43.2%の妊婦がさかご経験あり!その時、ママができることとは?【産婦人科医】
妊婦健診で「さかごですね」と言われたら不安に感じる人も多いでしょう。実は、半数近くの妊婦さんが“さかご”の経験者! 「さかごを直すために、今すぐできることを教えて」という妊婦さんたちの声を受けて、産婦人科医の今野秀洋先生に聞いてきました。
さかごって、どういう状態?
赤ちゃんの頭が子宮口に向いていない状態です。妊娠後期になると、おなかの赤ちゃんは重い頭を下(子宮口)に向けた体勢に落ち着くのが一般的。この体勢を「頭位」といいます。対して、おしりや足を子宮口に向けた状態が「さかご(骨盤位)」です。妊娠中期ごろまでは赤ちゃんが活発に動いている証拠で、頭位になったり、さかごになったりを繰り返すのはよくあること。健診時にたまたま、さかごの体勢になっただけの場合もあります。
出産までに多くの人はさかごが直る!
※データはたまひよインターネット調査( 0 カ月~ 1 才11カ月の赤ちゃんのママ412名対象/2020年12月実施)
さかごだと何が心配?
さかごが妊娠経過に直接影響することはありません。ただし、出産時にリスクがあります。たとえば、いちばん大きな頭が最後に骨盤を通過するため、頭が引っかかって出にくいことで、頭蓋内(ずがいない)出血や脊椎(せきつい)損傷、腕が“バンザイ”の体勢で出ることになり、四肢骨折などのリスクが。また、出産中に足のすき間から臍帯(さいたい)が先に出てしまうことがあり、臍帯が圧迫されて血液循環不良となり、おなかの赤ちゃんに低酸素血症、脳性まひが生じる可能性も。分娩時間が長くなることによる難産や新生児仮死のリスクも高まります。そのため、出産は帝王切開をすすめられることが多いです。
さかごは直る?
妊娠中期ごろまでは、赤ちゃんがおなかの中で自由に動き回れるので、さかごの状態は珍しくありません。この時期はさかごの状態になりやすいと同時に、直りやすい時期です。だんだん大きくなる妊娠後期になっていくと回りづらくなりますが、経産婦さんや羊水多めなどの場合は、臨月になってから自然に頭位になることもあります。
さかごを直したい!という妊婦さんたち。 何かできることはある?
さかごを確実に直す方法はないのですが、ママは、さかごが直りやすい環境づくりをしてみるのはどうでしょう。さかごが直らなくても、自分の頑張りがたりないから…、などと思う必要はいっさいありません。赤ちゃんと向き合うコミュニケーションタイムと思って、2つのことを試してみて。
さかごと言われたときにやっておきたいママができる2つのこと
●横向きに寝る
まずは健診で赤ちゃんの左右の向きを確認。赤ちゃんの背中が上になるように、ママが横向きに寝ることを意識してみましょう。そうすることで、赤ちゃんの頭の重さで、重力によって頭が下がり、回転しやすくなります。ただし、一方向にばかり横になっているとママの体にも負担がかかるので、30分くらいを目安に同じ姿勢をキープしたら、ラクな姿勢に向きを変えてみても。
【point】
眠るときもこの姿勢で、とは思わないで。睡眠中は同じ姿勢ではいられませんし、気にしすぎると緊張してしまうもの。「赤ちゃんが回ってくれたらいいな」くらいの気持ちで行いましょう。
●おなかが張りにくい生活を
ママが疲れやストレスを感じると、おなかが張りやすくなります。おなかが張ると赤ちゃんは回りにくくなるので、家事も仕事も無理は禁物。頑張りすぎないことが大事! 疲れたら休息を。心配事や不安な気持ちを周囲の人に伝えることもストレス解消の一つです。自分に合ったリラックスタイムを過ごしましょう。 また、体を冷やさないことも大切です。とくに下半身の「冷え」には注意を。
さかごが直らなかったら? 赤ちゃんは苦しくないの?
さかごでも赤ちゃんは苦しくありません。きっと羊水(ようすい)の中にプカプカと浮かんで快適に過ごしているでしょう。さかごのままでいるのは、この体勢が心地いいからで、ママは赤ちゃんの気持ちを受けとめてあげてください。さかごが直らず帝王切開になることもありますが、赤ちゃんを迎える喜びは出産スタイルに関係ありません。そのときを、穏やかに待ち、愛情を込めて子育てしていきましょう。
文/たまごクラブ編集部
妊娠中期のさかごは自然に直ることが多く、臨月でも直ることもあるようです。赤ちゃん自身も苦しくありません。ママができることは、頑張り過ぎないこと。ストレスをためず、おだやかな妊娠生活を送りましょう。
参考/たまごクラブ2021年4月号 さかごになったらどうする?