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緊急事態!デルタ株の脅威 新生児・子どもの患者も増えている ~子どもたちを守るために~【小児科医】

更新

ake1150sb/gettyimages

「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」#11は、新型コロナのデルタ株と小児の感染についてです。
太田先生は「ママ・パパと首都圏の小児医療の現状を共有できれば、いろいろ対策もできて、転ばぬ先のつえになればいいなと思って、私のまわりの状況をお知らせします」と、言います。

デルタ株の流行で家庭内感染が増加

新型コロナ感染は第5波に入っており、感染力の強いデルタ株の流行によって状況が一変しています。発症者の急増だけでなく感染のしかたにも変化が。今までは患者を家庭内隔離しておけば家族にうつることはめったになかったのに、今は一人患者が出ると同居家族全員が発症するケースが増えてきました。その影響なのか、自宅にいるだけの妊婦や新生児・乳児の感染者の報告も増加しています。

子どもの発生実態にも変化が

どこで患者が発生しているかは個人情報保護とのからみで、ほとんど公表されていません。ママ・パパの中には、年少者の患者が増えてきたという認識がまだない方も多いようです。首都圏と関西圏には緊急事態宣言が出されていますが、このままでは9月上旬には日本中に緊急事態宣言が発令されるかもしれない勢いで感染者が増えています。子どもたちの感染者は夏休み明けに一気に増えるのではないかという心配もされています。一部地域では夏休みの延長を決めましたね。

2021年8月20日現在、13の都府県で緊急事態宣言が、16の道県にはまん延防止等重点措置が出されています。各地から「今日は過去最高の患者が発生しました」と報道されていますし、クラスター発生の報道も後を絶ちません。厚生労働省の集計でも全国的に10歳未満の新規患者が急増していると発表されています。

発症者が増えれば、子どもたちの重症化も心配に

私の暮らしている千葉市でも成人患者が急増して病棟が満床となり、軽症者は自宅療養を余儀なくされています。自宅で呼吸が苦しくなって救急車を呼んでも一時的な酸素投与を受けるだけでそのまま自宅療養を続けないといけない人も出ているのが現状です。
小児科でも新型コロナ陽性者を診察する機会も増え、自院で陽性と診断することも増えていますが、保健所からの濃厚接触者検査の依頼も毎日のように来ています。
感染がわかった子どもたちも軽症なら自宅療養となっています。子どもたちはおおむね軽症ですが、発症者が増えると重症者が出てきてもおかしくありません。市内保育施設からは毎日複数の施設で職員や子どもの陽性者が出たと報告が上がり、ついに昨年春と同じように緊急事態宣言が解除されるまでは「可能な限り施設の利用を控えるように」と通知が出されてしまいました。事態はここまで悪化しており、今まだ患者さんが多くない地域でも、明日はわが身と思っての覚悟が必要です。

クラスターの原因は、マスクなしの会食

大人も子どもも、どこでうつったかがわからない「感染経路不明」例も増えていますが、小規模クラスターの原因の多くはマスクなしの会食です。
幼稚園や保育所の大規模クラスターの原因調査では、マスク未着用をまま保護者も交えた長時間のイベント開催や、学校では部活動前後のロッカーでのマスクなしのおしゃべり、中にはサマースクールへの参加で感染した子も。近隣の市では学習塾で大規模クラスターの発生も起きてしまっています。残念ながら遊びの場も、学びも場もクラスターに結びつきやすいのです。

不織布マスクとワクチン接種で感染予防を

感染予防対策ですが、マスクの選び方にもご注意を。布製やウレタン製では予防効果が低く、不織布マスク着用なら効果があると証明されています。外出の機会が多い人が家にウイルスを持ち込まなければ、ママも子どもも守られます。少しでも風邪症状があれば(2歳以上なら)自宅内でも全員マスク着用がおすすめです。手洗いも大事ですが、うがいも予防策として効果があります。外出から帰ったら、ぜひうがいもしてください。

第5波では、ワクチン接種の済んだ高齢者の発症者は少なくなっており、流行を抑制するためにいちばん大事なのは、早期にワクチンの接種率を上げることだとわかります。しかし、ワクチン接種を受けたくても、供給が以前ほど潤沢ではないので予約が取りにくくなっています。それでも、接種券の届いているママ・パパはできるだけ頑張って接種を急いでほしいです。

今後、第5波のピークが過ぎるまでは不要不急の外出を控える、効果のある予防対策はして、このコロナ禍を乗りきりましょう。

文・監修/太田文夫先生 構成/ひよこクラブ編集部

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