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“魔の2歳児”は親にとっても忍耐が必要。「〇〇しないで」はNG! 世界的な子育て支援プログラム「トリプルP」から学ぶ

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●写真はイメージです
twinsterphoto/gettyimages

2005年に設立されたNPO法人「トリプルPジャパン」では、自治体や企業などを通じて、40年の歴史を持つ世界的な子育て支援プログラム「トリプルP」の普及に努めています。 今回たまひよでは、トリプルPジャパン理事の松岡かおりさんに、イヤイヤ期や子どもがかんしゃくを起こしたときの具体的なトリプルPの対処法について伺いました。

2歳児の“イヤイヤ期”にどう対応する?

――今回は、トリプルPのスキルを具体的に教えてください。プログラムを受講したママやパパの感想の中に、「“魔の2歳児”に振り回されていましたが、子育てのテクニックと対応策をわかりやすい手順で学べました」というコメントがありました。魔の2歳児といわれるイヤイヤ期は、ママやパパの共通の悩みですが…。

松岡 そうですね。皆さん、「もう2歳児はしかたがない」と考えていると思います。ただ、私は長年いろいろなご家庭を見ていて思うのですが、イヤイヤ期は「イヤ!」と言えば大人は絶対に注目するので、「困った行動をすれば見てもらえる」と子どもは学習しているんですよね。だから、そこをシフトチェンジして、いいことをした時にこそ親が目を向けるようにすると、「いいことをすれば見てもらえる」となり、子どもが「イヤ!」と言わなくてもよくなると思っています。

 例えば外に出て、子どもがちゃんと手をつないでくれた時にたくさん褒めて「自分はすごくいいことをしているんだ」と思ってくれれば、率先して手をつないでくれるようになります。前向きな関わりをするには、いいところに目を向けるのが一番です。

――逆に「イヤイヤ!」とかんしゃくを起こしてしまった時は、どうすればいいでしょうか。

松岡 泣いている時に「どうしたいの? じゃあ、こうする?」と子どもの要望を聞き出して対応するのは、間違えている注目の仕方です。危ないことをしようとしているとか、人に迷惑をかけている状況なら急いで対応しなければいけませんが、かんしゃくを起こすたびに対応して「こうすればママは関わってくれる」と子どもが学習してしまうのはよくありません。

 周りが安全な状況で、かつ誰にも迷惑がかからなければ、ひっくりかえってかんしゃくを起こしても“知らんぷり”をすることも大事です。その代わり、いい状況の時にこそ、たくさん褒めてあげてください。

――“知らんぷり”は心苦しいと思うママやパパもいそうですね。

松岡 知らんぷりは親にとっても忍耐であり、戦いが必要です。また、親に余裕がないとイライラして、つい「いつまで泣いているの!」と怒ってしまったりすることもあります。

 トリプルPの5原則の1つに「親として自分を大切にする」という原則があるのですが、実はこれがとても大事なんです。寝不足にならないようにする、疲れをためない、体調管理をする。なかなか難しいことですが、親がある程度いい状態を保てていれば、子どものかんしゃくにも爆発せず「ママ(パパ)は注目しません」と一貫した姿勢でいられます。子どもも、だんだん「そうか、かんしゃくを起こしても自分を見てくれないんだな」と学んでいきます。夫婦間の協力や、外部のサービスも頼って、ぜひ心身のコンディションを保ってほしいと思います。

「走らないで!」ではなく「歩こうね」と行動を伝える

トリプルPを学ぶママたちのグループワーク

――トリプルPでは、「肯定的なものの言い方」をすることもポイントだそうですね。

松岡 私たちって実は、「○○しない」という言葉の中でずっと生きているんです。私はよく避難訓練の「おさない・しゃべらない・かけない」を例に挙げるのですが、緊急を要さない子育ての場面でも「触らない!」「大声出さない!」という禁止の命令ばかり。“じゃあどうすればいいのか”を教えないんです。否定の言葉の中でずっと生きているということは、自己肯定感の低さにもつながってきます。

 オーストラリアの研究で、学校でいじめをなくすために「否定的な言葉をなくして、肯定的な言葉を使って学校を運営したらいじめが減った」という結果があります。だから、トリプルPでも「騒がない!」ではなく「静かにしようね」、「走らない!」ではなく「歩きなさい」、「触らない!」ではなく「見てるだけよ」といった肯定的な言い方で、“具体的にしてほしい行動”を伝えるように促しています。

――なるほど。私もそうですが、とっさについ「走らないで!」と注意してしまいがちです。

松岡 それは私たち自身が、否定的な言葉で生きてきた証拠なんですよね。それと、褒める時に「○○しない」を言わないようにすることも大切です。「今日はケンカしなくてえらかったね」ではなく、「仲良くできてえらかったね」と伝えられるといいですね。

「子育てを学ぶ」がこれからの日本のスタンダードに

トリプルPジャパンの親向けホームページ

――コロナ禍以降、子育てが難しくなったという声もあります。セミナーなどでママやパパに伝えていることはありますか。

松岡 子育てにはいろいろ困難なことが起こりますが、コロナ禍もその一つです。こういった緊急事態下こそ、親が前向きな気持ちでいることがすごく大切。どんなに大変な時でも、親が自分を大事にする時間を持って、ゆとりのある子育てをすることが必要だとお伝えしています。

 日本の場合、なかなか「こうです」と言い切れる子育てが存在しません。育児相談でも、専門家に悩みを伝えて受け止めてもらい、話してすっきりはするけれど「じゃあ、私は具体的にどうすればいいの?」となった人は多いのではないでしょうか。

 トリプルPには、世界各国で40年間培われてきた、「こうすればいいのでは」というはっきりしたエビデンスがあります。人種や文化、家族の形、お子さんの発達などを問わず「効果がある」というエビデンスがあるので、キャッチフレーズに「For every Parent(すべての保護者のために)」と書いています。日本では今はまだ普及段階ですが、機会があればぜひ受けてみていただきたいですね。

――正解がないといわれる子育ての中で、そういった明確な指針があると安心ですね。

松岡 そうですね。グループワークなどで多くの方から聞くのは、「自分は親から満足のいく子育てをしてもらえなかったから、うまく子育てができない」というお話です。そういう経験がある方は子育てでの戸惑いも大きく、大変だと思います。トリプルPでは、そんなご本人の過去や経験は一切関係なく、「あなたの子育てはこうすれば大丈夫」と、前向きなアプローチを示しています。

 日本ではまだ「子育てを学ぶ」ということに違和感がある人も多いようです。しかし、世界ではもう「学ぶべきもの」として捉えられています。子どもとの関わり方を知り、実践していくことが、これからの日本のスタンダードになっていくのではないでしょうか。

特定非営利活動法人トリプルPジャパン理事 松岡かおり

元トリプルPインターナショナル普及コンサルタント、三浦市家庭教育支援チーム「はっぴー子育て応援団」子育てアドバイザー。子育て支援NPOでの活動中にトリプルPに出会い、現在はトリプルPを活用して、より良い親子関係のヒントを伝えている。共著に『「ちょっと困った」から「発達障害かな?」まで トリプルP 改訂第2版 ~前向き子育て17の技術~』(診断と治療社)。

※2月23日(木・祝)10時~12時、オンラインセミナー「子どもの自信を育てる」開催予定。(参加費:保護者2,200円)詳細はホームページにて。

特定非営利活動法人トリプルPジャパン

(取材・文 武田純子)

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