日本の文房具が優秀すぎる！主婦の心の声【御手洗直子のコマダム日記】

今回は直子の学生時代のお話。大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ＆エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#76

迷い迷われロンダルキア

文房具が好きなので文房具を買う事を趣味としているが、ストレスが溜まる。

収集することだけが目的ではなく、さらに使い切ることを目的としているので『消費しきれない』というフラストレーションが溜まる趣味なのである。

そもそも日本の文房具はおそろしく安価、かつ優秀にできているので100円で買ったボールペンが余裕で年単位もってしまう。私は漫画のネームを描く際にボールペンを使用しており、気になるメーカーのボールペンをいくつか持っているのだが、年に一本という単位でしか買わなくてもドンドンボールペンが溜まっていくのである。それでも支出は年間200円弱である。おそろしい。

しかも気に入った商品を追加して買う場合、本体を買うのではなく替え芯を買うとなると一本70円とかそういう値段なのである。送料の方が高い。完全に何かを買う際についでに買う、どこかへ出かけた際についでに買う、ついで買い商品という位置づけなのである。あまりにも70円なのでいっそ10本セットを買おうかと思ったがヘタをすると一生使い切れず子の代へ引継ぎそうなので歯を食いしばって我慢した。我慢しながら、いや…たかが700円程度の物を…些少ではあるがメーカーさんへのお布施にもなるし己の趣味に使う金額にしても贅沢な価格でも無いし、我慢する必要があるのであろうか…たとえ使い切れず数十年後の遺品整理の時『もう～、おばあちゃんたら、こんなに使わない文房具をためて！』って言われながら処分されようとも買う事に意義があるのなら、それはそれでよいのでは…？と思ったが歯を食いしばって我慢した。そこまで我慢する必要があるのだろうか。迷ったがやはり使わない物を買って死蔵するのは己のポリシーに反するため我慢したのであった。でも替え芯10本セットが欲しい。絶対使いきれないけど。

これが使い道がそもそも無いラミカとかネットフリックスで見られるから絶対に見ないDVDとかなら買えるのだ。そもそも使わない虚無への供物として己の財産を捧げることができる。いや違う。コレクション用品としての用途があるので出せるのである。しかしボールペンの替え芯は違う。コレクション用品として愛でるわけでもなく、完全に使い切れる確信も無く、ただただ欲しいのだ。こんなに欲しい700円の物を、買ってしまえばよいのに我慢することが、本当に正しいことなのであろうか…？迷いながら、ずっと買わないでいる。

だってパワータンク（三菱鉛筆）の替え芯を買ったらさらさ（ゼブラ）の替え芯も欲しくなるし、シグノ（三菱鉛筆）の替え芯も欲しくなるし、フリクション（パイロット）の替え芯も欲しくなるし、エラベルノ（コクヨ）は全色欲しくなるし、今目の前にあるボールペンだけでも10本ずつ買うと50本になり、おそらく私の寿命を超えるからだ。

私の贅沢が、将来子の文房具購入の枷になってはいけない。


でも欲しい。
蝶の標本みたいにきれいに展示すれば許されるだろうか。（おわり）

御手洗直子
Profile　pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
　御手洗直子twitter：＠mitarainaoko