病院の薬と市販の薬はどう使い分ける? 市販薬の活用方法と留意点を解説!
自分の体調が悪いときに、子どもを連れて病院に行くのはとても大変ですよね。また、子育てを優先して、つい自分の不調を後回しにしてしまうママ・パパも多いのではないでしょうか。
今回は、そのようなときに役立つ、市販薬の活用方法や注意点をご紹介します。
市販薬ってどんなときに活用できる?
市販薬は、軽度の不調を自分で手当てしたり、病院が休みですぐに受診できないときに症状を緩和したりするのに活用できます。
市販薬の活用に適している症状は次のようなものです。
市販薬の活用に適している症状・不調の例
・病気の心配がない生理痛や頭痛
・風邪のひき始め
・軽度の胃もたれや胃痛
・疲労感やだるさ
・軽度のPMSや更年期の症状
・ヘルペス・口内炎・花粉症など再発した病気・症状
このようなときに市販薬をうまく活用できると、受診にかかる時間や手間が軽減されます。
病院でもらう薬と市販薬との違い
病院でもらう薬(医療用医薬品)と市販薬(一般用医薬品・要指導医薬品)の大きな違いは、自分専用の薬かどうかです。
医療用医薬品は、医師の診察によって自分の今の症状に合わせた薬が処方され、医師や薬剤師から服薬指導を受けて使用します。診察時の症状に合わせた処方のため、効果を実感しやすいのが特徴です。
ただし、他人に譲渡したり、医者からの指示以外で飲まずに保管しておいたりすることはできません。
比べて、市販薬は自分の判断で、購入・使用するものです。薬の専門知識がなくても分かりやすいように、パッケージや説明書(添付文書)に効能・効果や使い方が記載されています。
また、市販薬は、使用方法・使用量(用法・用量)を守れば、医療用医薬品より重い副作用が起こる可能性が低いといわれています。医療用医薬品と違い、家族で同じ薬を飲んだり、常備薬にしたりすることも可能です。
しかし、医療用医薬品よりも薬の種類が少ないので、重症化しているときやインフルエンザのときなどには対応できません。
市販薬が分類分けされている理由は?
市販薬は、誰にでも使いやすく、かつ重い副作用が起こりにくいように用法・用量が定められています。しかし、市販薬のなかには、まれに重い副作用が起こったり、使用方法を間違えるとからだに悪影響が出たりする薬もあります。
よって、市販薬は、副作用の可能性や使用方法の難しさなどで、リスクが高い順に、要指導医薬品、第1類医薬品、指定第2類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品のグループに分類されています。
市販薬の分類は、薬の効果の高さだと勘違いされやすいですが、それは誤りです。分類で判断するのではなく、自分の症状に合う市販薬を選びましょう。
子育てで忙しくても注意! 市販薬を活用するときの留意点
以下では、市販薬を活用するときに気をつけておくべきことを3つご紹介します。
正しい飲み方をする
薬を飲むときは、ジュースやお茶ではなく、水かぬるま湯で飲むようにしましょう。水以外の飲み物は、薬の効果を妨げたり、副作用が出やすくなったりすることがあります。
また、服用のタイミングを守ることも大切です。
<服用のタイミング>
・食前:おおよそ食前30分以内、胃が空っぽの状態
・食後:食後30分以内、食事で胃がふくらんでいる状態
・食間:食後2〜3時間経ったころ、食事と次の食事の間
・寝る前:就寝30分前
・頓服(とんぷく):毎回決められた時間ではなく、必要なとき
同じ効能・効果の薬でも服用のタイミングが違うことがあるので、パッケージや添付文書の用法・用量を必ずチェックしましょう。
ほかの薬と併用しない
市販薬には、パッケージに書いてある用途が違っても、同じ作用の成分が含まれているものがあります。
また、成分の組み合わせによる相互作用(効果が弱まったり、強まったりする作用)もあるので、自己判断で複数の市販薬を併用するのはやめましょう。
たとえば、総合かぜ薬は、解熱鎮痛剤や鼻炎薬、せき止めを合わせた薬なので、同時に飲むと成分が重複する可能性があります。
すでに飲んでいる薬がある場合は、市販薬の購入前に、薬剤師や登録販売者などに相談しましょう。
治らない場合はすぐに受診する
市販薬を数日間使用しても効果が感じられないときは、飲み続けるのをやめて早めに病院などを受診しましょう。受診の際は、市販薬を飲んでも治らなかったことを伝えると診察がスムーズです。
また、飲み始めに体調が悪化したり何か異変を感じたりした場合は、すぐに服用を中止して受診しましょう。そのとき、飲んでいた市販薬のパッケージや添付文書は、必ず持っていくようにするのがおすすめです。
市販薬を上手に活用しよう!
市販薬は、受診にかかる時間や手間が軽減されるだけでなく、症状が軽いうちに対処できるので重症化を防ぐことにも役立ちます。
使うときの注意点に気をつけながら、市販薬を上手に活用しましょう!
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 竹田由子
元漢方・生薬認定薬剤師。大学院で臨床薬学を専攻、日米で病院研修を受ける。病院薬剤師として10年間入院患者を担当しながら、化学療法・医薬品情報担当としても活動する。
患者さんから「本音を話しやすい」と言われ関わるうちに、日常のセルフケアの大切さを痛感。転居後は薬局に勤務する傍ら、ライターとしても活動する。病院時代の上司が漢方好きで、漢方の凄さを体感し魅了され「日常の不調はまず漢方」と生活している。
現在は、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。