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手術する場合も!赤ちゃんの誤飲・誤えん、正しく知って予防を【小児科医】

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赤ちゃんは、大人が想像をしないようなものを口に入れることが。時にはそれが重大な事故につながることがあります。何が事故の原因になるのか、事故の予防や万が一事故が起きたときにどうすればいいかを小児科医で子どもの事故に詳しい山中龍宏先生に詳しく聞きました。

生後5~6カ月ごろから、誤飲・誤えんのリスクが高まります

赤ちゃんは成長するにつれて、手を伸ばしてものをつかめるようになり、それを口にするように。自ら動ける範囲もどんどん広がっていきます。これは赤ちゃんの喜ばしい発達ですが、成長に伴い誤飲からの中毒症状や誤えんによる窒息事故など、事故に遭うリスクも増えてしまうのです。赤ちゃんが5~6カ月くらいから、誤飲・誤えんの事故は起き始めるので、どんなものが危険になるか、ママやパパはよく知り、手の届かない見えないところにしまうなど対策をしましょう。

誤飲とは…

食べ物や飲み物ではない異物を、誤って飲み込んでしまうこと。赤ちゃんの体内に危険なものが入ることで、食道や胃腸に穴が開いてしまったり、中毒症状が起きたりする危険があります。

誤えんとは…

飲み込んだもの(食べ物か異物かにかかわらない)が、誤って気道のほうに入ってしまうこと。気道はその人の小指くらいの細さ。赤ちゃんの場合、とくに狭く、窒息が起こりやすいので要注意です。

思った以上に大きいものも口に入ります! 直径39㎜の筒を通るものは危険

3才児が口を開けた口径が約39㎜。ちょうどトイレットペーパーの芯の大きさが同じくらいなので、これを目安に。これより小さいものは口の中に入れて事故を引き起こす危険が高いので、赤ちゃんの手の届く範囲に置かないで。日用品やおもちゃなどはもちろん、食品も同様です。

誤飲・誤えんを予防するにはどうしたらいいの?

お部屋の環境を整えよう

気をつけていても、ふとしたすきに事故は起きます。“少しくらい目を離しても安全”と言えるように、下記のように整えましょう。
【1】薬は子どもが簡単に開けられない「チャイルドレジスタンス(CR)」容器をお願いする
【2】おもちゃの対象年齢を守る
【3】きょうだいと遊ぶゾーンを分ける
【4】危ないものは赤ちゃんの視界に入らない場所に置く

食べさせ方に注意しよう

食べさせ方一つで食べ物による窒息は防げます。下記のことを普段から実践してください!
【1】 食べさせるときは小さくカットしよう
【2】リスクのある食べ物は適切な時期まで食べさせない
【3】食べるときの姿勢や状況もチェック
・寝ながら、歩きながら、ふざけながら食べ物を食べさせない
・食べ物を口に入れたままの会話、テレビを見ながらの食事はさせない
・食べ物はよくかんで食べさせる
・食べ物を、一度にたくさん口の中に詰め込ませない
・食事中に、乳幼児がびっくりするようなことは避ける
・食事中は、いつもそばにいて観察する

こんなものを口に入れると危ない!

赤ちゃんが口に入れると危険性が高いものをピックアップして紹介します。
危険性の高いものと緊急度の目安を
【救急車を呼ぶ】
【時間外でも受診】
【窒息の疑いがあれば、救急車を呼んで】
の3段階で示しました。合わせてチェックしましょう。

たばこ【時間外でも受診】

誤飲したら、量を確認。水などの液体を飲ませるのはNG。また、ニコチンが水に溶け出したものを口に入れると危険度がより高まるので、普段から缶やペットボトルを灰皿代わりにするのはやめて。加熱式たばこのカートリッジも危険なので、要注意。

ボタン形電池・コイン形電池【救急車を呼ぶ】

ボタン形やコイン形リチウム電池を飲み込んで時間がたつと食道や胃腸に穴が開き、死亡に至る場合も。おもちゃやリモコン、電卓など、何に使われているか確認して。落下の衝撃で飛び出しそうなら、電池カバーの上からテープをはって対策を。

