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「100メートルが走れない」「表情を読み取るのが苦手」大人以上に厳しい感染対策で子どもたちの将来に不安も【小児科医】

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スイング上の日本人の女の子 (5歳)
※写真はイメージです
ziggy_mars/gettyimages

新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)の第6波の流行が拡大し、保育園が臨時休園になるなど、子どもたちの生活にも大きな影響が出ています。感染力が非常に強いオミクロン株から、子どもたちを守るにはどうしたらいいのでしょうか。新型コロナとの正しい向き合い方について、2022年2月11日現在でわかっていることを長崎大学大学院 小児科学教授 森内浩幸先生に聞きました。森内先生は、日本小児感染症学会理事長、日本小児科学会理事などを務めています。

全国的に広がる臨時休園。1人の陽性者が確認されて臨時休園になることも

厚生労働省が発表した2022年2月3日時点の保育所等における新型コロナウイルスによる全面休園の状況は、43都道府県・777件にものぼります。

――オミクロン株の大流行によって、多くの保育園が臨時休園に追い込まれています。先生は、こうした状況をどのように見ていますか。

森内先生(以下敬称略) 保育園の臨時休園は、私はやり過ぎだと考えます。園で新型コロナの陽性者が出た場合、臨時休園の基準は行政の判断に委ねられています。
たとえば1人の職員(園児)が新型コロナ陽性だと、ほかの園関係者や園児も濃厚接触者になる可能性があるからといって、臨時休園とする行政もあります。

小学校でも過剰ともいえる感染対策が行われています。給食の時、みんな黙って同じ方向を向いて食べている学校が多いです。しかし大人たちはどうでしょう。新型コロナが流行し、大人たちのエゴで子どもたちの世界は振り回されているように感じています。
新型コロナは、基礎疾患がない子どもにとっては、脅威のウイルスではありません。子どもにとっては、RSウイルスやインフルエンザのほうが怖いウイルスで、基礎疾患がない子でも重症化します。毎年何十人もの子どもが亡くなり、それ以上の子どもたちに後遺症をもたらしています。そんな怖いウイルスが子どもたちに流行していても、大人は気にしていなかったのです。

子どもたちを新型コロナから守るには、大人の感染対策が必須

子どもたちを新型コロナから守るために、具体的にはどのようなことをしたらいいのでしょうか。

――2022年3月から5~11歳の新型コロナワクチン(以下コロナワクチン)の接種が始まる予定ですが、子どもたちを新型コロナから守るにはワクチン接種が重要なのでしょうか。

森内 基礎疾患がある子は優先的にコロナワクチンの接種をおすすめします。基礎疾患がある子が新型コロナに感染すると重症化リスクが高いです。

しかし最も重要なのは、大人の感染対策です。大人は子どもよりも行動範囲が広いです。そのためママやパパはもちろん、園の先生など子どもたちとかかわる人は、感染リスクが高い行動を避けてください。大人がしっかり感染対策をすれば、子どもへの感染を減らせます。
また受けられるならば3回目のコロナワクチンを受けてほしいと思います。感染予防効果は多少なりとも期待できますし、大人は子どもより重症化のリスクがあります。

――2022年2月、新型コロナ対策にあたる政府の分科会が提言案を出し、当初は「2歳以上の子どものマスク着用を可能な範囲で推奨する」としていました。その後、子どもの年齢については明示しないことになりましたが、やはり子どもたちにもマスクは必要なのでしょうか。

森内 子どもはマスクをきちんと着用できないことも多いです。またマスクの表面に触れば接触感染のリスクが高まります。そのため2歳以上であっても、感染予防効果は極めて限定的です。
一方、マスクの着用で呼吸は苦しくなります。中国では健康な中学生3人が持久走の最中に突然死したことが報告されています。園で嘔吐下痢症が流行ったりして、マスクをしたまま吐いてしまうと窒息する恐れもあります。夏場なら熱中症も心配です。メリット(感染予防)はあるかないかわからない程度なのに、デメリットは非常に大きく、2歳以上でも着用を推奨すべきではありません。

「人の表情を読み取れない」「100メートル走れない…」子どもたちの現状とは!?

森内先生は、子どもたちにとってはコロナよりも心配なことがあると言います。

――新型コロナの流行から2年がたち、子どもたちの生活も大きく変わりました。コロナ禍での子どもたちへの影響について、先生が心配していることはありますか。

森内 2021年5月文部科学省が発表した児童生徒の自殺者数は、コロナ禍である2020年が499人と最多でした。そのうち小学生の自殺は14人。中学生は146人。高校生は339人です。
2019年より100人も自殺者が増えています。子どもたちの自殺とコロナとの因果関係は明らかになっていませんが、まったくないとは言えないでしょう。
コロナによる急激な生活の変化などで、メンタルに不調をきたす子どもも増えてきていると思います。

――幼児では、どのようなことが心配されますか。

森内 長引くマスク生活で、人の表情を読み取るのが苦手な子どもが増えています。相手が怒っていたり、困っていたりするのに気づかないなどのKY(空気が読めない)状態です。
こうした子は、ほうっておくと幼児期だけでなく、将来も人間関係がうまく構築できないなど困る場面が出てくるかもしれません。早急な対策と長期的な支援が必要ではないかと考えています。

――子どもたちの体の成長や運動面はいかがですか。

森内 コロナ禍の運動不足や野外活動の不足により、肥満や視力低下の子も増えています。外で体を動かすことが減り、家で動画を見たり、ゲームをしたりする時間が増えたことも一因でしょう。
スポーツ庁が2021年12月に発表した「令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書」によると、子どもたちの体力は著しく低下しています。中でも持久走や20メートルシャトルラン、反復横とび、上体起こしの結果が大きく低下しています。

1週間の体育以外の運動時間も「420分以上」と回答した小学生男子は2019年度は51.4%でしたが、2021年度は47.8%。3.6%減です。
小学生女子は2019年度は30.7%でしたが2021年度は28.3%。2.4%減です。
体力がなくて「100メートル走るのがつらい」という子もいます。コロナ禍での子どもたちの心と体の成長を考えると、小児科医としては心配です。

――子どもたちの健やかな成長のために、どのようなことが必要なのでしょうか。

森内 前述の保育園の臨時休園も同様ですが、大人のエゴで過剰な予防対策を取り入れないことです。大人は「経済も大事だ。社会を回そう」と言いますが、「子どもの遊びと学びはもっと大事だ。子どもの未来を守ろう」という声もあげるべきです。

お話・監修/森内浩幸(もりうち ひろゆき)先生

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

コロナ禍における子どもたちの心と体の育ちは、多くの小児科医が心配しているところです。森内先生は、コロナ禍であっても、これからの未来を担う子どもたちが健やかに成長できる社会でなくてはいけないと言います。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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