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「妊娠出産は…」先生のぐっとくる言葉に佐波は【小説「ご懐妊!!」Vol.27】

更新

『ご懐妊!!』Vol.27
スターツ出版文庫の大人気小説『ご懐妊!!』が、たまひよWEBにて連載中。「たまごクラブ」でもおなじみの産科医・大浦訓章先生のひと言解説もお見逃しなく。

●これまでのあらすじ
広告代理店で仕事に打ち込む佐波。悩みといえば、上司のイケメン鬼部長・一色が苦手なことくらい。それなのに、お酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまい、後日、妊娠が判明!不安と途惑いの中、部長に「赤ちゃんがいます」と告げたところ、部長の答えは「結婚」。途惑いながらも、ふたり暮らしを始め、実家にも挨拶に行き…

五ヵ月

マタニティビクスが始まっても、頭の中を"無痛分娩”がぐるぐる回る。
 痛くないって、本当に? 今の産院やめて、ここで産もうかな。ここなら車で一時間以内に来られるし、ギリギリ大丈夫じゃない? お産が痛いのは当然だと思っていたけど、医療の力でそれが回避できるなんて素敵すぎる!
 とはいえ、聞いてみたら分娩費用は約二倍の場合も……(編集部注)。それに、痛いのが嫌って、もしかして甘えている?

「先生、私も無痛分娩にすべきですかねぇ」
 レッスン後に話しかけると、枝先生が私の顔を覗き込んだ。
「一色さんは他院でしたね。無痛分娩が羨ましくなっちゃいましたか?」
「……なっちゃいました」
 私は頷いた。
「でも、痛いのが怖いから……なんて、ただの甘えですよね」
 枝先生が、ふふっと笑った。
「私は、妊娠出産に対する思いは、女性の数だけあると思っています。そして、どの思いもむやみに否定したくありません」
 小柄な先生が、胸を張ると大きく見えた。信念のある人の目は綺麗だ。
「いろいろな考え方があっていいんだと思います。痛いのが嫌な人、病気でやむを得ずという人、高齢で体力的に安心なお産を選びたい人……。逆に、とにかく自然に産みたい人もいます。助産院や自宅を出産場所に選ぶ人。医療介入は一切拒否なんて人もいます」
 枝先生は続ける。
「一色さんのバースプランはどんなものか、考えてみてください。きっと、今の産院でもそんな話があると思います。どう産みたいのか。どんなふうに赤ちゃんと対面したいのか。出産は出会いのセレモニーです。でも気張らず、自由に考えていいと思いますよ」
「自由に……」
「ちなみに私は、普通分娩でふたり産んでます。痛くなかったとは言いませんけど」
 え! 先生、お子さんいるの? そんなにスレンダーなのに!
 うーん、私のお産かぁ。今まで主体的に考えてこなかった気がする。
 それは、私には産みたいように産む権利があるってことだよね。
 ポンちゃん、どんなふうに産まれてきたい? ママが決めてもいい?

「無痛に変えるの?」
 帰り道の電車で美保子さんが聞いてきた。
 彼女はにこやかで、私がどんな選択をしても、きっと笑顔は変わらないんだろうなぁと思った。
「うーん。普通分娩で産んでみようかな」
 私は答えた。
「痛くないのは魅力的だけど、"普通に平凡に”痛い思いして、この子をお迎えしたい」
 思いもかけず授かった我が子。だからこそ、普通に平凡に。
 きっとそれが、私のためにもなる……気がする。
「でも、あんまり痛かったら、ふたり目は無痛にする!」
「それって、いい案だわ」
 美保子さんが美しく微笑んだ。


※費用は病院によって異なります。

つづく
【小説「ご懐妊!!】次回をお楽しみに


大浦先生アドバイス

バースプランは妊娠週数によって変わるものです。思いついたことをメモして母子手帳に書きためておいてください。ちなみに私の場合、無痛分娩を希望する方には妊娠34週ごろに説明をし、36週までに決定してもらっています。

著者/砂川雨路  イラスト/くにみつ 監修/大浦訓章先生

この小説はスターツ出版文庫から刊行されている『ご懐妊!!』より掲載しています。たまひよWEB版は産婦人科医大浦訓章先生の監修のもと一部改訂しております。


砂川雨路
Profile
群馬県出身。東京都在住。著書に、『愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~』『クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした』(ベリーズ文庫)、『僕らの空は群青色』(スターツ出版文庫)などがある。現在、小説サイト「Berry's Cafe」「ノベマ!」にて執筆活動中。『ご懐妊!!』(スターツ出版文庫)は現在3巻まで発売中。テキストリンクなどもはれる。

大浦 訓章先生
Profile 
南流山レディスクリニック院長 慈恵医大卒。産婦人科准教授、同大付属病院総合母子健康センター産科部門長、東京母性衛生学会理事、日本周産期新生児学会評議員・副幹事長、日本周産期新生児学会新生児蘇生法委員などを歴任。「たまごクラブ」でも監修をつとめる。

南流山レディスクリニック

ご懐妊!!3~愛は続くよ、どこまでも~

OLの佐波は、苦手な超イケメンの鬼部長・一色とお酒の勢いで一夜を共にしてしまう。しかも後日、妊娠が判明! 迷った末、彼に打ち明けると…。大人気シリーズ、ついに3巻発売!

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