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日本の男性はワーク・ライフ・バランスへの意識が低いことが問題。4つのタイプ別に分析【専門家】

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若いアジア家族のソファーでリラックス
●写真はイメージです
itakayuki/gettyimages

「男性のワーク・ライフ・バランスを考えよう」と、政府や自治体、企業などが提唱するようになりました。
男性のワーク・ライフ・バランスを研究している芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科准教授の加藤恭子先生は、日本の男性のワーク・ライフ・バランスの考え方には4つのタイプがあると分析しています。そこから見えてくる問題点と今後の課題などについて聞きました。

「雇われる者」としての自己評価と、育児のサポート状況で考え方が分かれる

加藤先生は2014年12月2日~2015年2月9日に、芝浦工業大学の社会人大学院生の男性正規雇用労働者17人に、ワーク・ライフ・バランス制度(とくに育休及び介護休暇制度)の利用に関する考え方をインタビューし、「男性正規雇用労働者のワーク・ライフ・バランス(WLB)問題への意識調査」としてまとめました。

「インタビュー内容から、男性のワーク・ライフ・バランスの考え方は、4つのタイプに分けられることがわかりました」(加藤先生)

【Aタイプ】会社での評価が下がるリスククを冒してまで育休は取らない

エンプロイアビリティ(※1)が低く、家庭における役割の代替性(※2)が高いタイプです。

「『自分は会社に必要な人材』という自己評価が低く、家庭では妻の育児・家事をサポートしてくれる人が周囲にいます。そのため、会社での評価が下がるリスクを冒してまで育休を取る必要を感じないと考えるタイプです」(加藤先生)

【Bタイプ】育休を取ることへの不安はないけれど、今は必要性を感じていない

エンプロイアビリティが高く、家庭における役割の代替性も高いタイプです。

「『自分は会社に必要な人材」』という自己評価が高く、家庭では妻の育児・家事をサポートしてくれる人が周囲にいます。育休などの休暇制度を利用しても、社内での評価や今後のキャリアに影響することは心配していないけれど、自分が育休を取らなくても妻が困らない環境にいるから、取ろうと思えば取れるけれど、今は取る必要を感じていない、と考えるタイプです」(加藤先生)

【Cタイプ】夫婦で育児・家事を分担するために、育休を積極的に取る

エンプロイアビリティが高く、家庭における役割の代替性が低いタイプです。

「『自分は会社に必要な人材』」という自己評価が高く、家庭では妻以外に育児・家事を行う人がいません。育休などの休暇制度を利用しても、社内での評価や今後のキャリアに影響することは心配しておらず、育休を取って育児・家事の分担を行う必要があると感じています。そのため、育休などの国と会社が認めている休暇制度は迷いなく利用する、と判断するタイプです」(加藤先生)

【Dタイプ】必要だから育休を取るが、復帰後の立場やキャリアに不安を感じる

エンプロイアビリティが低く、家庭における役割の代替性も低いタイプです。

「『自分は会社に必要な人材』」という自己評価が低く、家庭では妻の育児・家事をサポートしてくれる人が周囲にいません。休暇を取った場合、社内での評価や今後のキャリアに不安があるけれど、育児・家事をサポートしてくれる親などが周囲にいないため、認められた制度は利用する、というタイプです」(加藤先生)

※1 直訳すれば、会社を選ばず雇われる力という意味。雇用される能力が高いということは、「自分は会社にとって必要な人材だ」という自己評価も高くなると推測できる。

※2 家庭における役割の代替性:夫、父親という役割自体はその男性にしかできないけれど、両親やきょうだいなどの肉親や、保育園など、自分に代わって育児・家事をサポートしてくれる人や施設などが身近に存在すること。

ワーク・ライフ・バランス問題が「他人事」になってしまうことが問題

同報告書には、インタビューをした多くの男性がAに当てはまっていたと書かれていました。それぞれの割合はどれくらいだったのでしょうか。

「Aが6割、Bが2割、Cが1.5割、Dが0.5割といったところでした。コロナ禍で意識に変化が見られるので、今とは多少異なるところはあると思います」(加藤先生)

Aタイプの男性は、自身が育休などの制度を利用しなくても家庭生活に支障がでない環境にあります。問題ないように見えますが、「問題がないことに、ワーク・ライフ・バランスの問題の本質が隠れている」と加藤先生は指摘します。

「Aタイプの男性は、男性のワーク・ライフ・バランス意識の多様性に気づきにくい可能性があります。Aタイプの男性が多数派である職場では結果として、家族との時間を大事にしたい、育休や介護休暇を取りたい、と希望する男性が存在することにも気づきにくくなってしまいます。
また、Aタイプの男性が上司になった場合、育休を取った部下に対して、『男のくせに育休を取るなんて仕事を甘く見ている』と評価を下げ、育休明けのポジションに不満を感じた部下が退職してしまう、ということも起こり得ます」(加藤先生)

コロナ禍の在宅勤務がワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけに

加藤先生は、同報告書でインタビューした男性の中の8人に、コロナ禍の在宅勤務を経験して、ワーク・ライフ・バランスの意識にどのような変化が現れたか、2022年に調査しました。その中の2人の意見を紹介します。

・Aさん(30代)
2017年に結婚し、2019年に長男が誕生。今年4月に妻は時短勤務で復職しました。

「リモート勤務と育児を同時に経験することになり、育児と仕事には共通点があると感じているそうです。『プロジェクトマネジメントの仕事は、問題が起きたときにどう対処するかが大切で、育児もまったく同じ。日々の進捗を見守り、声をかけ、問題が起きたら対処する。この繰り返しで業務を遂行しているのは、育児と重なるところがあっておもしろい』と話してくれました」(加藤先生)

・Bさん(40代)
7才、10才、12才の子どものパパ。コロナ禍で終日在宅勤務に切り替えたため、子どもの送り迎えを担当し、帰宅後は宿題を見るようになりました。

「子どもたちと過ごす時間が増えたことで、子どもたちの日々の様子を把握できるようになり、深く会話ができるようになったと自覚しているそうです。さらに、『子どもの宿題を日々見ているとつまずきそうになるところがわかるようになり、どうフォローすればいいかを考えるようになる。これは職場の業務や人材に関するマネジメントの意識にもいい影響を与えると感じた』と言ってました」(加藤先生)

ほかの方も家族と過ごす時間が増えたことで、「ワーク」と「ライフ」のバランスの新しい側面に気づいた、というコメントが多かったそうです。

「サンプル数が少ないので、分析結果を一般化することはできませんが、男性自身が『ライフ』の大切さに気づくことが、ワーク・ライフ・バランスを他人事にしない大きなポイントになることが、今回のインタビューで明らかになったと思います。
洗濯物を取り込む、炊飯器のスイッチを入れる、子どものお迎えに行くなど、時間的には短い家事であっても男性が代わりに担ってくれることで、女性の行動範囲が一気に広がる場合もあります。結果として男性自身も家族も、新たな幸せを手に入れることができるのではないでしょうか」(加藤先生)

お話・監修/加藤恭子先生 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

男性がワーク・ライフ・バランスを考えることは、男性自身だけでなく、家族の幸せにつながります。また、子育てが終わった後の人生にもかかわることなので、これを機に考えてみるのはいかがでしょうか。

加藤恭子先生生(かとうきょうこ)

PROFILE 
芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科准教授。学習院大学経済学部経済学科卒業。海外経済協力基金(現国際協力機構)に勤務したのち渡米。ミシガン州立大学労使関係学部で博士号取得。研究テーマはワーク・ライフ・バランス、職場のコミュニケーション、自主的・自律的な人材の育成など。

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