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普通と無痛?もしかして私なんにも知らないかも【小説「ご懐妊!!」Vol.26】

『ご懐妊!!』Vol.26
スターツ出版文庫の大人気小説『ご懐妊!!』が、たまひよWEBにて連載中。「たまごクラブ」でもおなじみの産科医・大浦訓章先生のひと言解説もお見逃しなく。

●これまでのあらすじ
広告代理店で仕事に打ち込む佐波。悩みといえば、上司のイケメン鬼部長・一色が苦手なことくらい。それなのに、お酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまい、後日、妊娠が判明!不安と途惑いの中、部長に「赤ちゃんがいます」と告げたところ、部長の答えは「結婚」。途惑いながらも、ふたり暮らしを始め、実家にも挨拶に行き…

五ヵ月


 美保子さんと連絡先を交換してから帰宅すると、部長がひとりでウィスキーを飲んでいた。
「おつまみでも作りましょうか~?」
「なんだ、おまえ。上機嫌だな。てっきり『ひとりで飲んでずるい!』って言われるかと思った」
「言わないですよ。ふふふ。お夕飯まだなら軽く作りますからね~」
「変な妊婦め……」
 鼻歌交じりの私を気味悪そうに見て、彼はウィスキーグラスを傾けた。

 この日をきっかけに、私は美保子さんと親しくなった。彼女は私より十歳上の三十七歳だ。
 家は歩いて二十分くらいの距離と、ご近所さんで驚いた。産院は違うけど、週数は近いし、なにより彼女の性格がとっても素敵なのだ。おっとりしていて、いつもにこやかで、女優みたいな顔をしているのに気取らない、控えめな人。
 きっと、お育ちがめちゃめちゃいいんだと思う。そういう品のよさがある。
 スタジオで美保子さんと喋るようになったら、自然と他の妊婦さんとの距離も縮まってきた。彼女の持つ癒し系な雰囲気が、周りに人を集めるんだろうなぁ。
 ビクス仲間が増えてきて、私は俄然やる気を出した。一番へっぽこだけど、最初に感じた怖さや孤独はもうない。
 よっしゃ、やるぞ~!
「ねえねえ、一色さんと樋口さんは他院でしょ?」
 今日もレッスン前に美保子さんと喋っていたら、よく一緒になる斎藤(さいとう)さんという妊婦さんが声をかけてきた。
「うん、そうよ」
 美保子さんがおっとり回答。
「ってことは、普通分娩だよね。怖くない?」
「うーん、怖いといえば怖いけど……」
 美保子さんが首をひねる。私はなんのことかわからないので、黙って聞いていた。斎藤さんが不安そうに顔を歪める。
「主人が地方転勤になりそうで……そっちって、無痛分娩を扱ってる病院がないのよ! 私、普通分娩が怖くて……どうしようって悩んでるの!」
「それは大変ね。斎藤さん、今、二十五週でしょう。ご主人には先に行ってもらって、ご出産が終わるまで東京にいらしたら?」
 美保子さんが親身な声で言う。私は余計、なんじゃらほいって表情。
「ねぇ、一色さんも普通で産むんでしょ? 無痛は考えなかった?」
 斎藤さんに話を振られ、私はビクッと肩を揺らした。
「あの……無痛ってなんですか?」
「え! 知らないの?」
 斎藤さんに叫ばれ、私はもう一度ビクッと肩を揺らす。
 知らない……そんな単語。産み方のことでいいのかな。普通に産む以外にあるの? 帝王切開の仲間?
「無痛分娩っていうのは、出産の途中で麻酔を打つの。それで、出産の痛みをなくすっていう分娩法よ」
 見かねたのか、美保子さんが注釈してくれた。斎藤さんが真剣な顔で力説する。
「そう、この病院は無痛分娩で有名なの! 無痛なら産後の回復も早いし、穏やかに痛くなく産めるんだから! 金額的にはちょっとするけど、死ぬほど痛いのと比べたら、絶対こっち!」
 つまり、このスタジオに参加している人のほとんどが"痛くなく産む”ってこと? な、なにそれ。そんな画期的な方法を、今まで私、知らなかったの?

つづく
【小説「ご懐妊!!】次回をお楽しみに


大浦先生アドバイス

無痛分娩、自然分娩は慎重に考えましょう。さまざまなことを主治医の先生と納得できるまで話し合って決めましょう。

著者/砂川雨路  イラスト/くにみつ 監修/大浦訓章先生

この小説はスターツ出版文庫から刊行されている『ご懐妊!!』より掲載しています。たまひよWEB版は産婦人科医大浦訓章先生の監修のもと一部改訂しております。


砂川雨路
Profile
群馬県出身。東京都在住。著書に、『愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~』『クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした』(ベリーズ文庫)、『僕らの空は群青色』(スターツ出版文庫)などがある。現在、小説サイト「Berry's Cafe」「ノベマ!」にて執筆活動中。『ご懐妊!!』(スターツ出版文庫)は現在3巻まで発売中。テキストリンクなどもはれる。

大浦 訓章先生
Profile 
南流山レディスクリニック院長 慈恵医大卒。産婦人科准教授、同大付属病院総合母子健康センター産科部門長、東京母性衛生学会理事、日本周産期新生児学会評議員・副幹事長、日本周産期新生児学会新生児蘇生法委員などを歴任。「たまごクラブ」でも監修をつとめる。

南流山レディスクリニック

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OLの佐波は、苦手な超イケメンの鬼部長・一色とお酒の勢いで一夜を共にしてしまう。しかも後日、妊娠が判明! 迷った末、彼に打ち明けると…。大人気シリーズ、ついに3巻発売!

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