お弁当工場でひたすらおかずを詰めた思い出…!【御手洗直子のコマダム日記】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」 #104
今回は学生時代にしていたバイトにまつわるお話です。
集中力は成長するか
高校生の時にコンビニで売っているお弁当工場でバイトしていた。そろそろ30年近く前になりつつあっておそろしい。内容は主に容器へおかずを盛り付ける係であった。
ベルトコンベアで流れてくるお弁当に自分の担当のおかずをつめるのである。
これがウインナーや卵焼きなど固形物兼1個2個など個数が厳密に決まっているものだと1個つまんで所定の位置に入れるだけで済むから簡単なのである。しかしこれが『つくだに』とか『細かいきりこんぶ』とかだと途端に面倒になる。
初回、指導担当の人に『これくらい入れて』と量を指定されるのだが、それが目視のみでのふわふわ情報なので『これくらい』が多すぎても少なすぎてもコンベアを止められ、『多いから減らして』とか『少ないからもうちょっと入れて』とか言われ弁当のおかず量を都度修正していかねばならない。
ウインナー1個をつまんで入れるという脳内作業ほぼゼロに比べて『これくらい』を常に意識した上で量を調整しながら容器に盛り付け、多すぎれば減らし少なすぎれば足すという作業をコンベアの速度から遅れないようにこなさなければならないのである。
少しでも気を緩めればコンベアは流れてゆき、『○○入ってないよ!』とコンベアを止められ、迷いがあればおかずを減らし増やししているうちにコンベアが流れてゆき作業が間に合わずコンベアを止められ、量を誤れば『多いよ!』とコンベアを止められる世界である。迷い、イコール、死。ミス、イコール、死の世界である。うそ。死なない。
ゆえに作業初めに『あなたはこのおかず』『あなたはこのおかず』の担当割り振りの時にラッキー食材に割り振られるか否かというのは重要な要素であった。
私の場合、量の調整をしなければならないおかずの際はかなりの緊張感を持ってこなしていたためコンベアを止められることは無かった。しかしウインナーなどの固形物を担当した際にはあまりにも楽勝かつヒマなため、脳内がほぼ『昨日見た漫画』または『今度描きたい漫画のネタ』で埋まり、作業が間に合わずコンベアを止めることがままあった。
マジかよ。と指導担当さんは思ったと思う。だよね。あの作業は普通は止めない。
どうやらこいつは細かいおかずはうまくやるがウインナーは詰められないと判断された私はそれから永遠にきりこんぶの係になった。もう私がシフトに入っていると自動的にきりこんぶである。フォーエバーきりこんぶである。
きりこんぶは!引っ張り出すといつまでも長いし量の調整が難しくて嫌いなんです!!!!ディスイズパーフェクトオブ自業自得である。
そしてそれから30年近く経つがその傾向が直っていない。
数枚文字チェックしてメールを送る。とかそういう作業では余裕で3時間とか潰せる。なんか知らんが一時間くらい平気で消えているのである。
自営業なので私の作業を管理する指導担当は私なのだが、マジかよ。と思う。
なのでタイマーをかけてノルマ化しているのであるが、ヒトの性質はおそらく一生変わらないのであるなあと思うのであった。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko