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【カジサック】1人で命がけで育ててくれた母へは感謝しかない。5人の父親になった今、大切にしていること

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人気YouTuberカジサックさんの家族観とはどのようなものなのでしょうか? カジサック家で大切にしていること、カジサックさんのお母さんについての思いなど、たっぷりと話を聞きました。

親が見本となって、感謝を伝える姿を子どもに見せることが大切

――カジサックさんとヨメサックさんが、子育てで大切にしていることはなんですか?

カジサックさん(以下敬称略) いちばん大切にしているのは「感謝を伝えること」ですね。それも「ありがとうと言いなさい」とか「あいさつをしなさい」というのではなくて、親である僕たちが「ありがとう」とか「いただきます」と気持ちを伝えている様子を見せることが重要だと考えています。子どもたちって、絶対的に親を見ているので。その言葉を聞いたり、姿を見続けることで「これが感謝なんだ、言葉にすることって大事なんだな」と理解して、自分もそうしようとなると思うんです。先頭を走っている僕と妻がそんな背中を見せて伝えることが大切だと思っています。

そして感謝することとセットで大切にしているのが、「リスペクトすること」。子どもに対してもそうだし、恋人・夫婦、すべてに対して、リスペクトし合うということはめちゃくちゃ大事だと思うんです。僕は妻をリスペクトしているし、妻も僕をリスペクトしてくれているでしょうし、子どもたちも、親をリスペクトしなければいけないと僕は思っていて。でも、「パパ(ママ)はすごい人なんだ、感謝しなさい」と言っても、子どもには伝わりません。「おいしいごはんが食べられるのは、ママが毎日作ってくれてるからだね。感謝しないとね」とか、具体的に言って伝えてあげると、ママのおかげなのだなと、わかりますよね。僕がそうしているように、ヨメサックも、僕のいないところで「パパが頑張って働いているから、ごはんが食べられるんだよ」というようなことを子どもたちに伝えてくれています。そういったことを積み重ねていけば、自然と子どもたちは親をリスペクトするようになる思います。

子どもたちと、一対一の時間を 作ることを意識

――子どもたちとのかかわり方ではどんなことを意識していますか?

カジサック 以前の僕は「仕事は家庭に持ち込まない」という主義でした。オンとオフをしっかり分けていたから、家に帰ったら、子どもと遊んだりもするけれど、自分自身の時間も大切にしていたんです。でも、You Tubeを始めてからは、ず~っとやらなくていけないことがあるので、必然的に家でも仕事をするスタイルになりました。そしてその分、子どもと過ごす時間もちゃんと作ろうと意識するようになりましたね。子どもと話す時間は短くはなったかもしれないけれど、その分濃くなったな、と思います。

子どもたちへは、僕からコミュニケーションを取りに行くという感じです。子どもはそれぞれ、習い事があったり、学校があったり、幼稚園があったり、赤ちゃんだったりして、全員がそろって家にいるということが珍しくなってきちゃったんですよね。なので、たまに全員がいるときは「チャンス!」と思って遊ぶようにしています。

そして、僕が何より大事にしているのは一対一で話すこと。子どもが1人のときに空気を読んで自然に寄っていって「どうよ最近?」と話しかけるみたいな、短い時間でもいいから、コミュニケーションを取る時間を設けられるよう意識しています。子どもが5人いるので、みんなの前で「〇〇ちゃんおいで〜」とかやってしまうと、ほかの子は「なんで僕は、私は呼ばれないんだろう」と思ってしまうと思うんですよね。親が愛情の強弱を出しているつもりはなくても、きょうだいが多ければ多いほど、子どもたちはそう感じてしまうと思うので、そこはすごく気をつけています。

シングルマザーで、命懸けで育ててくれた母に感謝

――「家族。」では、カジサックさんのお母さんへの感謝とリスペクトの気持ちが大きいと感じました。

カジサック そうですね。母はシングルマザーで働きながら、僕たち兄弟を命懸けで育ててくれて、それを言葉ではなくて、背中で見せてくれました。母は背中を見せようとはしていなかったと思うんですけれど、子どもって親を見ているので。「家族。」でも書きましたが、僕の育った家庭は言葉が本当に少なかったんです。何か愛情のある言葉を母から受けとってきたかというと、そんなものはなくて…。そんな余裕がなかったんです。母は1日に2、3個の仕事をかけ持ちして、死にものぐるいで働いていていたので。子ども時代、ぜいたくはできなかったけれど、不自由なく育ててくれました。本当に感謝しています。

その分母は、自分の時間を異常に犠牲にしていたと思うんです。今、ようやく時間に余裕ができて、仲のいい友だちと旅行に行った話などをものすごく幸せそうな顔で話しているのを見ると、とってもうれしいですね。やりたかったことを今からぜひ取り戻してほしいな、と思っています。

――父親が不在だったことで、今のカジサックさんの育児に何か影響をしていることはありますか?

カジサック 変な話ですけれど、今の僕の子育てって、父親がいなかったおかげでもあるんじゃないかと思っています。たとえば父親がいて、父親の子育てを僕が経験していたら、どこかで「子育てってこういうことなんやろうな」って思ったのではないかな、と。「自分がそういう子育てを受けてきたから、わが子にも」というのは普通だと思うし。それが僕には1ミリもないんですよね。だからこそ真っ白な状態で、「こんな子に育ってほしい」というのが、出てくるのかなと思います。

最初で最後という気持ちで「家族。」を執筆した

――「家族。」を書こうと思ったきっかけはなんですか?

カジサック カジサックにも大きく関係している坪田信貴さん(「ビリギャル」の著者で、吉本興業の社外取締役)から、「そろそろガツンと本を出さない?」と言われたのがきかっけです。「1回やってみよう」と思い、最初で最後の気持ちで書いてみようと決意しました。書くなら、僕の半生を書きたい。そうして今までのことを思い浮かべたときに、自分でもびっくりするぐらい、いろいろなことを覚えていたんですよね。むしろ出過ぎてしまって、どの部分を切って、どうまとめるかという作業がとても大変でした。

――「家族。」を読んだ人たちからは、どのような感想が届いていますか?

カジサック 「改めて家族の素晴らしさがわかりました」「私も家族を持ちたいと思いました」「自分も頑張ろうと思えました」など、本当にありがたい言葉をたくさんいただきました。個人的にうれしいな、と思ったのは、「家族。という本を読んでからカジサックの動画を見ると、数倍おもしろくなる」という言葉です。僕と家族の背景を知ってもらえたことで、動画が違った見え方になるのだな、と思いました。僕の動画を見てくれている人たちが、この本を読んでもっともっと動画を楽しんでくれるとうれしいです。

お話/カジサックさん 撮影/榊智朗取材 取材・文/本間勇気、たまひよONLINE編集部

子どもが生まれ、ヨメサックさんと「ありがとうとか感謝は絶対に大切にしたいね」と話し合っていたと、カジサックさん。お母さんの背中を見てカジサックさんが育ってきたように、5人の子どもたちも、カジサックさんとヨメサックさんの姿を見て育っていくのでしょう。

カジサック(梶原雄太)さん

PROFILE
1980年、大阪府岸和田市生まれ。漫才コンビ「キングコング」のボケ担当。吉本興業所属。2018年10月1日にYouTuberデビュー。登録者は200万人を超える。2022年7月に、初の書籍「家族。」を執筆。

家族。

漫才コンビ「キングコング」ボケ担当の梶原雄太が、人気YouTuber「カジサック」として活躍するまでの半生が描かれた物語。発行部数5万部を突破。カジサック(梶原雄太)著/1440円(ダイヤモンド社)

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