赤ちゃんの体と心が劇的に変わる"9カ月革命"って?
0才代は成長が著しいですが、その中でも、9カ月のころに劇的に変化するといわれています。赤ちゃんの体と心に起こる、大きな革命とは?
これを読めば9カ月が待ち遠しくなること間違いないです!
「9カ月革命」には、0カ月からのママ・パパとのかかわりが重要
赤ちゃんは生まれながらに、人とかかわろうとする能力を持っています。0~1カ月ごろはまだ受け身で、「おなかがすいた」「眠い」「おむつが汚れて気持ちが悪い」などの快・不快を泣くことでしか表現ができません。
それらの欲求に対し「おっぱいやミルクをあげる」「抱っこして声をかける」「とんとんして寝かしつける」「おむつを替える」などの行為で応えるのを繰り返すことで、赤ちゃんとママ・パパに信頼関係が生まれます。
その信頼関係を土台として、赤ちゃんは2カ月ごろになるとママ・パパに笑いかけたり「アー」「クー」といった声を出すなど、自ら発信するように。この赤ちゃんが自ら働きかけるようになる成長のことを“2カ月革命”といいます。赤ちゃんの発信をママ・パパがくみ取ることで、徐々に信頼関係ができ、コミュニケーションの第一段階ができあがったということ。ママ・パパは赤ちゃんの発信にほほ笑んだり声をかけて答えてあげて。そのやりとりの繰り返しが、赤ちゃんの心をぐんぐんと育てます。
“2カ月革命後”は1対1のやりとりが可能に
2カ月革命以降も、赤ちゃんができること・わかることがどんどん増えていきます。たとえば、次のようなことができるように。
3~4カ月ごろ
・軽いものなら持てるようになる
・意識的に物を見るようになる
・まわりをキョロキョロと見回すようになり、興味が広がる
・感情表現が豊かになり、声や体全体で表現する
5~6カ月ごろ
・親しい人を見分ける
・ほほ笑み、怒りの表情から、相手の感情を理解できる
・興味のあるものを自分から取りに行こうとする
・「パイパイ」「かわいい」など、聞き慣れた言葉の意味を理解するようになる
・理由があって泣き、解決したら泣きやむ
・繰り返し音(マママ、ダダダなど)を発声する
7~8カ月ごろ
・名前を呼ぶと来る
・人の身ぶりを理解する
・話を一生懸命聞こうとする
・やりとり遊びを楽しむようになる
・「マ」「パ」などを発音する
できることやわかることは増えますが、8カ月までは「ママ・パパが赤ちゃんをあやすと笑う」「赤ちゃんとおもちゃだけの関係」のようなかかわりしかできません(二項関係)。それが、9カ月になると「いろいろな体験をママ・パパと一緒にしたい!」という気持ちが芽生え、9カ月革命が起きるのです。
「9カ月革命」とはコミュニケーションの土台がつくられること!
具体的な「9カ月革命」の例を挙げると、ママ・パパが「見て見て、この積み木面白いね」と指さしたものを「あー♪」と楽しそうな声を出して触ろうとするなど、人と同じものを意識して見ることができるようになります(共同注意)。
ママ・パパとの新しいかかわり方が誕生します
これは、ママ・パパの声かけで物を見て、さらにママ・パパの「面白いね」という気持ちも感じ取り、同じものを見て「本当だ!面白い」という気持ちを共有し、「赤ちゃん・ママ(パパ)・物」の関係を理解できているということです(三項関係)。また、初めて目にするものを触る前に、ママ・パパの表情を見て、していいことかどうか判断しようとする様子が見られるようにも(社会的参照)。今までとは違う、ママ・パパとの新しいかかわり方が誕生するのです。
こういった「一緒に同じものを見て分かち合う力」「人の視線や表情からその人の意図を読み取り、相手の気持ちを理解する基礎」など、人として社会の中で生活していくために重要なコミュニケーション能力の土台がつくられる急激な変化のことを「9カ月革命」というのです。
9カ月革命後、ママ・パパはどうかかわればいいの?
9カ月革命が起きると、赤ちゃんの好奇心はより強く、さまざまなことに広がっていきます。そこでママ・パパは、
・赤ちゃんが何かに興味を示して見ていたら、「あそこのお花とってもきれいだね」など、赤ちゃんが見ているものを指さしながら教えてあげる。
・「できた!」「うれしい♡」「悲しい」「なんだか嫌だ」など赤ちゃんの喜怒哀楽に対して、ママ・パパは赤ちゃんと同じ気持ちになって答えてあげる。
・初めて目にするものを前に不安そうにママ・パパの顔を見ていたら、「大丈夫だよ」ということを表情や言葉で表現してあげる。
など、赤ちゃんの気持ちに共感し、遊びや生活の中で満たしてあげるといいでしょう。
「9カ月革命」が起きるには、日々のママ・パパと赤ちゃんのかかわりが重要です。練習してできるようになるものではありません。
「うちにもキターッ!」を見逃さず、赤ちゃんからのメッセージを受け取って、この時期にしかできないやりとりを一緒に楽しんでくださいね!(取材・文:ひよこクラブ編集部)
監修/
村上あずさ先生(みくりキッズくりにっく 臨床発達心理士)
アンダンテ西荻教育研究所、明治学院大学心理臨床センター勤務を経て現職。東京都大田区のスクールカウンセラーも兼任しています。赤ちゃんとのかかわり方について教えてもらいました。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※赤ちゃんの発達には個人差があります。
※記事内の表現を一部修正しました(2023年9月)