(医師・小児睡眠コンサルタント)

2012年東京大学医学部医学科卒業。仙台厚生病院麻酔科などで勤務。2017年、第一子を出産。子どもの夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究のリサーチを始め、赤ちゃんの健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立し、代表を務める。2019年より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。著書に「東大医学部卒ママ医師が伝える 科学的に正しい子育て」(光文社新書)などがある。

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