家がキレイだと片づけ上手な子が育つ? 忙しくても散らからない片づけ術
小さい子どもがいる家では、気がつけば物が増えている、ということも多いもの。2才の息子がいる筆者宅のリビングも、寝かしつけを終えたあとは床におもちゃが散乱し、収拾がつかない状態。片づけにまつわる悩みは尽きません。
家がスッキリ片づいて、さらにお片づけ上手な子どもが育つアドバイスを、片づけ&ハウスクリーニングのプロで、『部屋を片づけるだけで子どもはぐんぐん伸びる!』の著者、佐和田久美さんに伺いました。
床に直置きはNG! 物を増やさないために心がけたいこと
赤ちゃんがいる家でいちばん大切なのは、衛生的であること。お世話グッズやおもちゃ、絵本などが床に『直置き』になっている状態は極力避けたいですね。また、物が多いと、そこにほこりがたまったり、掃除がおっくうになるなど、負のサイクルが生まれます」と佐和田さん。物を極力増やさないためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
「“かも”は絶対に来ない!」必要な物を見極める
「必要か必要ないか、物を選別するときにポイントとなるのが、『いつ使うか、明確にイメージできるか』ということ。たとえば『1週間後の子どもの遠足で必要』など、使うシーンと時期が具体的にわかっているかどうかが重要なんです。『いつか使う“かも” 』といったように、具体的な使用シーンをイメージできない物は、切り捨てる覚悟が大切。“かも”は絶対に来ません」。
物を買うときは「プラマイゼロ」の法則で
筆者には、セールで大きいサイズの子ども靴を買ったのに、その存在を忘れて無駄にしてしまった苦い経験があります。大きいサイズの服を買い過ぎたり、ストックを多く持つことも、家に物をあふれさせる一因なのだそう。
「新しい物を買ったら、靴なら靴、おもちゃならおもちゃというふうに、同じカテゴリーの古いものを1つ処分してプラスマイナスゼロを心がけましょう。物が家に入ってくる“入り口”をカタく保つのも、家に物を増やさないコツですね」。
盲点? 片づけの大前提は“整理”“整とん”“収納”
実は“片づける”という行為以上に、片づけるための“準備”が大切なんだそう。これまで数多くの家庭でハウスクリーニングを手がけてきた佐和田さんは
「物の置き場所を決めて、使ったらそこに戻すようにすること。そうすれば、忙しくても部屋が散らからず、片づいた状態を保つことができます。でも、“整理”“整とん”“収納”がきちんとできていない家は、片づけられません」と強調します。
この3つが整って初めて、家が片づき、子どもにも“お片づけ”の習慣がつくのだそう。快適な生活空間のために欠かせない“お片づけのしくみづくり”と、お片づけを子どもに習慣づけるための秘訣を教えていただきました。
片づけのしくみづくりの順番は、整理→整とん→収納
「まず『その部屋をどんなふうに使いたいのか』、頭の中で”整理”しましょう。『子どもが遊ぶ部屋』『仕事をする部屋』などイメージが定まったら、その部屋に必要な物だけを、置く場所を決めて収納するようにします。
そのために、まずはその部屋にあるものをすべて出し、グループ分けします。部屋にあるものすべてを出すのが大変なときは、『今日は赤ちゃんのクロゼットだけ』『おもちゃ箱だけ』など、部屋の一部でもOK。
そして、
『この部屋で使うもの』
『別の部屋で使うもの』
『使わないもの』
『迷うもの』に分類します。
分類できたら、『この部屋で使うもの』はこの部屋に、『別の部屋で使うもの』は別の部屋に移動、『使わないもの』はすぐに捨てます。『迷うもの』は箱に入れて1年間保管し、使わなかったら箱ごと捨てましょう。
続いて、『この部屋で使うもの』を使用目的別に分類します。これが“整とん”。あまりこまかく分類しなくても、『おむつ替えで使うもの』『遊びで使うもの』など、ざっくりでOK。
最後に、分類したものの置く場所を決めて、“収納”します。その際、使う人が出しやすくてしまいやすい場所を選ぶことが大切。たとえば小さな子どものおもちゃは、子どもが見やすくて手が届く場所に、子ども目線でわかりやすく収納してあげましょう」。
「お片づけ」できないのは、しくみができていないから
「発達に合ったおもちゃを用意し、子どもが自分で片づけしやすい場所に収納する環境を整えることが、お片づけの芽を育てます。子どもが小さいときからお片づけのしくみづくりをして、物との上手なコミュニケーションのとり方を覚えることで、物を大切にする心もはぐくまれます。お子さんがなかなかお片づけをしてくれないときは、一度、環境を見直してみるといいでしょう」と佐和田さん。
そういえば、筆者宅では、最近、息子がご執心の「粘土やクレヨンの片づけ問題」が浮上していました。“整理”“整とん”“収納”のお話を聞いたあと、冷静に子どものおもちゃ収納を眺めると、ほかのおもちゃをしまう箱はあっても、粘土とクレヨンをしまう場所がまだありませんでした。「物を置く場所が決まっていなければ、お片づけはできない」という根本的なところでつまずいていたのだと気づかされました。
佐和田さんの言葉の中で印象的だったのは、「片づけいていない状態が慢性化すると、それが子どもにとって“風景”になってしまう」ということ。散らかった部屋に対する意識が鈍くなるのは、怖いことだなと思いました。取材を通して、部屋が片づいているということは、自分が気持ちよく生活するだけでなく、子どもにとってもいい影響がたくさんあるんだなと感じました。(取材・文/本多恵、ひよこクラブ編集部)
Profile●佐和田久美さん
“キレイ”を広め、子どもたちの笑顔を広めたいという思いで2010年株式会社ワンズコピーを設立。片づけ&掃除のプロとして、数多くの家庭のハウスクリーニングを代行するほか、整理収納などのセミナーでも活躍中。著書『部屋を片づけるだけで子どもはぐんぐん伸びる!』(キノブックス)、『「モノを正しい場所に置く」だけで部屋は自然とキレイになる』(文響社)が話題を集めている。

『部屋を片づけるだけで子どもはぐんぐん伸びる!』
家をキレイに片づけることで、決断力や自立心など、子どものさまざまな能力がアップ! 元“汚部屋”の住人で片づけができなかった佐和田さんが、実体験をもとに片づけが子どもや家族にもたらすメリットを説きます。今日からできる片づけ術も満載!1404円(キノブックス)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。