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5~11歳の新型コロナワクチンの接種は、受けたほうがいい?海外と日本の違いとは【小児科医】

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母親は子供の仮面を準備している
※写真はイメージです
maruco/gettyimages

日本でも2022年2月ごろから、5~11歳にファイザー社製の新型コロナウイルスワクチン(以下新型コロナワクチン)の接種が始まるといわれています。子どもへの新型コロナワクチンについては、不安や疑問を抱くママやパパは多いのではないでしょうか。富山大学附属病院小児科の種市尋宙先生に、2021年12月17日現在でわかっている、5~11歳の新型コロナワクチンについて聞きました。種市先生は、富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議座長を務め、富山市で子どもの感染対策に当たっています。

日本では「子どものため」という視点をもって、コロナワクチンの十分な議論が必要

日本の新型コロナワクチンは、これまでアメリカでの動きに追従してきています。しかし種市先生は、その動きに疑問を感じると言います。

――アメリカでは、2021年11月から5~11歳の新型コロナワクチン接種(ファイザー社製)が始まっています。日本も同様に、5~11歳の新型コロナワクチン接種が始まるようですが、先生のお考えを教えてください。

種市先生(以下敬省略) アメリカでは、5~11歳の後、既に6カ月~4歳までのファイザー社製の新型コロナワクチンの臨床試験が行われており、年内もしくは年明け早々にはそのデータが公表されるかもしれません。アメリカは子どもたちの感染も重視しなくてはいけない状況にあります。日本の感染状況とは全く異なっています。

私は、日本における5~11歳の接種について、本当にわが国の子どもたちに今、必要なのかどうか、政府や厚生労働省、感染症科医、小児科医などが「子どもたちのために」という視点をもって、時間をかけて議論を重ねることが重要だと考えています。ワクチンの存在を否定する気はありませんが、推奨するにしても適切なタイミングでの接種が重要なことだと思います。アメリカはスイッチを押すべき適切な状況だと思いますが、日本の子どもたちはそのような状況なのか、ということです。
ここまでの日本の感染状況とアメリカの感染状況がかなり違うということに注意が必要だと思います。

――日本とアメリカの感染状況の違いとはどのようなことでしょうか?

種市 コロナ禍に入ってから最近までのアメリカと日本の小児の新型コロナの感染状況を比較するとアメリカ(17歳まで)の新型コロナ感染者数は約630万人、日本(19歳まで)の感染者数は約26万人。アメリカは日本の約24倍です。日本の小児の感染者はほぼ軽症ですが、アメリカでは極度の肥満やぜんそくなどが多く、そのような重い基礎疾患をもっている子どもたちが重症化しています。

またアメリカの新型コロナによる小児の死亡者は846人。日本は3人です。アメリカは日本の約282倍です。アメリカ政府が、子どもたちへの新型コロナワクチン接種を推し進めるのは、子どもたちが新型コロナで800人以上も亡くなっているためであり、当然の判断だと思います。また、国民皆保険制度の日本と異なり、アメリカでは経済格差によって十分な医療が受けられていない子どもがいることも問題です。
そうすると国民全員がワクチンを受けるユニバーサルワクチンを進めるしかありません。しかし日本は、アメリカとは状況が違います。

――アメリカ以外の国の新型コロナワクチンの状況を教えてください。

種市 たとえばイギリスは、報道にもあるように感染拡大が止まりません。しかし感染が拡大するなかでも12~15歳を対象にした新型コロナワクチン接種の必要性について、時間をかけて議論していました。イギリス政府が懸念したのは、ワクチンによる副反応です。結局イギリスは、感染が持続することによる教育や子どもの心への悪影響も考え、12~15歳は1回の接種を行うと決めました。1回の接種では、十分な抗体は得られませんが、2回目の接種時に副反応が出やすいので「子どもたちのために」とギリギリのラインで結論づけたようです。

イギリスの新型コロナ感染対策は失敗という声も多くありますが、私はアメリカ追従ではなく、時間をかけて大人の専門家が子どもたちの立場に立って議論する姿勢は、日本も見習うべきだと考えています。日本はイギリスよりもはるかに感染者が少なく、議論する余裕と時間がもっとありましたが、12~15歳への接種承認は世界の中でも最速といっていいレベルでした。新たなデータを待つことはけして悪いことではありませんし、この先、間違いなく5~11歳の子どものワクチンデータが世界中から出てきます。それを待つ余裕がこの国にはあると思います。

5~11歳の副反応はまだわからないことも。アメリカでの今後の状況に注目を

2021年12月厚生労働省は、新型コロナワクチンによる副反応の心筋炎・心膜炎を重大な副反応と位置付けるなど、新型コロナワクチンの情報は刻々と変わっています。そこで今、わかっている小児の最新情報を聞きました。

――5~11歳の新型コロナワクチンで、2021年12月17日現在、わかっていることを教えてください。

種市 5~11歳のファイザー社製の新型コロナワクチンは、1回の接種でのmRNA(有効成分)は12歳以上の3分の1です。1回の接種量は12歳以上は0.3mLですが、5~11歳は0.2mLです。
アメリカで5~11歳・2268人を対象にしたファイザー社製の治験データによると、発症を防ぐ有効性は90.7%。副反応は16~25歳と同程度となっていますが、ほかの論文のデータもこまかく見ていくと幾分副反応の出現は低いように思います。

