「子どもにあたってしまう私はダメ親でしょうか?」子どもにイライラしたときはどうすればいい?【専門家】
今回のテーマは「子どもへのイライラ」についてです。
疲れていたり、思うようにいかなかったりで、イライラして子どもにあたってしまったこと、ありませんか?
「たまひよ」アプリユーザーへ聞いた、子育て家庭の実態とともに、保育学が専門の小崎恭弘さんに、「イラッ」としてしまった時の気持ちの切り替え方などについてアドバイスをいただきました。
気を紛らわせたり、冷静になる工夫をしたり
最初に、「たまひよ」アプリユーザーへのアンケート結果から、イラっとして子どもにあたってしまった時に、どう気持ちを静めたり、切り替えたりしているのか、みんなの声を紹介します。
「目をつぶって深呼吸する」(きなこ)
「深呼吸をしたり、安全を確認していったん、部屋を離れている」(たんこ)
「トイレへ行って、数秒1人になる」(na→na)
「少しだけ別の部屋に避難。落ち着いてから、テレビを見たり、おやつを食べたりする」(そら)
「クッションに向かって、『あー!!』と叫ぶ」(たまこ)
「思ってることをそのまま口に出したり、枕に顔をうずめて叫んだりします」(ロビン)
「頭の中の冷静な自分と会議」(まいちゃん)
「夫や友だちにグチる」(ちぃ)
「自分の好きなことをして、紛らわす」(キティ)
「あまりにイライラが続くと怒鳴ってしまう時もありますが、少しだけ外に出たり(庭や玄関先レベル)して距離をおいたり、甘いものや好きなもの食べたりしてます」(すー)
「人間1年目の子に怒ってもなぁ…って思うようにしてる」(あーね)
「とりあえず冷静になれるまで1人の空間をつくる。
手帳に落ち込んだ時やイライラした時のために、自分を励まし、鼓舞するような言葉を書き留めているので、それを見ることで早めに冷静になれ、気持ちの切替えができるようになったと思います」(こうみか)
他の方からは、「こんな泣くことしかできない小さな子に大声で叱るなんてと落ち込み、その後、なかなか立ち直れません」(かっちゃん)なんていう声もありました。
自分を責めてしまうことも多いですよね。子どもにイラッとした時の、子どもや自分への向き合い方について、12年間の保育士経験があり、保育学が専門の小崎恭弘さんにアドバイスをいただきました。
子どもに対して、もしもあたってしまったら
ママやパパがイラっとすることは、当然あります。子育てとは「この社会にあるもの、起きていること全てを子どもに伝える営み」だと思います。素敵なことやいいことはもちろんですが、決してそれだけで良いとは思いません。社会や人生には、時として悲しみや怒りやツライこともあります。
ママやパパがダイレクトに子どもにそれらをぶつける必要はないですが、それらの感情や感覚が、この世の中にあることは、子どもたちには知って欲しいです。
ただ、子どもたちの世界や価値観は、今はまだとてもちっちゃくて大人の強い感情や思いを受けきることはできません。だから、そこは考慮して欲しいですし、子どもたちの気持ちを慮って欲しいです。
そんな時の方法をいくつかお伝えしましょう。
<Step1> イライラを自覚する
まず大切なことは、自分自身でイライラを自覚することです。しかし、これが一番難しいですからね。イライラしている人は無意識だったり、怒りに支配されていたりしますから。
だから無意識に子どもにあたったり、きつい対応をとってしまいがちです。「あっ、私は今イライラしてる」という感覚を持って欲しいですし、口に出して自覚してみてください。
<Step2> イライラをコントロールする
その上で自分でそのイライラをコントロールして欲しいです。
例えば「1、2、3…」と、数字を数えて落ち着いてみたり、深呼吸など身体的な変化を心がけてみましょう。イライラの理由を考えて明確にしてみたり、自分自身で「イライラを止める」と決めてしまうなど、気持ちの切り替えをしてみます。自分の中で区切りや変化を作ってみてください。
<Step3> 子どもと対峙しない
それでもうまくいかないことや、よりイライラとしてしまう状況などもあります。そんな時は子どもから離れましょう。子どもは自分の感情をうまくコントロールできないものです。またそのトレーニングの途上にある存在です。子どもに何か変化を求めても、すぐには難しいでしょうし、またそれらができないと、余計にこちらもしんどくなることもあります。
そんな時は少しでもいいので、子どもから離れましょう。時間と空間、そして関係性に少し「エアーポケット」を作るのです。
また誰かがその場にいてくれるのであれば、その人に任せたり頼んだりすることも良いと思います。
人間関係とは2人の人間の間にある空気が作り出すものです。よくない空気の場合は、時にヒートアップしたり硬直化したしてしまうこともあります。それを避けるために、子どもではなく、大人が動くといいでしょう。
また、子どもについイライラしてしまった場合や強くあたってしまった場合は、素直に謝りましょう。
人に謝れる姿勢や器量は、とても素敵なものです。子育ては人生の全てを教える営みです。間違った時や反省した時に、頭を下げられること、謝罪できることも、それは親として子どもに教えてあげられる大切な姿だと思います。(小崎恭弘さん)
いいこともイヤな感情も含めて、いろいろなことを教えるのが子育てだという言葉に救われますね。
子どもにイラッとしたからと、すぐに自分を責めなくて大丈夫。
自分の気持ちを自覚したり、コントロールしたりしながら、親も子どもも一緒に成長していきたいですね。
(取材/文・橋本真理子)
小崎恭弘さん
PROFILE)
大阪教育大学教育学部教員養成課程家政教育講座教授。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。ファザーリングジャパン顧問。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。4月より大阪教育大学附属天王寺小学校長を務める。
3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をから「父親の育児支援」研究を始め、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて、父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修等で、講演会等を行うように。著書に『育児父さんの成長日誌』(朝日新聞社)、『パパぢから検定』(小学館)など。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。