医薬品類【時間外でも受診】

東京消防庁の2018年の発表では、1才代の誤飲で2番目に多いのが薬関連(1位はたばこ)。種類や量によって重い中毒症状を起こす可能性が。必ず手の届かない見えない場所に保管を。誤飲したら、その薬とお薬手帳を持参の上、受診。

強力な磁石を複数個【時間外でも受診】

2個以上飲むと、磁石が食道や胃、腸にとどまり、粘膜を挟んで穴を開けることが。強力なマグネットはもちろん、マグネットボールと呼ばれるおもちゃ(写真の銀色のもの)など、磁石を使う小さなおもちゃも触らせないで。肩こり治療に使う磁気治療器も厳重に保管を。

丸くてつるっとした食べ物【窒息の疑いがあれば、救急車を呼んで】

丸い形状でつるっとしている食べ物は、のどを詰まらせて窒息するリスクが。2020年にも大粒のぶどうで4才児の死亡事例が報告されているので、必ず小さく切って食べさせて。

ベンジン・ガソリン・灯油【救急車を呼ぶ】

少量でも飲むと危険。万が一飲んだら、何も飲ませずに救急車を呼ぶのが正解。また、吐かせると肺炎(はいえん)などを引き起こす可能性があるので、NG。

小さなおもちゃ【時間外でも受診】

上の子のおもちゃに注意。ミニゴムボールやおはじきなどのほか、水でふくらむスポンジおもちゃも、体内でふくらんで手術した事例が過去に報告されています。

鋭利なもの【時間外でも受診】

針、画びょう、ヘアピン、くぎ、ホチキスの芯、カッターの刃、魚の骨など、直径39㎜を通るものがいっぱい。飲み込むと、食道や胃腸を傷つける危険が。

乾燥した豆類【窒息の疑いがあれば、救急車を呼んで】

ピーナツや節分の大豆などの乾燥した豆・ナッツ類は、気管に入るとふくらみ、窒息のほか、肺炎を起こしてしまうことがあるので、5才になるまでは控えて。

かみ切りにくいもの【窒息の疑いがあれば、救急車を呼んで】

白玉だんごなどは、粘着性が高く、かみ切りにくいので窒息に注意しましょう。

マニキュア・除光液【救急車を呼ぶ】

少量でも危険なので、厳重に保管を。飲んだ場合は、何も飲ませずに救急車を呼んで。吐かせるのは、肺炎などを引き起こす可能性があるのでNG。

硬貨【時間外でも受診】

飲み込んでしまうと、食道の中にとどまって傷つけたり、誤えんによる窒息を引き起こしたりするケースも。赤ちゃんの手の届かない見えない場所に保管を!

アルコール【時間外でも受診】

ジュースと誤ることが。量によっては急性アルコール中毒に。缶やコップの飲み残しが事故のもと。赤ちゃんの手が届く場所で飲まない&飲んだら片づけを。

家庭用洗剤・漂白剤【時間外でも受診】

近年では、洗濯用パック型洗剤や便器にはりつけるタイプのスタンプ型トイレ用洗剤など、新しいタイプの商品の事故報告も。飲み込んだら、水か牛乳を飲ませて。

監修/山中龍宏先生 撮影/有坂正晴【STUH】 構成・文/江原めぐみ、ひよこクラブ編集部

誤飲、誤えんを正しく知り、ママとパパが赤ちゃんの環境を整えることが、事故を未然に防ぐためにはとても重要です。赤ちゃんはできなかったことがある日突然にできるようになります。意外なことが事故につながるので、赤ちゃんの安全はママやパパが守ってあげましょう。


山中龍宏先生(やまなかたつひろ)


Profile
緑園こどもクリニック院長。小児科医。プールの排水口に吸い込まれて亡くなった女児をみとった経験から、子どもの事故予防に積極的に取り組む。子どもの事故による傷害や、事故予防の啓発活動を行うNPO法人「Safe Kids Japan」理事長。


参考/『ひよこクラブ2021年3月号』「赤ちゃんがOOを飲み込んでしまったら…」

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