――2021年12月、厚生労働省は新型コロナワクチンの副反応による心筋炎・心膜炎を通常の注意喚起から「重大な副反応」に警戒度を引き上げ、医師らに報告を義務付けました。5~11歳でも、心筋炎・心膜炎の副反応は起こるのでしょうか。

種市 アメリカの治験データは、5~11歳・2268人が対象なので、まだまだごく少数の評価でしかありません。アメリカで5~11歳の接種がさらに進むと、心筋炎・心膜炎をはじめ、新たな副反応についてもある程度明確になると思います。成人では若年男性に多く、比較的軽症事例が多かったことはわかっています。小児の年代でも同様なのかどうか、注目すべき点だと思います。
 
――子どもに新型コロナワクチンを受けさせるなら、なるべく早めがいいのでしょうか。

種市 入退院を繰り返すようなぜんそく、心疾患、糖尿病などの重い基礎疾患がある子は、主治医と相談の上、新型コロナワクチン接種を早期に考えてもいいと思います。健常なお子さんについては、早く接種したいという気持ちも理解できますが、新型コロナワクチンは、2回接種をしたからといって終生免疫(一生、新型コロナウイルスに効果がある免疫)を獲得できるわけではありません。90%以上の免疫を獲得するには、2回目の接種から1カ月ぐらい必要です。また、ファイザー社製では成人において感染予防効果が高いのは2回目の接種から4カ月間ぐらい。重症化を防ぐ効果が高いのは2回目の接種から6カ月間ぐらいです。子どもたちはもう少し長く効果があるかもしれないという報告もありますが、基本的にいったん上昇したワクチン効果は徐々に下がっていくことになります。
そのため海外での子どもたちの感染状況なども参考にしながら、接種の必要性を考えるべきですし、できるだけ子どもたちには接種をさせずにすむ方向で判断することが重要だと思います。発熱、頭痛、倦怠(けんたい)感などの副反応が高頻度で出ることがわかっているワクチンです。よほどの感染状況や重症度が見込まれない限り、慎重に判断する必要があるのですが、今回は国全体が混乱し、その部分は軽んじられているのではないでしょうか。たとえ、ワクチンを打ったからといって安心は永遠には続きません。

2022年2月ごろに5~11歳の新型コロナワクチン接種が承認された場合、小児関連学会などが何らかの情報を出すのではないかと思います。子育て中のママやパパが混乱しない情報が出るといいと考えていますし、われわれも地域に対して随時医学的に適切な情報を提供できるように考えています。前述のとおり、新型コロナワクチンは接種するタイミングが大切です。やみくもに接種しても時期がずれていれば意味がありません。春にインフルエンザワクチンを接種するようなものです。ワクチンは貴重な武器でありますが、その一方でその使用には注意も必要です。もう少し冷静にわが国の感染状況を評価し、子どもたちの接種を待機するという判断もあっていいのではないでしょうか。

子どもにとって脅威なのは、新型コロナよりインフルエンザ

2021年12月17日現在、全国でインフルエンザの流行拡大は見られませんが、種市先生は子どもにとっては、インフルエンザのほうが脅威だと言います。

――種市先生は、以前から小児には新型コロナより怖い病気があると話されています。

種市 新型コロナの流行から2年がたちますが、重篤な基礎疾患がなければ子どもにとって新型コロナは、けして怖い病気ではありません。重篤な基礎疾患があって感染しても軽症な子もいます。

また新型コロナは変異を繰り返しますが、今後、日本の子どもの重症者数・死亡者数が極端に増えるような変異株が現れるのは、歴史的に考えても確率は低いと私は考えます。
これからの季節はインフルエンザのほうが、子どもにとっては怖い病気です。けいれん、意識障害などが起こるインフルエンザ脳症は、基礎疾患がない子でも注意が必要です。インフルエンザ脳症の特効薬はなく、時には亡くなったり、重い後遺症をもたらす場合もあります。

昨シーズンは、インフルエンザの流行が見られなかったからと言って油断は禁物です。園や小学校、地域のインフルエンザの流行状況にはアンテナを張りつつ、新型コロナだけではなくさまざまなウイルスに対する基本的な感染対策を励行してください。子どもたちはさまざまなウイルス感染を繰り返し、成長していきます。われわれ小児科医はそのさまざまなウイルス感染症を診てきました。その一つである新型コロナウイルスは、子どもの脅威として、かなり低い方であると考えています。

子どもへのワクチン接種は専門家の間でも意見が分かれているようです。この先、5~11歳の新型コロナワクチン接種が始まると、SNSなどで真偽が定かでないさまざまな情報が流れるかも知れません。しかし種市先生は、誤った情報やあおるような情報に振り回されず、疑問や不安があれば、かかりつけ医などの専門家に遠慮なく相談し、ママやパパには正しい情報を見る目をもってほしいと言います。

種市尋宙(たねいちひろみち)先生

※記事の内容は2021年12月時点での記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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