車を3回ガリると直す気を無くす【御手洗直子のコマダム日記 #134】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#134
今回は教習所にまつわるお話です。
脱輪王に俺はなる
19歳の時に車の免許を取った。専門学校を卒業して本格的に無職になったので今のうちに取っておこうと教習所へ通い始めたのであった。当初は二カ月くらいあれば取れるんじゃないの~~?と思っていたがわりとがっつり8カ月くらいかかった。わりと…かかっている…。
同人誌を会場まで自分で運搬するため。という強固たる意志を持っていた私はかなりマジメに教習に取り組んでいた。中学校以来5年ぶりに『テスト範囲を全て覚える』という勉強をしたため当然学科は満点を取って成績優秀者として学校のロビーに貼り出された。個人情報保護法もへったくれも無い時代である。地元の学生がみんな通う学校だったのでさすが御手洗さんだぜ…とザワザワされたのだが彼らは違う学校へ行ったので私がどんな高校生活を送ったかご存じないのである。夢を見ていてくれ…私に…フォーエバー…。私は今同人誌を描いているだけの無職になりました。
さてそんなわけで学科はパーフェクトだったが実技が順調に無能であった。脱輪フェスティバルだったので実技のテストに受からないのである。え?!たったのこれだけはみ出しただけで?厳しくない??と思っていたが今思うと脱輪したらダメだろ。死んじゃうぞ。山とか。クランクとS字ができなさすぎて教習カードのチェック欄を使い果たし、紙を継ぎ足された。そんな屈辱、私だけかと思ったら意外と似た話を聞いて安心した。脱輪仲間~~~~~!カード継ぎ足されたことある~~~??(ある~~~~!)
それまでの学生生活といえば中学までは優等生として先生たちにチヤホヤされ、高校では不登校気味ゆえ腫れ物にさわるようなアンタッチャブル生徒として扱われ、専門学校でもわりと毒にも薬にもならない扱いを受けてきたわけだが、この教習所で初めて『ダメダメ!』を連発される生徒になった。『ダメダメ!』『止まって!』『ストップ!!』の三銃士である。今まで『先生から強く否定される』という体験をしたことが無かった私は衝撃を受け、『俺は…弱い…!』とか『俺はガンダムになれない…』とかそんな感じになっていた。先生も脱輪王に俺はなる!と一緒に殉職するわけにはいかないので口調も強くなって当然であろう。という話を同じく免許取得に苦戦している友達に話したらまったく同じことでへこんでいて二人で『それ~~~!』と盛り上がったのであった。ちなみに彼女もチェック表を継ぎ足されていた。好きです結婚してください前から好きでした。
そんなわけで8カ月の時を経てようやく免許を取得できたわけだが、20年経過した今でも内輪差を理解せず左折時に後方をガリるという愚行をおかしているのであった。新車を15万かけて2回直したけど3回目ガリッたのでもう直してない。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko