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親だからといって「プライベートな性の質問」に答えなくてもOK。性教育を変えたいと立ち上がったママたちの等身大の発信

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どうしたら子どもに性のことをわかりやすく伝えられるだろうかと命育が考案したお風呂ポスター。あっという間に完売するほど人気を博した。

考えたくはありませんが、自分の子どもが性被害に遭ったとき、親として、ひとりの大人として、どんな対応をしたら良いのでしょうか? ママたちが医師専門家の協力のもと立ち上げた家庭でできる性教育サイト『命育(めいいく)
』を運営する宮原由紀さんは、日常的に親子の性の会話を積み重ねることが大切だと言います。

自分も他人も大事にすることの先に

『命育』代表 宮原由紀さん。

前編「『やめなさい!』子どもが話す性の話に嫌悪感…『子どもとどう向き合う?』迷う母たちが医師監修の情報を発信」に続いて、後編では具体的な例も交えて特に乳幼児期において性教育をするうえで大切にすべきことを中心にお話を聞きました。

親以外の大人に相談する選択肢があることを理解する

周りの大人は「自分のことはもちろん、他人のことも大事にする、尊重する」ことを繰り返し伝えていく

――― もし、子どもが性的な事故に巻き込まれたり、尊厳を犯されたり、怖い目に遭ったりしたら、どうしたら良いのでしょうか?

大切な子どもがそんな目に遭うのですから、家族がつらいのは当然です。だからそんなときこそ、子どもも大人もひとりで抱え込まないで誰かにヘルプを求めることが大切だと思
うんです。

もちろん、普段から「何かあったらおとうさんやおかあさんに相談してね」と言っている方
は多いでしょうし、相談してほしいと思ってもいるでしょう。でも子どもは家族に知られたくない、親を悲しませたくないなどの思いから、なかなか言えないかもしれません。

でも「困ったことがあったら、おとうさんやおかあさんじゃなくてもいいから、『この人なら話を聞いてくれる』と思う大人に相談するんだよ」と繰り返し伝えておきましょう。子どもも「親以外の大人に相談する選択肢がある」ことを理解できるのではないかと思います。

そして「自分のことはもちろん、他人のことも大事にする、尊重する」ということを小さい頃から、家庭だけではなく、学校だったり、保育園だったり、周りの大人たちが繰り返し子どもたちに伝えていくことが何より大切だと、感じています。



――― 乳幼児期に性教育をする際の親の心構えを教えてください。

大人が対応を間違えると、子どもは「性の話はしてはいけない」と思って、何かあっても相談してくれなくなってしまいます。

性に関するタブー視が染みついている人は少なくありません。なかでも真面目な人ほど、ちゃんと性について勉強してからじゃないと性の話をしちゃダメ」と思いがちです。そう思っている人は、性をタブー視している自分を受け入れることから始めて子どもと一緒に学んでいけばいいと思います。

普段子どもと性の話をしている人でも、例えば小さい子どもが自慰行為をしているシーンを実際に見れば、嫌悪感を抱いて「何やっているの!」などと怒ってしまうかもしれません。そんなときに重要なのは、どうフォローするのか、「自慰行為は人前でやるものではない」と伝えられるのかといった「心構え」をもつことです。


決して完璧ではなくても良いので、子どもと一緒に性に向き合って、会話の頻度をできるだけ増やしていく。そうすることで、「おかあさんには性の話をしてもいいんだな」と子どもは理解していくのではないでしょうか。

――― 幼児期に性について具体的に教えられることがありましたら教えてください。



まずは自分の身体についてから入ると、興味がわきやすいと思います。性器や胸だけでなく、身体は自分のものだという意識をもたせたうえで、具体的にプライベートゾーンの話をするのが基本になると思います。

嘘をついたり、ごまかしたりしてしまうこともあるかもしれませんが、そのあとには必ず「この前こう話したけれど、ちょっと調べてみたら……」など、きちんとフォローすることが大切です。

性の話、特にプライベートゾーンの話をするとき、多くの保護者が「嫌なときは嫌って言っていいよ」と伝えると思うのですが、実際は「嫌」と言えない子は少なくないと思います。また「嫌なときは嫌って言っていい」と言われていたのに「嫌」と言えないと、自分が悪いことをしたみたいな気分になる子もいるかもしれません。

だからこそ「嫌」と言うことがとても難しいということを保護者も周囲の大人も知っているかがとても重要だと思います。「嫌だって言っていいんだよ」「嫌だと言えなかったとしてもあなたが悪いわけじゃないんだよ」ということを常日頃から伝えておくことでいざというときに相談してくれるようになるのだと思います。

——— 子どもの自慰行為を見たらショックだし、そこから一歩踏み出すのはとても難しいと感じている保護者の声があります。

まずは、幼児の自慰行為はよくあることだと保護者自身が「知る」こと。自慰行為をしているところを見ても、「うちの子は異常じゃない」「自然なことなんだ」と思えれば気が楽になりますよね。

また、「赤ちゃんはどうやってできるの?」と子どもに聞かれたときに答えられない理由のひとつに、「おとうさんとおかあさんがセックスしたと思われるのがいやだから」という人もいるでしょう。両親のセックスについては「おかあさん(おとうさん)のプライバシーだから伝えられないよ」と答えてもOK。また、プライバシーに関しては、「あなたのプライバシーも言わなくていいんだよ」と伝えてあげられることにつながります。

何でもかんでもオープンにするのでなくて、大人も子どももプライバシーが大切で、保護者自身が自分もプライバシーを守っていいと思えれば気が楽になるはずです。性教育=エッチな話をしなくちゃダメという思い込みが一歩踏み出せない最大の理由かもしれません。

オープンにと言われているから、プライバシーもなく全てを話さなくちゃいけないと思いがちですが、自分のプライバシーや尊厳も守ってよいことを前提にして、できる範囲で話せばいいのではないでしょうか。

——— 親子、特に母子にはプライバシーや、保護者自身のプライベートゾーンは忘れられがちということでしょうか。

はい。そうです。なので「決してそんなことはない」と伝えています。例えば、「小学生の子どもにボディタッチされるのが嫌だ」というおかあさんの悩みが寄せられたことがあります。「触られるのが嫌だ」と言ったら冷たい親だと思われるんじゃないかと我慢しているという人もいますが、我慢するのではなく、「ここはおかあさんの大切な場所だから触ってほしくない」と言ってもいいということがわかると気持ちがとても楽になると思います。

大好きなおとうさん、おかあさんのプライベートゾーンも大切だということを理解するきっかけにもなりますし、「あなたも嫌だなと思ったときは嫌だと言ってね」と伝える機会にもなりますから。

<宮原さんプロフィール>

Siblings合同会社 CEO、性教育サイト「命育」(https://meiiku.com/)代表。
大学卒業後、大手メディアやインターネット企業を約15年経験し、現職。子どもへの性教育に課題意識を持つクリエイターたちと、医師専門家協力のもと命育を立ち上げる。サイト運営の他、園や学校、PTA、地域などと連携して、多方面から家庭での性教育をサポートする活動に取り組む。3児の母。

著書『子どもと性の話、はじめませんか?ーからだ・性・防犯・ネットリテラシーの伝え方』(監修:産婦人科医 高橋幸子、出版:CCCメディアハウス)

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