女優・加藤貴子 親としての理想像にしばられる自分を救ってくれた言葉たち
連載20回目となる女優・加藤貴子さんのお話は、連載を振り返って考える“アドバイス”について。この連載は、44才で第一子、46才で第二子を出産した、加藤さんの赤裸々な育児話と、育児に影響を与えた言葉を紹介しています。
私にできるのは自分の体験をシェアすること
こちらの連載も早いもので20回目となりました。はじめにお話をいただいたとき、編集の方から「高齢出産をした方たちに子育てのアドバイスをお願いできれば」と言われました。そのとき、口をついて出たのが「毎日が手探り状態の子育てで、私自身が誰かにアドバイスしてもらいたいくらいです。おこがましくてとてもとても、そんな文章は書けません。すみません」という言葉でした。
でも日ごろ、出会いや機会は大切にしていきたいなあと感じているので、私にできることはないかな?と考え直してみて「私の日常の子育てでの悩み事や、失敗したときにもらったアドバイスをシェアする文章でもいいですか?」と、アイデアを出したところ、OKをいただきました。
実は、文章を書くことは幼いころから嫌いでした。言いたいことがあっちこっちにとっちらかり、いざまとめようとすると途端にダンマリを決め込む私のオツム。まさに私の性格そのもの。
そんなわけで、大人になってもなかなか苦手意識をぬぐえずにいたので、果たして私に務まるのかしら?という不安を抱えながらのスタートでした。それがどうにか続けることができて、なんと20回目を迎えました!
わかっていながらも正論に傷つき、悩んだことも
育児に家事に仕事に、無我夢中というか、必死で、日々はあっという間に過ぎ去っていきます。文章にすることで私自身の失敗や、心優しい友人知人から適宜いただいたアドバイス・メッセージを振り返ることができ、大切に咀嚼(そしゃく)することにつながりました。
子育ての場面に限らず、ときに、アドバイスは正論であるほど息苦しく、かえって追いつめられてしまう要因の一つになることがあると思います。
他人と自分を比べてふがいなく落ち込んだり、うらやんだり、ねたんだり、そんな風に思ってしまう自分を嫌悪したり。鋭い正論に傷つけられてしまう人、結構多いのではないでしょうか。
私もそんな体験を少なからず重ねてきました。助けようとして言ってくれてるんだってこと、重々承知していても、グサッ、てきちゃうんですよね〜。
私がここで書いてきたいろいろな言葉や体験談は、そんな正論、というよりも私が握りしめていた“こうあるべき”という理想像に、ほかならぬ私自身が苦しめられてしまっていたことに気づき、役に立たなくなったそれらを手放すきっかけにもなった出来事から、主に取り上げてみました。
少しでも皆さんの心を軽くするお役に立ってくれればなあ、と思います(もちろん、そのときに腑(ふ)落ちるアドバイス、心に響いた言葉だけ、お読みくださいね)。皆さんの今日がステキであることを、明日がもっとうれしい楽しい一日であることを、祈ります。
さて、今回の20回を持ちまして、この企画はいったん終了させていただきます。次回からは新企画。そちらもどうぞ引き続きご笑覧いただけますと幸いです。
読者の皆さん、感想をお寄せくださった方々にあらためて感謝申し上げます。
文/加藤貴子 構成/ひよこクラブ編集部
一生懸命に子育てをしていると、思いやりからのアドバイスをもらったとしても、自分を責めたり、苦しく思ったりすることもあります。加藤さんが20回にわたり紹介してくれた言葉の数々は、その気持ちを知っているからこそのもの。ママやパパたちの思いに寄り添うエピソードに励まされた人も多いのではないでしょうか。新企画もお楽しみに!
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
加藤貴子さん(かとうたかこ)
PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。