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カットパンによる窒息事故が発生。子どもの命を守るために誤飲・誤えん事故に気をつけて【小児科医】

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クッキーのベビーガールのお食事
※写真はイメージです
RyanKing999/gettyimages

赤ちゃんが「やさいパン」という名称のカットパンを食べていて窒息をしてしまったという事故事例が報道されています。「赤ちゃんや小さい子どもが物を食べるときにはママ・パパが近くで見守って誤飲・誤えんに注意をしてほしい。とくに初めて食べるものは、ちゃんと飲み込めたかの確認が必要」と太田先生は言います。小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#14は、誤飲・誤えんの事故予防としてママ・パパたちに心がけていてほしいことについてです。

大切な小さい命が失われてしまった、残念な窒息事故が発生

前回の連載では、事故の予防に役立つサイトの紹介をしましたが、2021年10月16日以降、ネットや新聞、さらに消費者庁の“子ども安全メールVol.569”に、“パンを食べた”生後10カ月児の窒息死亡事故と生後11カ月の窒息事故が報告されたのを知りました。
原因食材は、同じメーカーの販売したパンだったと。消費者庁の2021年1月20日のNews Release(※1)にも窒息の原因となった食品としてパンのデータも紹介されていますが、この報告ではごく少数でした。

今回、窒息事故につながってしまった食材は、“パン”といっても、普通にパン屋さんで売っているものとは違い、製菓会社が製造した袋菓子のような商品だとのこと。袋の全面には、「10ケ月頃から」食べさせられると読み取れる表示があり(編集部注/2020年10月報告の10カ月男児の窒息死亡事故以前)、パン一個は、乾パンほどではないが乾燥してかためで、大きさも縦約2.5cm×横約3.5cm×厚さ約2.0cmと小さく、手先が器用になった乳児なら、自分で口に入れられる製品だということです。

この死亡事故後、メーカーは2021年2月~順次、袋の表示を「1才頃からご使用いただけますが、月齢はあくまで目安です」に変更し、「かみきる力の弱い乳幼児や高齢者の方などが、1個丸ごと口に入れた場合に『のど』に詰まらせるおそれがありますのでご注意ください」との注意表示の記載することにしたそうです。
(編集部注/当該商品は容量の違いで2種類あり、パッケージの表記の変更はそれぞれ異なります)

※1食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意! (caa.go.jp)

おおた小児科の患者の中にも経験者がいた

この事故の報道がされたあとに、当院を受診したお子さん(現在2歳11カ月)のママAさんが、診察が終わったあと、「うちの子もあのパンを食べて窒息しかけました。」と話し始めました。1歳の誕生日の3日前に、そのパンを初めて口にして窒息事故を起こしたと。わが子の事故を国民生活センターに報告したほうがいいのかという相談でした。
Aさんは当日の様子を事故直後にブログに残していて、それを読ませてもらいましたが臨場感あふれる内容でした。口に入れた途端に苦しがったこと。とっさに背部叩打法(はいぶこうだほう)を行って命を救えたこともわかりました。ここまで詳しい経過が残してあるなら、ぜひ報告してくださいとお願いしました。

「突然目の前で子どもが目をつぶって苦しがり出した・・・」1才直前の窒息事故の体験談

先述のAさんが残してくれた記録を要約しながらお伝えします。

「お店で『10カ月から』食べさせてもいいと書いてあるパンを見つけた。歯も8本生えてきたし、これなら食べられそうだと思って買った。昼食にお皿に数個だして、そのうちの一個を半分に割って与えたが、飲み込みにくそうだった。水分を与えたら飲み込めたようだったので、残りはもっと小さくちぎって食べさせようとしたら、子どもが自分で口に入れてしまい、突然目をつぶって苦しがり始めた。とっさに、習ったばかりの背部叩打法を始めたが、なかなかよくならないので、救急車を呼んだほうがいいかどうか迷い、小児科に聞いてみよう電話をした」(Aさん)

この小児科が当院で、当時のカルテに記録がありました。

「叩打が効いて、何とか呼吸ができる状態にまで戻った。小児科からは、落ち着いたように見えても、念のために診察は受けたほうがいいと言われたので、119番通報して最寄りの病院に搬送してもらった。病院到着時には呼吸状態も落ち着いており、一通りの診察を受けたのち帰宅した」(Aさん)

「パンがのどに詰まった」と説明はしたが、実物のパンは持っていくのを忘れたので、窒息リスクの高いものだったかどうかの検証はされなかったとのこと。そして、事なきを得てホッとして帰宅したが、反省の意味もあり、記録しておくことにしたのだそうです。

それから、ほぼ2年たって、同じパンで死亡事故が起きていたと知ってまた相談してくれました。

「救急法スクールを受けておいて、本当によかった」

Aさんは、事故後いろいろと反省をして、その時の状況もまとめてくれていました。以下にお伝えします。

「安全には気配りしており、子どもはちゃんと座らせて食べさせていたが、まさか自分の目の前でこんなことが起きるなんてがくぜんとした。

1歳近くなると、歯ぐきでつぶせるくらいのかたさがいいとされているが、購入したものは普通のパンより乾燥していてかためだったと事故のあと自身が食べてみてわかった。
商品表示だけでは安心できないとわかった。先に試食してみるべきだった。
パン1個の大きさも、この月齢で適切と言われる1cmより大きかったのに、そのまま与えてしまった」(Aさん)

そして、背部叩打法を的確に行うことができたのは、講習を受けてていたことが奏功したと話してくれました。

「事故の2カ月前に、夫婦で日本赤十字救急法スクールを受け、人形をつかった背部叩打法を実際に体験していたのが役に立ったんです」(Aさん)

2年前のことですが、ママは昨日起こったことのように状況を鮮明に覚えていました。とっさの処置ができたのも講習を受けていたからで「知っててよかった」と。命を落とすことがなくて本当によかったです。

乳幼児に起こりがちな事故の理解と、救急法の受講の検討を

ぜひ、消費者庁ウェブサイト「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」の中の「子どもを事故から守る!!事故防止ハンドブック」の活用。“子ども安全メール”の登録をして事故の予防に役立ててください。
パパ・ママのための救急法スクールも各地で開催されています(コロナで中断中の所もあります)ので参加の検討もしてみてください。


文・監修/太田文夫先生 構成/ひよこクラブ編集部 

【小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと】今までのお話はこちら

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